北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

岐阜基地航空祭2007(岐阜基地開庁50周年記念航空祭) (6)

2008-11-27 19:21:09 | 航空自衛隊 装備名鑑

■岐阜基地航空祭2007

 岐阜基地航空祭2007詳報、その第六回は、第4航空団第11飛行隊、つまり、ブルーインパルスによる展示飛行の様子を掲載したい。

Img_7613  岐阜基地航空祭2007のフィナーレを飾ったのは、松島基地より展開したブルーインパルスによる曲技飛行の展示である。曲技飛行のGに耐えるべく特別に機体の一部を補強したT-4練習機を駆使し、計算し尽くされた展示飛行プログラムを大胆かつ高度な操縦技術により見せつけるのが、ブルーインパルス。

Img_7469  ブルーインパルスは、かつて浜松基地にて当時の要撃機であったF-86Fを用いた戦技研究部隊が、無線のコールサインとして用いていたコールサインを起源としたアクロバットチーム、その存在は航空機ファンのみならず、一般にも深く浸透している、航空自衛隊の看板部隊だ。

Img_7564 1960年に発足以来、航空自衛隊の航空祭や自衛隊関連行事のみならず、東京オリンピック開会式を筆頭として、国家的行事にも参加したことで、その知名度を大きく高めた。オリンピック開会式中継にCGを使う国もあるようだが、ブルーの飛行展示は大観衆の前に、やり直しの利かない本番と本物。

Img_7522  F-86Fから始まり、国産超音速練習機T-2、そして1996年には現在のT-4練習機を飛行展示の心強い相棒として大空を飛んでいる。このブルーインパルスの飛行展示は、最初に四機がスモークを曳きつつ離陸し、続いて二機が空中にて合流、六機編隊での飛行展示を行う。

Img_7624  6機が合流しての飛行展示開始。ブルーインパルスのパイロット達は、お互いの性格や癖をつかみつつ、カバーし合って、技術力を向上させるチームワークを何よりも重視している。一瞬の錯誤が大事故に繋がる空が舞台だけに、高い技術力へ、出来ることは何でもしよう、というのがブルーインパルス。

Img_7594  六機編隊にてエプロン正面からスモークとともに飛来。シャッターをきるおとが周囲から次々と。ブルーインパルスの写真は、実は簡単ではない。カラースモークと飛行展示、その一瞬の交錯を迫力が滲み出るようなアングルとして如何にしてカメラに収めるか、というものもひとつの醍醐味。

Img_7598  編隊飛行、ブルーインパルスは、毎日原則として三回行われる訓練飛行に加えて、航空祭や行事参加に伴う移動スケジュールという網目の中を、文字通りアクロバティックに調整し、技術を維持している。飛行はもちろん、支える整備小隊も、この網目の中を縫うように確実な安全と最大の能力発揮へ日々が本番だ。

Img_7607  ブルーインパルスに求められる技量は、通常の航空機パイロットに求められるものすべてが求められ、加えて確実なアクロバットを行うための技術が求められ、自信満満で配属されたパイロットは、実際にその操縦技術をT-4の後席から目の当たりにすると、文字通り蒼い衝撃を受けるのだとか。

Img_7615  編隊で天空に向かい、頂点に達すると、一斉に降下を始める。滑走路南側まで頑張って歩いた成果というべきか、順光の大空が舞台だ。ブルーインパルスの背景、蒼い、碧い、青い、などなど様々な空の色彩を表現する言葉が浮かぶ。そこに、すっとT-4の機体から白いスモークが描かれてゆく。

Img_7617  ジェットにより、スモークはコンマ秒で、そのかたちを変える、そこを切り取ったのがこの一枚。ブルーインパルスは、何にしても絵になる。順光の写真はもちろんだが、それだけではない。逆光の太陽とスモークを真下から超広角で撮影した写真を見たことがあるが、あれは凄かった。

Img_7479  T-4練習機は、その流線型の形状から、ドルフィンというニックネームがある。様々な飛行展示を見上げると、確かに生きているような印象、操縦性の高い亜音速機ならではのもの、というべきか。様々な演目の名前があるのだが、思い浮かべる間もなく、撮影を続行、この瞬間スモークとともに頭上を航過。

Img_7482  そして一気に編隊を切りかえる。前日行われた小牧基地航空祭、この岐阜基地からほんの30kmほどしか離れていないのだが、雨天というざんねんな結果であった。しかし、小牧基地のエプロンからは、遠く、ブルーインパルスの予行の様子が望見できたそうだ。予行の成果を発揮している瞬間。

Img_7644  ちなみに、岐阜基地航空祭2007の撮影には、CANONの入門用デジタル一眼レフとして名高いEOS KissDigital Nに70~300㍉レンズと18~55㍉レンズを装着して撮影。決して充実した機材ではないが、基本的な撮影機材でも、撮影ポイントの工夫でこれだけの写真を撮影することができた。

Img_7651  今回の岐阜基地航空祭でブルーインパルスが展示したのは、第1区分というもの。前日の雨天により、予行に影響が出た、ということなのだろうか、飛行展示はすべて実施ができなかったのが難点だが、それでも、ブルーインパルスの完璧な飛行展示に、期せずして拍手があがっていた。

Img_7655  飛行展示を終了して、次々と着陸するT-4練習機。こうして、岐阜基地航空祭2007の飛行展示プログラムはすべて終了した。このブルーの着陸とともに航空祭も撤収作業に移行、地上展示に展開していた外来機も帰投の準備を開始した。外来機の帰投フライトなどについては、次回に掲載したい。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岐阜基地航空祭2007(岐阜... | トップ | 岐阜基地航空祭2007(岐阜... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブルーインパルス、リアルに観ればもっとすごいで... (とんぺい)
2008-11-27 22:40:03
ブルーインパルス、リアルに観ればもっとすごいでしょうね!何かビデオカメラも持って行きたい感じ。しかし、写真を見ていてパイロットたちには感心させられます。職業がら思うのですが、コンピュータ制御で無人化するのも困難なくらいに難しいでしょう。早く観たいなあ。今年はその後に異機種大編隊があるようですね。それも楽しみなんですが。
返信する
とんぺい 殿 こんばんは (はるな)
2008-11-27 23:24:33
とんぺい 殿 こんばんは

御指摘の通り多機種大編隊の飛行時間が、ブルーのあと、という例年とは異なった時間帯なのが、今年の特色のようで。

ブルーインパルスの飛行展示の時間帯が入場者のピークと重なるのですが、今年はこういった時間配分、人口密度の方は、どうなるのかな、と。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

航空自衛隊 装備名鑑」カテゴリの最新記事