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【G7X撮影速報】アルビオンHMS-Albion,東京晴海親善訪問日英艦一般公開(2018-08-05)

2018-08-06 20:05:19 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■イギリス海軍揚陸艦の一般公開
 盆と正月が一緒に来たような、という言葉がありますがイギリス艦とイギリス海兵隊が一緒に来たような、いや、実際来たのですが、活況の晴海へ昨日日曜に行ってきました。

 掃海母艦うらが艦上より望む。イギリス海軍のドック型揚陸艦アルビオンが晴海埠頭で一般公開されました、イギリス海軍の艦艇が一般公開されることは稀ですので、当方は関東北関東のお友達とともに朝0800時から並びまして、1000時の見学開始とともに早速乗艦しました。この点が重要ですね。

 東京も暑い、といいますか畏れていたのは灼熱の太陽と共に数時間見学に待つ、という状況なのですが、流石に日英海軍はそこまで酷い事はせず、晴海客船ターミナルの屋根のある部分で待機できたのは幸い、二時間の待ち時間でしたが、早めに並んでおいて正解です。

 晴海といえば来週行われる巨大イベント、がありますが、当方一行の内半分はそのイベントに実際行ったかスタッフ、という経験者、成程晴海での機転の利いた過ごし方は御存じのよう、大阪港かが一般公開のような直射日光下での待ち時間が回避できたのは正に幸い。

 アルビオンは2003年に竣工した満載排水量16000tのドック型揚陸艦です。海上自衛隊おおすみ型が満載排水量14000tですので一回り大型、という揚陸艦ですが、写真などの知識はあったものの、実際に歩みを進めてみますと、それは実戦即応という鋼鉄の城塞でした。

 400名の海兵隊員を輸送する事が出来るアルビオンは短期間であれば750名の海兵隊員を収容可能で、という説明が為される揚陸艦なのですが、所狭しとコンテナや車両と器材が詰め込まれていまして、特にBvS10の写真を撮れて漸く雪上車写真代用の時代を脱した。

 イギリス海兵隊の歴史は長く、日の沈まない帝国と自負した時代からの連綿と続く歴史を有します。第一次世界大戦ではガリポリ半島上陸作戦にて水陸両用作戦の困難さをつきつけられましたが、海岸線での揚陸作業の効率化、予算面に配慮した母艦への収斂など凄い。

 コマンドー、イギリス海兵隊員は全員がコマンドーです。コマンドー、といいますとM-202焼夷ロケットランチャーを構えた若き日のアーノルドシュワルツネガー御大の筋肉モリモリマッチョマンのスーパーバトルアクション映画を思い出しますが、本物のコマンドーだ。

 コマンドー課程を完了した要員のみ海兵隊員に任官できる制度、コマンドー課程とは自衛隊や米軍のレンジャー課程と同等のもので、選抜の厳しさといえば自衛隊の全員空挺の基本降下課程を経る空挺団や水陸機動団が思い出されますが、こちらより門扉が高いという。

 ノルマンディーからフォークランドまで、イギリス海兵隊の実戦参加は多々あり、水陸両用作戦に必要な能力、第一次大戦では敵のいない場所への上陸という運用基本が破綻後、強襲揚陸を研究しており、アルビオンの設計は過去の歴史が反映されているように思える。

 Mk5揚陸艇とMk10揚陸艇を搭載するアルビオン、しかし上陸作戦は揚陸艇の数が必要であると理解しているようで、アルビオンのドックには大型のMk5揚陸艇が4隻収容できるようになっている、とともに上部構造物のダビットにMk7揚陸艇を4隻収容できる構造が。

 Mk5揚陸艇は人員用上陸用舟艇で、2tまでの物資や車両を搭載可能です。しかし特筆すべきは鈍足な印象のある揚陸艇の見た目とは裏腹に速力25ノットを発揮でき早い、L-7機銃を標準搭載、35名一個小隊の海兵隊員を輸送する事が出来ます、お値段100万ポンド、と。

 MK10は速力10ノットと、鈍足ではありますが戦車を揚陸でき、また飲料タンクや生活排水処理施設を有し二週間程度の独立運用能力がある。イギリス海軍は海上自衛隊のLCACのような高性能、そして1隻90億円の揚陸艇は有しませんが変わったものを持っている。

