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【G3X撮影速報】富士学校祭-富士駐屯地創設69周年記念行事(4)江畑謙介先生の遺した言葉(2023-09-30)

2023-12-10 20:01:30 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■90式戦車と74式戦車
 専守防衛を考えれば自国領土内まで敵が来るまで何もしないが上陸した後は必ず殲滅するという理想の装備は火砲でも銃剣でも無く戦車であり戦車部隊なのだと思う。

 90式戦車が坂道を上るように観閲行進の経路を進む。この構図、いままで観閲行進は正面化やや側面から車列を撮影していましたが、一つの誤算を除けばなかなか良い構図とおもいます、やはり戦車の力強さを伝えるには50tの車体の登攀というのも手なのかも。

 戦車定数300両、いや厳密には防衛大綱の別表は既に廃止されていますから300両という数字に固執する必要はないのでしょうけれども、自衛隊の戦車定数というものはどういった根拠に基づいて算出されているのか、いや防衛戦略そのものが見えにくいのです。

 防衛白書では、イメージ図が描かれているけれども、政治は周辺国への影響をおそれて自衛隊がどのあたりでの戦闘を想定しているのかがよく示されていない、特に南西地域でイメージした戦闘を展開する場合、見通し通りに部隊を展開できるのか。

 74式戦車、そう今年度が最後の登場となります74式戦車です、873両と戦後生産された戦車の中では最多数を誇りましたが、いよいよ。あの61式戦車も多数が生産されましたがそれでも540両といいますので、毎年70両とかを量産しました74式戦車はなかなか凄い。

 戦車の意味。ゴトランド島、スウェーデンがロシアウクライナ戦争の勃発を受けてバルト海の離島防衛を強化しましたが、その際に展開したのはCV-90装甲戦闘車に加えてレオパルト2主力戦車を派遣していまして、離島防衛において質より量を実行しているかたち。

 一個小隊しか数多ある離島に展開できないならば戦車班と普通科班の混成の方がよい、それはなにか第7偵察隊の偵察小隊のような編成となってしまうのですけれども、戦車を2両か3両と小銃班に小隊本部という部隊が守る離島は、相手にとり攻めにくいでしょうし。

 軍隊の任務は抑止力である、これは故人となられた江畑謙介先生が生前繰り返し著書で述べられていた。そして戦車を例に出したのだけれども、戦車を具体的にどう使うか、というよりも戦車の能力を誇示して相手が侵略できなく守られれば、それが最良ではないかと。

 行政の面子の方が重要視されてはいないか、財務当局と防衛当局、近接戦闘部隊の職種ごとの、こうした対立が自由な防衛の議論を、戦車300両という数字で雁字搦めにしているのではないか、日本の防衛政策を考える限り、この点を憂慮してしまうのです。

 戦車とともに戦車回収車も退役が進むのですが、これ、いままでは全国に戦車回収車が配備されていたため、万一の際に増援を受けた場合でも戦車を回収する技術と整備する技術は全国の補給処と後方支援連隊に在りましたが今後はこれら部隊の緊急展開も重要となる。

 レオパルト1戦車等は退役した後にも保管して、イギリス海軍が上陸用舟艇支援の工作車輛に用いたり、様々な車両に流用されています。最後まで使い潰すという程に酷使した74式戦車の車体には難しい話かもしれませんが、こうした活用も無く消えてゆくのは寂しい。

 LAV-AT軽装甲車、自衛隊の最新装備だ、といいたいところですがアメリカ海兵隊の装甲車です。海兵軽装甲偵察中隊、沖縄からキャンプ富士へ訓練展開している装甲車ですね。1970年代の基本設計ですので、2020年代の装輪装甲車と比べれば明らかに小型すぎるもの。

 LAV-25軽装甲車、しかしこの装甲車の重要な点は、25mm機関砲を備えていて浮航能力を持つなどいろいろある中で、日本の場合は、車幅が2.5mに収められているので普通車のなかの大型車、つまり特殊大型車両ではないという点に日本の場合大きな価値があると思う。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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