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キューバ危機以来となる全面核戦争の危機-バイデン大統領が警告,核兵器使用への二つの懸念と我が国への影響

2022-10-08 07:00:54 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシアがウクライナで核兵器を爆発乃至使用示唆により目的を達する事が叶ったならば、スヴァルキギャップやポーランドと北海道でロシアは同じ事を試みるでしょう。

 バイデン大統領はニューヨークで行われたアメリカ民主党会合において、現在は1962年のキューバ危機以来となる全面核戦争の危機にある、として危機感を露わとし、戦術核兵器の使用であっても全面核戦争に陥らずに済む保証などというものは存在しない、こう表明しました。ロシアは占領地が次々と奪還される中、核兵器使用を繰り返し示唆しています。

 ロシア軍はどの状況で核兵器を使用するのか、此処が疑問符です、しかしロシア軍が使用するのではなくロシア政府が使用すると考えると、別の難しさが出てきます。ロシア軍の核兵器使用懸念について、留意しておかなければならないのは軍事的合理性に基づく使用は行われず、それ故にどの時機に用いられるのかが戦況から判断されにくいという問題だ。

 軍事的に難しいのは、本来戦術核兵器は大規模補給処や密集した機甲師団等に対して使用されるのですが、そもそもロシア軍はウクライナ軍補給拠点を攻撃すると称して全く関係ない集合住宅を攻撃するなど、目標を正確に把握する能力に欠けています。また、ウクライナ軍は機械化部隊による集合と分散を多用し、過度な密集を回避する運用を徹底します。

 時機について、疑問符なのはロシア軍の作戦基本単位が今なおBTG大隊戦術群と師団というものであり、師団長は第一線状況を的確に把握できていない、これは緒戦で多くの将官が自ら前線視察に趣き戦死した事で自明なのです、そうした状況では、前線から戦術核使用の要請を受けても、発射するまでの時間でウクライナ軍は分散を完了する可能性がある。

 指揮系統は滅茶苦茶であるロシア軍、ロシア軍は開戦から三カ月間、ウクライナ侵攻作戦の総指揮官を定めず別個に軍団単位の作戦を進めていた事はご記憶でしょう。この状況では、戦術核をどのように使うかが、その判断を担う指揮官と指揮系統の時点で軍事的判断よりも政治的判断が優先され、使用し国際的批判を招いても戦果は薄い可能性が残ります。

 500kt級の核兵器でも使用しなければ、ロシア軍の目標標定能力が低い現状を見ますと、広範囲を一度に破壊するという安易な選択肢を用いるのではないか、こうした別の危惧が生じます。以上の通り懸念する点は、軍事的な効果が薄い為に結果的に何発も短期間で使用する懸念、そして目標標定能力が低く過度に強力な破壊力の物を使用する、という点です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (774)
2022-10-08 07:39:49
ロシア軍は未だに指揮系統が無茶苦茶だとは
これでは動員兵にモシンナガンを装備させて投入しても
無意味にすり潰されるだけだな
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