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陸上自衛隊 第1師団創設46周年 練馬駐屯地創立57周年記念行事

2008-04-17 13:47:07 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■練馬駐屯地祭2008

 2008年4月13日、首都防衛の重責を担う政経中枢師団として知られる第1師団が創設46周年を迎え、練馬駐屯地祭として盛大な行事が執り行われた。本日は、そのハイライトを掲載したい。

Img_0126_1  陸上自衛隊第1師団は、司令部をここ練馬駐屯地に置き、東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、埼玉県、静岡県、山梨県の防衛警備及び災害派遣を担当する師団で、その起源は警察予備隊時代の第1管区隊にまで遡ることが出来る。1962年の陸上自衛隊部隊改編により誕生し、以来、四個普通科連隊を基幹とする頭号師団として士気練度と団結を固めている。

Img_0097_1  部隊整列。指揮官登壇に部隊旗を掲げて応える。指弾行司ということもあり、練馬駐屯地所在部隊のほか、大宮駐屯地、武山駐屯地、立川駐屯地、駒門駐屯地、北富士駐屯地、朝霞駐屯地、板妻駐屯地からも各部隊が参加している。

Img_0108_1  指揮官による部隊巡閲。

 武田正徳師団長とともに、東京都の石原都知事も巡閲に加わっている。

 部隊巡閲に地方自治体の首長が加わるというのは第3師団や第10師団などでは考えられないことで、驚かされた。

Img_0140_1  指揮官訓示、来賓祝辞、祝電披露に続き、観閲行進。

 その先頭は、東京都を筆頭に師団の防衛警備に所在する都県旗の行進。

Img_0163_1  第1普通科連隊の観閲行進。第1師団隷下の普通科連隊は、本部管理中隊と五個の普通科中隊から編成されており、他の師団とことなり重迫撃砲中隊が編成に組み込まれておらず(政経中枢師団への改編時に第5普通科中隊に改編)、10師隷下の普通科連隊にあるような対戦車中隊も配置されていない、市街戦に特化した編成を採用しているようだ。

Img_0181_1  徒歩行進とともにエンジン音を響かせ編隊にて練馬駐屯地上空に飛来したのは立川駐屯地より展開した第1飛行隊のヘリコプターである。

 3機のOH-6D観測ヘリコプターと2機のUH-1J多用途ヘリコプターが編隊を組んでいる。

Img_0195_1  武山駐屯地の第31普通科連隊が高機動車により観閲行進を行う。中部方面隊の駐屯地では、10師、3師全ての普通科連隊に軽装甲機動車が配備されているものの、第1師団には高機動車のみが配備されている。また、中央即応集団用に防弾仕様の高機動車の配備が始まっているようだが、式典の参加車両をみるかぎり、従来型の高機動車を運用しているようだ。

Img_0211_1  第1偵察隊の車両群。現在、陸上自衛隊では偵察警戒車、装甲戦闘車の後継として、次期自走高射機関砲の開発計画を軸とした“近接戦闘車”の開発が進められている。装輪式の車両であるが、M2歩兵戦闘車、M3騎兵戦闘車のような系列車両となるのだろうか。装備化されれば、十年後には、この車両群も大きな変貌を遂げているかもしれない。

Img_0219_1  第1特科隊のFH-70榴弾砲と中砲牽引車。第1師団は政経中枢師団への改編とともに、第1特科連隊を廃止、新たに第1特科隊を新編している。特科連隊は師団普通科連隊の直掩に充てる四個の特科大隊と師団全般支援を行う第5大隊より編成されていたが、特科隊としたことで、大隊を省き、特科中隊を基幹とした編成を採用している。

Img_0252_1  第1通信大隊の車両。

 第1師団ということで、「1」を冠した部隊が多い。首都防衛の重責を担うとともに、東京に駐屯している師団と言うことで中央観閲式を初めとして国賓が観閲する行事にも多く参加している部隊だ。

Img_0309  第1戦車大隊の74式戦車。第1戦車大隊は師団改編により、戦車中隊が二個にまで削減されてしまった。機動戦闘車として、105ミリ砲を搭載する装輪式の機動砲開発が行われ、これがもしかしたら戦車の代替となりうるのではないかと期待されたが、財務省の指摘もあり、機動戦闘車も戦車定数に含められることとなった。東部方面隊の第12旅団には戦車部隊が無いため、富士教導団や武器学校所要分を除けば、唯一の東部方面隊戦車部隊だ。

Img_0307  第1戦車大隊の96式装輪装甲車。戦車中隊本部などに用いられている装甲車で、路上機動性に優れる装輪式の装甲車。近年は例えばイギリスで命数6800kmという樹脂製一体形状履帯なども開発されており、装甲車は装輪式という潮流も幕を降ろし始めている。いわゆる機甲歩兵には装軌式装甲車(例えばドイツのプーマ、オーストリア・スペインのウラン)を充当し、軽歩兵を軽装甲車(例えば米軍のバッファロー、自衛隊の軽装甲機動車)により運用するというのが新しい潮流のようだ。

Img_0335  観閲行進が終了して、武山太鼓の演奏が始まる。勇壮な太鼓演奏とともに当方は撮影位置の移動を開始する。ミストラル撮影により、やや出遅れたとうこともあり、観閲行進は良好な撮影位置を確保できたが、訓練展示を撮影するとなると良好な位置とはいえなかったため。立入禁止区域の境界線を探し(グレーゾーンに立ち入るよりも、警戒の隊員さんが居て、ここから先は立ち入り禁止です!ってとこのコチラ側から撮影するのがポイント)足を進めた。

