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【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【04】くらま,観閲式はじまる(2009.10.23)

2019-09-22 20:02:00 | 海上自衛隊 催事
■旗艦-護衛艦あしがら先頭に
 自衛隊観艦式はイージス艦あしがら先頭に陣形を組みいよいよ観閲式へと進みます。

 観艦式、受閲艦艇部隊として旗艦-護衛艦あしがら(DDG-178第2護衛隊群-第2護衛隊)が航行して参りました、受閲艦艇部隊第1群護衛艦はたかぜ(DDG-171第4護衛隊群-第4護衛隊)と護衛艦さわかぜ(DDG-170護衛艦隊直轄艦)等艦艇が続く、小規模でも観艦式です。

 旗艦-護衛艦あしがら(DDG-178第2護衛隊群-第2護衛隊)は護衛艦あたご型二番艦のイージス艦、第1群護衛艦はたかぜ(DDG-171第4護衛隊群-第4護衛隊)はデジタルターターシステム艦で護衛艦さわかぜ(DDG-170護衛艦隊直轄艦)は前型、最後の護衛艦隊旗艦を担う。

 ひゅうが、全通飛行甲板型の艦容が際立ちます、満載排水量19000tという海上自衛隊最大の護衛艦で、はるな後継艦です。そしてこの観艦式が執り行われている、まさにこの時に横浜では二番艦いせ、の建造が進められています。ひゅうが型はこの観艦式が初参加です。

 全通飛行甲板を有する護衛艦は航空機運用中枢艦であると共に指揮統制中枢艦として巨大な通信能力と指揮統制能力を有し、この二年後に発生した東日本大震災にも活躍している。なお、この二か月後、22DDHとして護衛艦いずも型の予算要求が出され、政府が了承へ。

 受閲艦艇部隊第2群護衛艦ひゅうが(DDH-181第1護衛隊群-第1護衛隊)と護衛艦さざなみ(DD-113第4護衛隊群-第8護衛隊)に続いて受閲艦艇部隊第3群護衛艦ゆうばり(DE-227護衛艦隊直轄-第15護衛隊)と護衛艦ゆうべつ(DE-228護衛艦隊直轄-第15護衛隊)が見えた。

 SH-60J/K哨戒ヘリコプターの編隊が上空を飛行しています、航空部隊は続く祝賀飛行にも備える。受閲艦艇部隊第4群潜水艦そうりゅう(SS-501第1潜水隊群-第5潜水隊)も見え始めました、観閲部隊は14ノット、受閲部隊11ノット、彼我かなりの速度で近づいてゆく。

 制形という陣形を整えた観艦式参加部隊は、観閲部隊が三浦半島から富士山へ向かい、観閲付属部隊も並行して航行します。観閲では受閲艦艇部隊が観閲部隊と観閲付属部隊の中間を富士山方向から三浦半島方向へ航行、観閲艦に敬礼を行う、これが観閲式なのですね。

 あしがら。妙高型重巡洋艦足柄を継ぐイージス艦で、2008年3月13日就役の最新鋭艦です。満載排水量10000tと基準排水量7700t、SPY-1Dレーダーによる650km圏内の目標を追い射程100kmのスタンダードSM-2ミサイルを21目標同時対処させ、艦隊防空を担う。

 観艦式当時あしがら艦長は山崎浩一1佐、あたご型護衛艦はこの後に弾道ミサイル防衛対応改修を受け射程1100kmのSM-3を積む。奥を往くのは観閲部隊先導艦として戦闘を進む護衛艦いなづま、艦長田中久行2佐は護衛艦やまぎり艦長経て一回り大きな艦の艦長に。

 イージス艦はSPY-1D多機能レーダーにより得た1100以上の目標情報を脅威順に標定し、21目標に同時対処する。C4Iデータリンクにより各艦の情報は共有され、イージス艦が増えれば増える程、クラウド化した情報処理能力が強みに。奥には警戒艦はつゆき型の姿が。

 受閲艦艇部隊第2群護衛艦ひゅうが(DDH-181第1護衛隊群-第1護衛隊)と護衛艦さざなみ(DD-113第4護衛隊群-第8護衛隊)の姿が。ひゅうが艦長は山田勝規1佐、大型艦を扱うエキスパートとして後の第1輸送隊司令に。護衛艦さざなみ艦長は溝江和彦2佐が務める。

