◆戦後最大の国難に立ち向かう自衛隊の精鋭
東北方面隊創設50周年記念行事、今回より陸上自衛隊関連行事詳報として新しく掲載を開始します。
東北方面隊、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、以上を防衛警備管区とし、第6師団と第9師団を中心に部隊を配置しています。そして、この式典は創設50周年記念行事として、2010年9月26日に行われました。この式典から、僅か半年後、この方面隊は未曽有の国難への矢面に立つことを迫られたことは御存じの通り。
東北方面隊の管区を東日本大震災が襲ったのは2011年3月11日のことです。これが何を意味するかと言えば、この式典に参加した指揮官が、隊員が、巨大地震と歴史に残る津波災害、そして我が国初の原子力災害へ立ち向かう第一線に臨んだことになるわけです。
東北方面隊は方面総監部を仙台市宮城野区の仙台駐屯地に置いており、800m四方の広大な駐屯地ですが、記念式典は多くの部隊と隊員が参加する為、3km南の仙台市若林区にある、ここ霞目駐屯地の霞目飛行場地区において実施されています。この駐屯地には東北方面航空隊等が駐屯し、滑走路を含め周囲は1.1km四方と広く、大規模な行事も行いやすい。
50周年ということで、戦車部隊は近傍の大和駐屯地第6戦車大隊だけではなく、岩手駐屯地の第9戦車大隊の74式戦車も展開していました。もともと、ここ東北方面隊記念行事は、例えば痛み駐屯地の中部方面隊記念行事よりも参加部隊規模が大きいのですが、今回は特に大規模となるもよう。
当方は前日、海上自衛隊呉地方隊大阪湾展示訓練を撮影し、大阪港へ接岸すると同時に仙台へ向かいました。二日間で二つの行事へ足を運ぶことは当方も稀有な事例ではないのですが、大阪湾から仙台へ12時間で移動し撮影、という強行軍はこの時くらいのもの。
東北方面隊創設50周年記念行事ということもあり、広い会場を存分に活用すべく、会場の端々に既に多数の車両が展開しており、観閲行進や訓練展示に臨む車両群が見えました。特に隷下の第9師団は青函地区の防衛に当たるため重装備を揃えており、加えて隷下の第6師団はC4ISR実験師団として先端通信装備で固めています。
そして訓練展示の準備でしょうか、FH-70榴弾砲が既に会場へ式典前に布陣し、射撃準備を整え偽装網を被せ待機しています。更に後方にも砲架を畳み自走状態で待機中のFH-70が見え、かなりの火砲が参加する訓練展示になるのだな、とこちらも意気軒昂に。
さて、この霞目駐屯地ですが、仙台駅や仙台駐屯地、多賀城駐屯地からシャトルバスが運行されているほか、駐車場も多く、仙台駅からの場合は仙台駅から5kmほど離れているため、自家用車が一番早い交通手段となります、しかし、流石に大阪から仙台まで車で、というのも無理ですので、当方は夜行バスを利用し、仙台駅から始発バスを利用しました。
大阪湾展示訓練から如何に仙台へ展開するのか、そもそも展示訓練の入港時間、特に上陸できる時間や駅までどのくらいの位置に停泊しているかは未知数ですので、大阪から仙台空港まで旅客機というのは、時間的に非常に投機的です、それならばどうするのか。
新幹線利用の場合は、新大阪駅から東京駅まで、のぞみ号利用、東京駅から仙台駅まで、やまびこ号利用、というのは定番ですが、大阪港駅へ1800時頃には進出している必要があり、確実性を考えると厳しいところ、東京駅まで進出し、翌朝の始発で、やまびこ号にて仙台へ、というのも、出遅れる可能性は否定できません。
寝台特急北斗星利用など考えたのですが、そこで、いろいろ試行錯誤した結果、近鉄特急にて大阪から名古屋まで進出し、名古屋から名鉄の仙台行夜行高速バスを利用し展開する、これならば乗りかえ時間に余裕を持てるし、万一特急やバスが遅れた場合でも代替交通手段がある、こうして決定し展開した、というもの。
仙台駅に到着し、シャトルバスを待つこと50分、流石にそこまで早く並ぶ人はいないとみえて、第一便で霞目駐屯地へ展開することはできたのですが、既に開門後で自動車組の方が最前列付近を確保しているという状況、ここ東北方面隊記念行事は当方二回目ですが、明らかにこの50周年行事は人が多い。
聞けば皆様、少なくない方々のお目当てがブルーインパルスの飛行展示ということで、成程、陸上自衛隊行事ではなかなか見かけないサンニッパレンズやゴウヨンレンズなどが後方で砲列を敷いています。ただ、最前列付近は、霞目駐屯地からブルーインパルスが離発着するのではなく、すぐ近くのホームベース、松島基地から展開するという事で人口密度には余裕がありました。
しかし、観てみますと既に海上に端の方には米軍機、米陸軍のUH-60A汎用ヘリコプターが駐機していました。聞けば訓練展示の前段で災害派遣展示を行うとのこと、すると訓練展示は模擬戦ではなく災害派遣展示なのか気になりますが、隊員さんに聞いてみると、普通の戦闘訓練展示を行う、ということ。
ただ、訓練展示の前にも射撃は行います、という事をお教えいただき、はて、訓練展示前の発砲、105mm榴弾砲の空包で音楽演奏でもやるのかな、とおもいつつ、取り敢えず式典前に整列する車両を撮ってしまおう、ということでレンズを左右させてゆきます。
一通り撮影し、一息ついているところ、周りの地元の方々と雑談に花が咲いた頃、音楽隊の拍子と共に式典参加部隊の入場が始まりました。待機車両に対空レーダ装置や通信車両などが目立ちますが、航空部隊は別途霞目駐屯地から仙台駐屯地などに前進し待機中です。しかし、入場する部隊、会場も広いが人数も多い。
待機位置まで進むだけなのですが、翩翻と翻る連隊旗に大隊旗、中隊旗、部隊は会場へ進入するのではなく、待機位置まで前進するのみ、それでもかなりの人数です。今回は部隊入場までに会場の様子を哨戒しましたが、式典開始までの様子は、次回にお伝えしましょう。
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