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火力戦闘車/装輪155mm榴弾砲試作車が納入(考察5)AMOS自走迫撃砲“火力支援車”提案

2019-02-05 20:14:51 | 先端軍事テクノロジー
■真に必要なのは“火力支援車”
 善通寺の即応機動連隊新編時に火力支援中隊という重迫撃砲部隊が編成されました、第一線火力を考える場合、火力戦闘車よりも火力支援車の方が必要なのではないでしょうか。

 火力戦闘車と99式自走榴弾砲。火砲300門時代となったのですから、現時点では火力戦闘車は試作段階、試作費用の税金は多額の費用がすでに投じられている状態ではあります。しかし、300門の火砲を二系統の99式自走榴弾砲と火力戦闘車で維持する事はさすがに無理があり、それならば本土の特科部隊にも99式自走榴弾砲を配備する選択肢はないのか。

 300両の99式自走榴弾砲を配備、その上で火力支援中隊と普通科連隊重迫撃砲中隊の120mm重迫撃砲RTにより、火力基盤を構築するという選択肢が、妥当であるように考えます。そしてこれは制式化前の今だからこそ、実現できる選択肢です。逆に考えるならば火力戦闘車は大型過ぎる、ヘリコプターで輸送出来ない、という視点を示しました、が。

 120mm重迫撃砲RT、重視するべきは特科火砲ではなく、こちらの方ではないか、と。具体的にはヘリコプターで輸送可能な自走型火砲の原型装備に120mm重迫撃砲RTを持ってくる、ということ。火力戦闘車よりも火力支援車、というべきでしょうか。火力支援車、特科部隊を補完するべく火力支援中隊へ配備する、即応機動連隊の火力支援中隊のように。

 AMOS自走迫撃砲システム、スウェーデン製後填式迫撃砲システムです。勿論これを輸入するのではなく、こうした装備を国産開発する事が必要だという提言です。AMOSは砲塔システムで自動装填装置と連動しており、二門を並べた双連型迫撃砲となっています。双連式である為に発射速度は高く、最大で毎分16発の120mm迫撃砲弾を投射可能という。

 火力支援という視点からはAMOSの特色は従来迫撃砲では不可能であった水平射撃が可能であり、錯綜地形や市街地戦闘などでの直接照準による火力支援が可能です。なにより、120mm重迫撃砲RTのように射撃に際し人員が外部に露出する必要が無く、標定も装填も自動化されています。対戦車誘導砲弾を搭載したならば、対戦車戦闘さえも可能となる。

 16式機動戦闘車という、AMOSであればそのまま搭載する事が可能と考えられる車輛が既に自衛隊では配備されています。AMOSは120mm迫撃砲弾を11km以上投射するものですので、反動はあります。様々な車両へ搭載するべく反動を抑えた設計となっていまして、105mm砲をスラローム射撃可能である16式機動戦闘車車体ならば充分対応するでしょう。

 火力支援中隊に120mm火力支援車を配備する、少なくとも整備面で16式機動戦闘車と同じですので、16式機動戦闘車が今後も即応機動連隊や偵察戦闘大隊へ更に広く配備されてゆきます、整備補給体系だけでも全く別個の火力戦闘車を配備するよりも、16式機動戦闘車派生型の120mm火力支援車ならば、互換性があり、一つの車両体系を構成可能です。

 CH-47輸送ヘリコプターで輸送する場合、16式機動戦闘車の車体に搭載したままでは輸送する事は出来ませんが、砲塔システムのみ国産開発する事が出来ましたら、装甲を省き、高機動車へ搭載する事も可能でしょう。もちろん、高機動車に搭載するのならば、そして空輸性を重視するのならば120mm重迫撃砲RTをそのまま運用した方が良いのですが。

 120mm重迫撃砲RTと砲弾の互換性を持たせるというだけでも意味がありますが、例えば81式短距離地対空誘導弾システムは発射システムと射撃統制装置を車載する3t半トラックから取り外しヘリコプターで空輸する事は可能となっています、やっているところ見た事ありませんが。この方式を設計として執るならば、島嶼部防衛に大きな威力を発揮します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (軍事オタク)
2019-02-06 10:13:11
費用対効果と整備性等で判断すべきでしょうが、
面白いですよね。自動化進むし。
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