 くらま、あしがら、いなづま。くらま艦長は柏原正俊1佐、柏原艦長はこの時の操艦技術から後々、練習艦隊かしま艦長となります。さざなみ艦長溝江和彦2佐はこの後に1佐昇進と共に観艦式で二隻前を進んでいるイージス艦あしがら艦長を命じられ、不思議な縁だ。

 受閲艦艇部隊第1群護衛艦はたかぜ(DDG-171第4護衛隊群-第4護衛隊)と護衛艦さわかぜ(DDG-170護衛艦隊直轄艦)、はたかぜ艦長は千代野正2佐、さわかぜ艦長は森﨑真司2佐、イージス艦配備前までは二隻のターターシステム艦が艦隊の前後を分けて防空に当った。

 はたかぜ、はたかぜ型1番艦で神風型駆逐艦旗風と米軍供与あさかぜ型護衛艦はたかぜ艦名を継ぐ。基準排水量4600tと満載排水量5900tです。ターターシステムによる艦隊防空を担い、射程38kmのスタンダードSM-1を搭載しています。イージス艦までの過渡期だ。

 こんごう、あしがら。金剛型戦艦金剛の名を継ぎ、ミサイル護衛艦として初めてイージス艦であり山岳名を冠した。こんごう艦長は鍋田智雄1佐、基準排水量7200tと満載排水量9500tで当初は6000t型ミサイル護衛艦として艦名も、ゆきかぜ型が検討されていたという。

 くらま、はたかぜ。1980年代の護衛艦隊を象徴する情景、はたかぜ型は当初4隻が建造予定でしたが、アメリカのイージスシステム日本供与の可能性が海上幕僚長の海軍作戦部長直談判という日本側の熱心な姿勢が通じ目途が就いた事で、こちらは2隻のみの建造へ。

 127mm単装砲Mk42,射程23kmでマウント重量は58tという強力な艦砲、しかし本艦の任務は防空で前方のSPS-52三次元レーダーと後方のOPS-11二次元レーダーを用い、得た脅威情報をMk.11ミサイル発射器から投射するスタンダードミサイルにより任務に活かす。

 さわかぜ、たちかぜ型護衛艦3番艦として建造されましたが、1番艦たちかぜ竣工が1976年であったのに対し、さわかぜ竣工は1983年と期間が空いています。この為、Mk.11発射器は40発の弾庫を有しますが対艦ミサイルの搭載も可能になるなど、部分改良があります。

 くらま、が海上自衛隊最後の蒸気タービン艦として除籍されたのはこの観艦式から後の2016年ですが、くらま竣工は1981年、対して護衛艦さわかぜ竣工は1983年ですので結果的に、さわかぜ、は海上自衛隊が最後に建造した蒸気タービン推進方式の艦となりました。

 護衛艦隊旗艦さわかぜ。峯風型駆逐艦2番艦澤風の名を継ぐ本艦は、あたご就役と共にミサイル護衛艦に余裕が生じ、あきづき、むらくも、たちかぜ、あさかぜ、に続く第五代護衛艦隊旗艦となりました。ただ、指揮官先頭の時代でもないとして、最後の旗艦になる。

 こんごう、さわかぜ、くらま。さわかぜ艦上では登舷礼として乗員が左舷側に整列しています。さわかぜ、受閲部隊と観閲部隊の距離は300ヤード、ゴルフで届く距離だったりします。受閲部隊と受閲付属部隊の距離は800ヤードといい、艦艇のエンジン音が聞こえる。

 ひゅうが。伊勢型戦艦日向の艦名を継承すると共に海上自衛隊護衛艦として初の旧国名、律令制度国名を冠した護衛艦です。計画当時は、護衛艦あかぎ、が有力候補になったといい、航空母艦赤城の艦名を継承する可能性はありました。護衛艦あかぎ、次を待ちたい。

 さざなみ。日本海海戦で活躍した雷型駆逐艦漣と特型で知られる吹雪型駆逐艦漣の名を継承する、たかなみ型護衛艦の4番艦です。むらさめ型は対潜対空装備がMk.41とMk.48VLSに分かれていたのをMk.41に統一し、艦砲を大型化、科員室も大部屋へ大型化したもの。

 ひゅうが。護衛艦は就役から一年程度完熟訓練を行う関係から、この観艦式への参加は就役からまだ半年と少し、という事もあり難しいのではないか、と考えていましたが、新世代を象徴する全通飛行甲板型護衛艦、配備間もない横須賀の護衛艦として参加が実現です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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