◆そうりゅう型潜水艦
本日、川崎造船神戸工場において、そうりゅう型潜水艦四番艦けんりゅう、が進水式を迎えました。建造中の様子は神戸のポートアイランド周辺からやや遠いですが見る事が出来ます。
そうりゅう型については、先日掲載しましたので、本日はその造船所について。写真は護衛艦ひえい、三月に練習艦隊の旗艦として神戸港に入港した時の様子です。実は造船所は、このすぐ近くにありまして、練習艦隊神戸寄港のこの日には、おやしお型潜水艦が定期整備の為に入港していました。
練習艦隊が入港したのは神戸ポートターミナル。10万㌧クラスの大型客船も同時に2~3隻が接岸できるという巨大な客船埠頭で、三宮から2km、神戸新交通のポートターミナル駅と隣接しています。潜水艦が建造されているのはこの写真の左側にある造船所のなかで進んでいます。
神戸大橋とポートピア大橋。全長319㍍の鋼橋で、神戸大橋が神戸港新港第四突堤とポートアイランドを結ぶ自動車橋、ポートピア大橋が神戸新交通のポートライナー用鉄道橋となっています。写真ではちょうど橋を渡る自動車とともにポートライナー2000系が進んでいるところが写っていますね。
神戸大橋からズームしますと、川崎造船神戸工場がみえます。ここでは、そうりゅう型潜水艦の、うんりゅう、が建造されました。かつて公試中の潜水艦もちしお、を大阪湾展示訓練で撮影することが出来ましたが、おやしお型の、もちしお、もここで建造されました。よく見ると写真右端にも潜水艦。
ポートターミナル駅からの撮影。神戸ベイクルーズに乗船しますと、より間近から見る事が出来るとのことです。神戸ベイクルーズは神戸港中突堤から運賃1000円で1045~1645時の毎時15分と45分に運行されていて、臨時便が朝の1015時や1700時台に運行されることもあるそうです。
ポートライナーは神戸空港へポートアイランドへとJRと阪急、阪神が揃う三宮からかなりの本数が運行されていまして、みなと異人館等、観光名所とも結んでいます。本日の記事は、そうりゅう型の写真を一枚も使わず作成しましたが、興味が御有りの方は神戸に行かれた際、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
潜水艦の増勢が報道されてしばらく経ちますが、人員の確保はいかに?という疑問を持つ今日このごろです。6年程度では間に合わず、10年以上かけて徐々に22隻体制を整えていくのでしょうか。
ちなみに、些細なことかもしれませんが、川崎造船は2010年10月1日、川崎重工と経営統合しましたので、正確には川崎重工神戸造船所になるかと思います。
あと、8月末に出された安保懇の報告書を読んでいて思ったのですが、日本は今後、米軍のAirSeaBattle構想とどのように整合性を高めていくんでしょうか。12月の大綱発表で大枠は明らかになるのでしょうが、政権が政権なだけにまったく見当がつきません。
とりあえず、陸は大幅縮小で、戦車は600をはるかに割り込んで、実質400ぐらいに落ち着く?西部方面隊の一部は海兵隊化、沖縄方面の2万人増員は結局1万前後に落ち着き、今後重点シフトされるはずのC4ISR強化や航空基地機能の脆弱性改善も中途半端にとどまる。。。着上陸対処はかなり軽視され、水際撃破なんて夢のまた夢、遅滞行動で持ちこたえられるかもあやしくなり、失地回復のための反攻は、もう米軍へ丸投げ状態に・・・こんな暗い予感しかしません(汗
AirSeaBattleに関する、はるなさんの見解を少しお聞かせいただければ幸いです。
りゅう、そうりゅう型は“りゅう”で統一して、別の潜水艦では“りゅう”以外の名称とするのかな、と。
しかし、それを考えると伊号潜水艦の名称は無尽蔵でしたね。
リチウムイオン電池、なかなか実現しませんね。しかし、中途半端なものよりもしっかりと予算を付けた方が、無駄にはならないのでは、と思います。数を揃えるのが任務ではなく、防衛が任務ですからね。
川崎造船の川崎重工への経営統合の話、ありがとうございました。川崎造船時代から川重マークが掲げられていて、もともと100%子会社と聞いていましたので、どう書けばいいか分からず、当方も困っていました、感謝です。
防衛大綱改訂は、正直予想がつきません。戦闘機定数がF4純減で240機程度になる可能性もありますし、護衛艦定数も約40隻、という可能性は充分あります。戦車も、わかりませんね、400となれば10式の量産に深刻な影響が出てきますし、一方で海兵隊化なんて、海兵隊の航空火力と空中機動能力を正確に理解しているとはとても思えません、せいぜい小銃とボートに軽装甲車の海軍陸戦隊化におわるのでは、と。
AirSeaBattle構想ですが、そもそも日本では無人機の運用基盤が航空法上不明確で、しかもその無人機を運用損失を恐れて有人機以上に運用制約を行い、必要な数も確保できないという状況、無人機と巡航ミサイルによる戦力投射は本来、現在の防衛大綱における最低限の規模を主要装備が下回っている状況でこそ導入するべきなのですが、普通に予算縮減で代案無し、という妥結となりそうで。
潜水艦ですが、AIP潜水艦の増強よりも、はるしお型潜水艦の維持強化もかなり重要視した方がいいのでは、と。
タモさんですが、ううむ、それよりもこういうときに旧民社党系の西村代議士が民主党にいてくれれば、よかったと思っています。
こちらこそ、いつも興味深い記事を読ませて頂いております。
