北大路機関

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新しい88艦隊を考える二〇二四【2】八月八日は88艦隊の日,日本だから入手できるF-35Bをいかす

2024-08-12 20:01:17 | 北大路機関特別企画
■全通飛行甲板型の護衛艦
 新しい88艦隊を考える。

 ひゅうが型護衛艦、いずも型護衛艦、日本には全通飛行甲板型の護衛艦としてこの二種類が現役です。いずも型護衛艦は航空機運用を重視し個艦防空能力を最低限とした一方で船体規模を十分確保し満載排水量は27000t、ひゅうが型護衛艦は艦砲を除けば汎用護衛艦並みの戦闘能力を持つ分船体規模は抑えられ満載排水量は19000tとなっている。

 インヴィンシブル級軽空母が満載排水量20500t、F-35Bは開発開始のJSF計画当時にこのインヴィンシブル級に搭載する事を念頭としていましたので、いずも型護衛艦の規模の護衛艦を8隻揃える、というのは一種の浪漫を感じる一方で、国力を考えると現実的なのかな、と考えますと、22000t程度に抑えるのが一つの方向性として妥当なのかな、と。

 ミストラル級強襲揚陸艦の満載排水量が21500t、もっともフランスはF-35戦闘機を採用していませんのでミストラル級にF-35B運用能力は想定されていないのですが、近年はトルコやエジプトにアルジェリアやカタールと全通飛行甲板型艦艇の運用が増大している中にあって、過小過ぎず過大過ぎない船体規模なのだろうと考えるのです。

 全通飛行甲板を有するヘリコプター搭載護衛艦が8個護衛隊すべてに配備されたならば、できることは大幅に増えます。まず、1990年代にモジュール艦という、武装をコンテナモジュールに載せて任務ごとにモジュールを載せ替えるという、発想だけ先行して実用化に失敗した構想がありました、これが航空機ならば実現が容易いといえるのです。

 モジュール艦は小型艦に対艦ミサイルを積んでミサイル艇、掃海システムを搭載して掃海艇、対空ミサイルを載せて護衛フリゲイト、として転用できいるという発想で一部の国で検討されごく僅かに建造まで達しましたが、モジュールの管理費用とモジュールごとの訓練費用がかさみすぎるということで、既設艦を含め、ほぼほぼ実現していない。

 ヘリコプター搭載護衛艦であればしかし、モジュール艦の任務を対応できる。AH-64D戦闘ヘリコプターとMV-22可動翼機にCH-47JA輸送ヘリコプターを搭載しますと、強襲揚陸艦とかコマンドー空母という任務に対応しますし、SH-60KやSH-60Y哨戒ヘリコプターを定数通り搭載しますと対戦中枢艦に、もちろんバートレップ輸送も対応し。

 航空機そのものを載せ替えるのは数時間で可能で、搭載機をF-35B戦闘機とSH-60Y哨戒ヘリコプターに切り替えるだけで対戦中枢艦にもなりますし、MCH-101掃海輸送ヘリコプターを数機のせかえるだけで掃海母艦にもなります。モジュールではなく航空機ならば、なにしろ発艦したあとで別の機体を着艦させるだけで完了なのだから。

 重要な点は、飛行甲板に並んでいる航空機はともかくとして、格納庫になにを搭載しているのかは一見してわからない、ということで、それはモジュール艦にはない、手の内を示さないという点で大きな意味があります。戦闘機を搭載しているのか、哨戒任務だけなのか。相手に不確定要素をつきつけられる点もポテンシャルといえる。

 ヘリコプター搭載護衛艦一隻だけでは中国空母に太刀打ちできない、こういう反論はあるかもしれません、しかし、だからこそ、数の優位性を示せるためにその増強が必要だとヘリコプター搭載護衛艦の有用性を指摘したい。戦場はスポーツではないのですからかならずしも1対1で決闘のような戦いを行うのではないのです。

 大型艦は大きな能力を集約できる利点はありますが、同時に二カ所に展開することはできません。そして、複数の方面に分散運用できると言うことは同時に、相手に分散を強要することもできる。もちろん、中国が戦闘機を運用できる航空母艦を8隻整備したならば話は多少変わってくるのですが、今でようやく3隻なのです。

 日米同盟とF-35B,遠くない将来に中国にも垂直離着陸と超音速飛行が可能でステルス設計をもつ第五世代戦闘機が開発される可能性は否定しないのですが、中国はまだ、VTOL攻撃機を実用化できていませんし、第五世代戦闘機もJ-20とそして試作機でJ-31を開発し艦上機として用いる研究はすすめられていますは、まだ先のはなし。

 JSF計画は、F-15C戦闘機とF-16C戦闘機にF/A-18C戦闘攻撃機やA-10攻撃機とAV-8攻撃機を一機種で置き換えるという、実用化数年前までは、さすがに無理だろう、と思わせる計画を大量の予算をつぎ込んで実現させた航空機です。故にコンセプトと予算集中というマネジメント能力だけでも未来を手にできた航空機、これを搭載できるのだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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