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静岡県が自衛隊へ災害派遣要請-台風15号豪雨による大規模断水と地域孤立受け,発災三日後-危機管理に課題

2022-09-27 07:01:01 | 防災・災害派遣
臨時情報-台風15号静岡災害
 台風による水害から本日で四日目となりました。暴風圏こそなく中心気圧も台風としては大きくは無かった台風15号ですが静岡県を中心に線状降水帯が発生しました。

 静岡県の川勝知事は台風15号による静岡市清水区の興津川取水口閉塞による大規模断水、そして静岡市や川根本町など23の集落が道路に土砂が流れ込むなどして孤立状態となっている状況を受け、自衛隊へ災害派遣要請を出しました。これを受け静岡県を警備隊区として受け持つ第34普通科連隊等が給水支援を開始しています。しかし発災三日後のこと。

 断水は広範囲に及び、清水区では八割の世帯が断水となっています。清水区といいますと政令指定都市の静岡市一街区と思われるかもしれませんが、町村合併以前には清水市という大都市であり、いうならば旧清水市の八割が断水している状況、静岡県は県と海上保安庁などが28の臨時給水所を設置しているとのことですが、不充分との声が上がっています。

 川勝知事は当初災害派遣要請を出さなかった為、断水や交通遮断は短期間で解消されると受け止めていたのですが興津川取水口閉塞は増水した際に流木などが閉塞し26日朝の時点では復旧見通しよりも、状況確認が完了していない状況でした。すると、災害派遣要請を出さない背景には、静岡県の給水車等に余裕が在った為なのか、こう解釈していましたが。

 自衛隊法83条では災害派遣要請は都道府県知事の所管であり、地方自治法2条からも中央が災害派遣要請を代行し発出する事は、地方自治の原則に反します。平成28年度熊本地震では中央が自治体からの具体的要請を待たずプッシュ型支援という支援物資送付を実施した実例はありますが、これは災害派遣要請を受けての事で、ブッシュ型派遣はできません。

 川勝知事の判断ができない状況であったならば、副知事が災害派遣要請を代行する事は可能です、これは実際過去に実例があり、2011年3月11日、宮城県亘理町において町長が津波により死亡した際、副町長が臨時代行した事例があります、ただこれは公職選挙法東日本大震災特例法が根拠で、実質、県知事を政府が越権し要請を出す法律はありません。

 非常事態法制として、地方自治法や自衛隊法を平時から有事の段階へ切り替える法体系も必要なのかもしれませんが、これには憲法改正が必要であり、法治国家である事を重視するならば法律を簡単に乗り越えられない事は理解しているのですが、今回、大規模な死者は出ていないものの、阪神大震災の兵庫県知事を思いだし、大丈夫なのか、と危惧します。

 興津川取水口閉塞の復旧は今月中には無理の見通し、26日午後には静岡市が土曜日以降順次復旧するとの見通しを発表しており、これは言い換えれば9月中の復旧見通しが無い事を示した形です。すると、静岡県は危機管理の面で、被害状況の把握に三日以上を要した事となり非常に拙い状況を示した事となります。静岡県、防災先進県と考えられていた。

 東海地震、静岡県は元々1974年に大規模地震対策特別措置法に基づく想定東海地震の強化地域となっており防災行政は先進的であると考えられていました、しかし、今回の台風15号災害では後手に回り、先ず被害把握から時間を要する事を示した訳であり、地方自治に当る政治家の危機管理意識というものはもう少し真剣に考えるべきといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (774)
2022-09-27 10:28:36
日本政府の対応も鈍いような気がします
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