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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

台風10号-九州上陸935hpa,ハリケーンハンターが必要-気象庁当初予報紀伊半島直撃を大幅に外した予報精度

2024-08-30 07:00:37 | 防災・災害派遣
■ハリケーンハンターが必要
 C-2輸送機を若干数増勢して観測器材を搭載し台風観測を行う事で予報精度を高める事は出来ないか、現在の台風予報はお盆の台風7号を含め精度が低すぎる。

 台風10号、九州を蹂躙しています。この台風ですがもう少し精度の高い予報は出来なかったのかと疑問に思います。この台風が発生したのは22日、気象庁は27日に大阪に迫るとして五日後の大きな予報円の中心に紀伊半島南部を示し、予報円は九州東岸から静岡県を含めていましたが、実際の上陸は29日、予報円を外れた九州西岸に上陸しました。

 防衛省は気象庁と協力して、ハリケーンハンターのような航空機を用いた台風の直接観測を行う体制を構築できないだろうか。毎回、予報が外れる為に、今回の台風は予測が難しくう、とお決まりの弁明を聞くと共に、コンピュータなどは発展しているのですが、とか、世界の予報と比べても間違ってはいない、という言い訳ばかり発表されるたび、おもう。

 台風を直接観測しなければ、間接的な観測では予報に限界がある。世界の予報と比べても云々という言い訳だけれども、台風に最も近い日本の観測が外れていい言い分ではなく、例えばそれは気象庁がインド洋のサイクロンや大西洋上のハリケーンを観測して外すのと、日本国土に直接接近する台風の観測と予報結果を外すのとでは全く意味が違うのだから。

 天候観測は防衛上も重要であり、例えば戦前と戦時中は台風情報は軍事機密として扱われていました。そして、ノルマンディ上陸やアルデンヌ冬季攻勢など気象条件が作戦の可否となった事は数多く、更に今後インド太平洋地域での中国海洋進出や軍事力による現状変更という脅威を考えるならば、正確な台風予報は抑止力に直結しているとさえ言えます。

 ハリケーンハンターは観測器材を搭載したWC-130気象観測機を運用する第53天候偵察飛行隊という、ハリケーン中心部まで航空機で進出し、文字通りナマのハリケーンを直接観測することで、その正確な情報を得るものです。気象衛星や測候所ドップラーレーダーなど様々な気象観測手段が開発されていますが、直接観測する情報に勝るものはありません。

 いず型巡視船、実は日本には1978年まで、2000t級巡視船である大型の、いず型2隻に気象レーダーを搭載し台風監視にあたっていました。これは1965年10月に発生した台風29号マリアナ漁船集団遭難事件、200名以上の船員が行方不明となり捜索に海上自衛隊が創設以来初の部隊海外派遣を行う事となった災害を受け、台風観測強化として行われています。

 新幹線計画運休など、台風の予報精度が低ければいたずらな経済的悪影響が増えます、台風が月末までに迫るとして来月初旬に予定変更した場合は逆に台風の直撃を受けて、物流や商用に確実な影響が出ている。そんな予算は無い、と言われるかもしれませんが、防衛と気象予報は不可分である事は前述の通り、予算が大事か、防衛が大事か、それだけです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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