Img_0381  状況開始の喇叭とともに訓練展示模擬戦の開始。

 某国人民軍のような装備の人が某国製からしにこふ?的89式小銃により武装し、盛んに攻撃を加えてくる。

Img_0378  仮設敵の攻撃に際して、87式偵察警戒車とオートバイ斥候により、師団の目となる偵察隊は、斥候員の五感と車両の機動力を存分に発揮して任務を遂行する。

Img_0396  暴露した目標に対して、空中機動により対遊撃戦を展開する。

 ヘリボーンによる少数部隊投入は、たとえ少数でも正規戦では対戦車装備などを携行させた遊撃戦展開に、また相手が少数の対遊撃戦においては包囲網の中を駆け巡る攪乱部隊として活躍する。

Img_0423  目標に対してFH-70榴弾砲が制圧射撃を行う。

 訓練展示模擬戦には2門のFH-70榴弾砲が参加。射撃の瞬間、0.1秒以下の瞬間に写る砲焔が写りこんでいる。野砲の場合は砲焔を撮るにも、射撃指揮官が合図の旗を振り下ろすので、その瞬間を狙ってシャッターを押し続ければ、やや撮影は容易である。

Img_0430  仮設敵の攻撃により我が方に負傷者が出たとの想定で出動した救急車。

 その傍らでは油断無く81ミリ迫撃砲や各種装備が敵方を睨んでいる。その最中にも間断なく彼我混合の状態で爆竹を弾けさせたような乾いた銃声が散発的に轟く。

Img_0483  96式装輪装甲車より、敵前にまで肉薄し、普通科部隊が降車展開。背後からは機銃を搭載した高機動車が支援の態勢にある。地形を最大限利用しつつ、降車戦闘に不向きな装甲車を盾に、高機動車をできるだけ前進させ、最後の段階で、高機動車や装甲車からの降車隊員とともに、突撃に移行する。

Img_0586  突撃を支援する74式戦車。同軸機銃の発砲焔が写り込んでいる。戦車は陸上に合って、もっとも堅固な目標であり、車両自体が有するポテンシャルも大きい。74式戦車は残念ながら旧式化老朽化が進んでいるが、現在、技術研究本部では三菱重工を主契約企業として次期戦車の開発が進められている。

Img_0555  89式小銃を手に、戦闘に決着をつけるべく銃剣突撃をかける普通科隊員。

 その気迫に押される形で仮設敵は逃げ出してゆく。こうして、陣地占領を誇示するように隊員が部隊旗を振り、状況は終了となった。

 練馬駐屯地を最大限活かした、非常に見ごたえのある訓練展示というのが正直な感想。

Img_0127  装備品展示は、グラウンドとは別の場所で行われていた。

 東京都の一角に、これだけの規模の駐屯地があるのか、と驚かされるとともに、首都防衛にあたる第1師団の誇りと団結を垣間見た気がした練馬駐屯地祭であった。

HARUNA

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4 コメント

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武田正徳師団長とともに、東京都の石原都知事も巡... (ウルトラマン)
2008-04-17 17:53:59
武田正徳師団長とともに、東京都の石原都知事も巡閲に加わっている。>>いいことですね!他の首長のように自衛隊(軍隊)を遠ざける行為は、蜂起や革命の予防にはならないんですから。軍隊という暴力装置は手元において管理するのがいちばん!ひどいことを言っていますが私は自衛隊に親近感をもっているものですから!あしからず。あ!今日書店で本を読んでいたら、『軽装甲機動車』がなぜ『軽装甲車』でないのかが書いてありました。民生部品(バッテリー等)を使用しているから!『馬鹿野郎!』世界の軍隊でもそんなことは常識ですよね。そんなことをいったらほとんどのものが民生品から派生したものなのに!『グッスン(涙)』頭固いんだから。
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こんばんは (はるな)
2008-04-18 00:01:18
こんばんは

首長と行事ですが・・・、京都府警年頭視閲式は、京都府知事、出席してても巡閲には参加してなかったんですが、名古屋市消防局出初式では愛知県知事がパレードに出てました。

軽装甲機動車、ということは軍事研究の最新号でしょうか。
なんといいますか、装甲車定数に入れると、財務省の監査も厳しくなるんですよね・・・。他方で、●●式って付かないのは、制式化をしてない、ということにもなるようですが、制式の枠に縛られず改修なんかを柔軟に出来る訳で、それもアリかな?と(航空自衛隊も、●●式とか制式化はミサイルみたいな例外を除いてやらないんですよね・・・)。
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旗を掲げるのは、部隊長に応えるためでなく、『旗... (オヤジ)
2009-08-07 10:09:26
旗を掲げるのは、部隊長に応えるためでなく、『旗の敬礼』のための動作の一部です。


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オヤジ 様 ご指摘どうもです。 (はるな)
2009-08-07 21:45:59
オヤジ 様 ご指摘どうもです。

装備品のカタログスペックは多少調べようがあるのですが、儀礼の方式などはよく判りませんので、他に何かお気づきの点があれば、お教えいただけると幸いです。
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