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南スーダン派遣施設隊第六次派遣隊、帯広第5旅団第6普通科連隊基幹に千歳から出国へ

2014-05-13 23:42:58 | 国際・政治

◆第3師団と交代、事実上内戦状態の南スーダンへ

 防衛省によれば、南スーダン派遣施設隊第六次隊が編成、23日より順次出発するとのことです。

Gimg_2437 第六次派遣部隊は、帯広の第五旅団を基幹圧して編成、指揮官を第六普通科連隊長野村昌二1佐とし、400名を以て派遣部隊を編制しました。部隊は昨年より展開している第三師団基幹の第五次派遣部隊と交代することとなっています。特に南スーダン情勢は悪化の一途を辿っていますが、派遣部隊は計画通り展開するとのこと。

Img_2583 南スーダンPKOは民主党政権時代に派遣が決定されたものですが、補給線や連絡線が長く現地情勢が極めて不安定であるのに加え隣国スーダンとの関係にも問題があり独立までの武力紛争を経ての膨大な戦力蓄積があり、そこに国連憲章七章措置に基づく集団的自衛権行使としての派遣が行われるPKO,最悪は自衛隊へ戦闘部隊派遣を要請されることもあり得、考えさせられるものは色々とあるものでした。

Gimg_2000 第五旅団派遣部隊は、先発隊85名が23日に千歳を出発し定期便にて24日にジュバ空港へ展開します。主力第一波は175名を以て6月4日に千歳をチャーター機にて出発し5日にジュバ空港展開、主力第二波139名は6月18日千歳をチャーター機にて出発し19日ジュバ空港展開、現地へ入る。

Img_4627 第五次派遣部隊の帰国は先発隊75名が23日にジュバ空港を定期便で出発し25日に関西空港帰国、主力第一波109名は6月3日にジュバ空港を出発しチャーター機にて6日に伊丹空港へ帰国、主力第二波215名は17日にジュバ空港を出発しチャーター機にて20日に伊丹空港へ帰国する、と発表されました。

Img_2309 他方で、冒頭にも記しましたように南スーダン情勢は悪化の一途をたどり、昨年末には韓国隊が反乱軍に包囲され、陸上自衛隊が派遣国中唯一韓国軍が使用する22口径NATO弾を装備していたため、自衛隊創設以来初めて実任務中の外国軍へ弾薬を供給した事例となったのはご記憶の方も多いでしょう。

Himg_5793 南スーダンは昨年より活動する反乱軍との停戦交渉が幾度も締結後破綻しており事実上の内戦状態となっています。陸上自衛隊の活動地域ではまだ戦闘状態に陥ってはいませんが、避難民が続々と押しかけており、宿営地付近にも多くが集まっているという状況、国連は派遣国へ戦闘部隊の派遣を要請していますが、実現していません。

Himg_2381 自衛隊は万一の場合を想定し長期化した際に備え十分な弾薬などの備蓄を行っていますが最近では11日に締結された停戦合意が数時間で破綻するほどの緊迫した状況で、新しい国づくり支援、という陸上自衛隊の派遣は、そもそも成り立っているのか、という危惧もあります。

Nimg_1676 一方で政治では集団的自衛権に関する憲法解釈の変更や新しい指針が提示されつつあるところではありますが、現在派遣されている南スーダンPKOは国連憲章七章措置に基づく平和執行としての集団的自衛権行使ですので、このあたり我が国の政争と識者の論争は現実からかなりかい離し、結果意味の無い建前の言質を巡る論争になっているのではないか、という気がしてなりません。

Pimg_4423  同時に南スーダンPKOが国連憲章七章措置に基づく行動として実施されているのですから、これが平和執行へ転換される可能性は充分あるため、今後、我が国としてどう展開するか、現実と乖離している集団的自衛権に関する論争についても目処をつけ、状況に対応できるよう求められます。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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