ただ、川重がなぜこの時期に川崎造船も含めて、部門としてはさして採算性のよくない子会社を一気に経営統合したのか、その意図はよくわかりませんが。KPMのような、かなり高収益な部門は理解できますけど。
それはさておき、防衛大綱に関して、これだけ正面装備軽視の傾向が続くと、現時点での抑止力確保はともかくとして、20~30年後が不安です。加速度的に防衛基盤の崩壊が起こる可能性を危惧します。
そういえば、F-35、導入決定?の報道もありましたが、もしそうであれば、ラ国できる見込みもない機体を導入して大幅に稼働率を低下させることになりかねませんよね。他方で、MHI名航のラインはMRJに向けて準備が進んでいるようですし。
戦車定数に関しては、10式が年産14両程度と見積もっても、74式の退役が上回ってしまい、やはり、減勢が免れないようにも・・・
戦車を失った機甲科隊員を、無理矢理普通科に回すわけにもいかず、駐屯地業務隊にプールしたり、沿岸監視隊に異動させたりと、現場では難しい人事のやり繰りをしていると地本で伺ったことがあります。
機動戦闘車はこれへの埋め合せでしょうね。戦車定数に押し込まれてなければいいですが、やはり財務官僚には「車両に全周砲塔がついていればみんな戦車」みたいに解釈されかねませんね・・主計官は査定2ヵ月ほどまえからの「即席詰め込み勉強」で得た知識しかないと、間接的に伺っております。
仰るように、十分な近接支援もなしに、まともに離島防衛なんてできるはずもなく、「海兵隊化」という御旗のもとに、陸自の縮小・弱体化が進むのではと思ったりもします。
AirSeaBattle構想に関しては、無人機の拠点が実質的に硫黄島に限定されたりと、整合性確保には、日本独自の困難が伴うようですね。
予算縮減の中でも、せめて、ISR強化だけは必要かと思います。日本版NSCの設置と合わせて、情報能力の強化はやっていただきたい。
個人的に、AirSeaBattle構想については、米軍のさらなる長射程、遠距離プラットフォームへの傾斜、前方展開見直しによる在日米軍兵力のシャドウフォース化が連動していることが印象的です。中国によるA2AD環境構築は、米軍にとって本当にそこまで深刻なのか?とも思ったりしますが。
防衛大綱ですが、こうなりますとここまで自腹を切って防衛産業を維持して基礎技術の研究開発に尽力した重工から日本は見はなされてしまうようにも・・・。本来、国の予算で行うべきところをかなり重工にやってもらっていますからね。
これを癒着、と批判した方も過去にはいるようですが、それならば重工ではなく、技本でもっとしっかりと予算を付けて行うべき、と。川重も当初250機導入とされたOH-1を33機でしたか、一方的に切られていまして、これは民間企業同士で行えば確実に下請法に引っ掛かるのでは、と。
10式戦車ですが、そもそも74式戦車が年産50~70両という時代の戦車が、一世に毎年耐用年数を迎えて除籍されているのですから、数を維持するためには毎年50両という生産を維持しなくては不可能でしょう。本来、90式戦車もこのくらいの生産が必要だった訳で、せっかく10式で低コストを実現したにもかかわらず、これでは、この国話をしたいのか・・・。
機甲科隊員、特科職種の方は普通科の重迫撃砲中隊に転科、ということはあるようです。・・・、半ば冗談で同じ機甲科職種の偵察隊が防衛大綱の装備品定数に含まれていませんので、偵察隊を偵察大隊に改編してしまうということも検討されてしかるべきではないでしょうかね。
財務省主計官の方とは面識ありませんが、大蔵省主計官のOBの方からは、とても此処にかけないようなお話を伺いました。年代、ということもあるのかもしれませんが、某戦闘機の選定期に防衛庁へ出航していた事もあり、物凄い知識と理論の複合から生む防衛観をお聞きして、驚きました事はあります。詰め込み以外の方もいらっしゃることは確かなのですが・・・。
ISR強化にしても、無人機にしても、とにかく革新的な物事なのに、これが実行しようというもの、気がいも予算や部隊編成面で伝わってこないのが・・・。陸自の新型無人機が幾つか報じられていますが、あれは中隊や小隊規模で本来使うべきものなのですよね・・・。
おそらく、軽装甲機動車が陸自の機械化を一気に進めたように、なにか、革新的な装備が数年以内に開発されて、十年前後で一気に無人機の運用は普及する、と考えているのですが、しかし航空法と関わる分野になってきますと・・・。
無人機運用拠点ですが、しかし統制中枢は市ヶ谷でも府中でもいいのですから、運用中枢はメガフロートのような浮体建造物であっても大丈夫なのでは、と。特に中部太平洋と南方海域を考えれば、那覇基地の分屯基地として、入間基地か浜松基地の分屯基地として、浮体構造物による無人機運用、というのは検討されてしかるべきでしょう。
わが国の場合、特に海洋監視に無人機の重点を置くべきでして、特にRQ-9程度の機体に赤外線誘導方式のGSS-1を取り付けたMk82爆弾を搭載すれば、必要に応じて打撃力をもつ無人機ともなり得るのかな、と。本ブログで幾度か警戒している太平洋正面や小笠原諸島へのF-2配備の必要性ですが、RQ-9の飛行隊でも、ある程度置き換えるのではないでしょうか。二機編隊で運用すれば、わが国EEZ内で無人機に対してでも、攻撃が加えられれば、自衛権を発動する要件を満たし得ますし、ね。