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【京都幕間旅情】真如堂,最澄に師事の円仁"うなずきの弥陀"は御十夜法要経て一日の御開帳

2021-11-17 20:00:19 | 写真
■秋の京彩る紅葉景色とともに
 本日は秋を彩る美しい紅葉の季節ゆえの真如堂ともう一つを巡る二部構成としましょう。

 三重塔が紅葉に浮かぶ、ここまで美しかったかと息を呑む瞬間です。ここは真正極楽寺、真如堂として親しまれる京都市左京区浄土寺真如町の御寺だ。少し小高い金戒光明寺に隣接した寺域には洛陽三十三所観音霊場第5番札所の新長谷寺が鎮座し、静けさに浮かぶ。

 真如堂。十一月となりますと紅葉の季節、ということも確かなのですが、洛中が高雄や鞍馬のあたりから徐々に冬支度の椛や楓と銀杏に桜の木々が紅く色づくそのころというのが、ここ真如堂ではちょうど一年に一度だけ、御本尊、その御開帳を迎える日でもあります。

 うなずきの弥陀。真如堂の御本尊は最澄の弟子、円仁が開山となりました際の伝承が説話的で興味深い。円仁も師事した最澄、その道程を辿り仁明天皇の命を受け承和年間の西暦838年、遣唐使に留学生として参加します、なおここでいう留学生は"るがくせい"と読む。

 円仁は中国の五台山にある寺院に臨み、ここで文殊菩薩の光臨をみたといい、浄土念仏の教えを授けられたという。真如堂の御本尊は、この際に円仁が自ら彫像しました阿弥陀仏像とされています。日本仏教は超人的な空海と努力の巨人最澄が一時代を築いたものです。

 最澄に師事した円仁が開いたお堂は、天台宗の寺院となりましたが天台宗は国家鎮護と仏教の二つの願いとともに広がる宗派であり大衆に分け入る宗派とは距離を置き、これは天台宗総本山、比叡山延暦寺が示すように荘厳重厚な本堂に象徴されている国のお寺でした。

 文殊菩薩の光臨、この際に円仁が彫像しましたいまの御本尊は、仏師ではない僧侶が自ら彫像したものでありますが、仏像は真如堂開山前の承和年間は西暦847年に日本へ帰国しますと、比叡山延暦寺の常行三昧堂、その御本尊として安置されいる仏像の胎内にある。

 天台宗は、国家鎮護という国の願いと、しかし仏教の本旨である万民の救済の中間にあります寺院です。故に国家鎮護よりも万民安寧あってこその国家だとの認識から多くの宗派が別れ、恰も東京大学が官僚養成校でありながら人材を人財として社会に供給するよう。

 円仁も、やはりこの視点に考えさせられたようで、持仏を胎内に納める阿弥陀仏像を帰国後に彫像する際、衆生を救うために比叡山を降りて衆生の中で教えを広めたい、こう閃いたその瞬間に目の前に、阿弥陀仏像がこう、頷いた、そのように見えたというのですね。

 うなずきの弥陀。御本尊はこうして一時は延暦寺の常行三昧堂に御本尊として安置されましたが、円仁は延暦寺の僧侶として、しかし参拝者を通じて、世界観を説いてゆくこととなります。そして円仁は生涯比叡山に在りましたが、百年ほど時代が過ぎることとなる。

 戒算。真如堂の開山は比叡山の僧侶戒算でした、既に百余年にわたりうなづき弥陀として崇敬された仏像を洛中へ、戒算は夢のお告げを受けたといいまして、これを受け御本尊は遂に比叡山を下りまして、一条天皇の母堂東三条離宮に納められることとなりました。

 女人救済、永観2年こと西暦984年、うなづきの弥陀はこうして新しく造営されました真如堂へ納められることとなります。ただ、応仁の乱では金戒光明寺へ疎開し、本堂再建まで更に大津は穴太に疎開、今出川に再建されたお堂も豊臣秀吉京都大改造で移転します。

 宝永年間の西暦1705年、幾多の火災と移転を経て当地に真如堂が再建されるうこととなりまして、そして十一月は御十夜法要の最後の日、11月15日に一年に一度の御開帳を迎えます。当方拝観の日は御十夜法要の最中、初冬の寒さの中に一種静謐な空気が、ありました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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