 Mk10揚陸艇についてはチャレンジャー2戦車を輸送可能です。アルビオン級はチャレンジャー2主力戦車6両と水陸両用装甲車33両を輸送できる設計、おおすみ型輸送艦は大型トラックを30両以上輸送できますが、イギリス海軍はドック型揚陸艦でトラックは運ばない。

 ベイ級補助揚陸艦という揚陸第一陣が海岸橋頭堡を確保したのちに車両を揚陸する補助艦、速力がかなり遅いのですが、王立補助艦隊に配備されていまして、アルビオン級が海岸堡を確保した後に内陸に部隊を進出する際に必要となるトラック、支援部隊を揚陸させます。

 艦内にはBvS10水陸両用装甲車はところ狭しと搭載されていました、BV-206もいましたね。BvS10は当方がなにかにつけて自衛隊に必要だと強調するBVー206全地形車両の装甲型、数がそろうと壮観でした、そしてところ狭し、実際飛行甲板にも装備搭載されていた、という点が特色でした。

 飛行甲板に車両を搭載、海上自衛隊も輸送艦おおすみ型で飛行甲板を有する露天甲板にて普通に行っていますが、重要なのは輸送艦おおすみ型ではエレベータを用いて車両甲板から露天甲板へ車両を移動させるのに対して、アルビオン級はスロープを用いているのです。

 沼津での揚陸訓練にこれがあれば無敵だった。おおすみ型の方式は、エレベータに航空機を搭載したならば、実際にローターを取り外したUH-60JAなどを搭載し人道支援任務に当たった事例はありますが、エレベータが故障しますと打つ手無し、そしてスロープに対し時間を要する点が難点として挙げられましょう。

 アルビオンのスロープは、驚いたのはドックと一体化した車両甲板からそのまま飛行甲板に、通常航空機格納庫に用いられる区画がそのまま車両用スロープとして用いられていた点です、スロープにも係留設備があり、車両が満車となった場合、ここに駐車可能だ。

 ジャッカル耐爆車両やBvS10水陸両用車が丁寧に敷き詰められていまして、車両搭載に際しては艦内容積から厳密に車両の配置が、揚陸艇上や飛行甲板係留の位置を含めて、定められているとのことですが、いっさい無駄がない、敷き詰められたという印象が強い。

 アルビオン満載排水量16000tは確かに大型ですが、アメリカ海軍のドック型揚陸艦と輸送揚陸艦に強襲揚陸艦が織りなす統合両用戦能力はイギリス海軍にはありません、除籍が遠くないオーシャン級コマンドー空母1隻、アルビオン級2隻、ベイ級補助揚陸艦3隻のみ。

 オーシャン級コマンドー空母は空母プリンスオブウェールズ竣工をまって除籍、一節にはブラジル海軍が取得というお話も聞こえますが、アルビオン級のアルビオンとブルワークの二隻はイギリス海軍水陸両用作戦能力に際して非常に重要な地位を有している訳ですね。

 BvS10水陸両用装甲車、飛行甲板に並ぶ車両は晴海埠頭からもしっかりと見えていまして、全地形車両ですので連接構造の車体を採用しているのですが、実際の数よりも多くみえた。一度見てみたかったジャッカル耐爆車両の実物にも驚きだ。敷き詰められているといいますか、目一杯乗せているようみえるのがおもしろい印象をうけました。

 おおすみ型輸送艦の共同転地演習へむけての車両搭載の様子を幾度か拝見の機会がありまして、74式戦車を積載する様子もみることができたのですが、なにか、もう少し敷き詰めれば搭載できるような余裕、を感じたのはアルビオンをみてきのせいではなかった、と。

 イギリス海兵隊の車両ですが、そもそもアルビオンは豪州派遣されたのが四月、その後は北朝鮮船舶の国連制裁利口監視任務、そして中国の人工島という暴挙へ航行の自由作戦に参加するなど任務実施、そして今は八月、これはきわめて長期間行動しているわけですね。このアルビオンは8日朝に出港予定です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (軍事オタク)
2018-08-07 13:35:31
陸自と海自は是非参考にして色々と装備を増やしたり、運用を研究してほしいですね~
アメリカ海兵隊とは違う魅力を見習ってほしいです。
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