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沖縄県民疎開計画作成を内閣府が九州西日本県知事に初の指示,中国など台湾海峡や南西諸島有事での国民保護

2024-06-04 07:01:44 | 国際・政治
■南西有事へ備え
 南西有事に際しての国民保護計画が一歩前進するようです。

 政府は有事の際の国民保護として沖縄県民疎開計画を九州各県と山口県に求める事となりました。これは6月3日に熊本市で開催された九州地方知事会において内閣府が国民保護計画の立案を各県知事に求めたものです。具体的には避難民受入計画が主体であり、今回策定を求められた計画は今後行われる国民保護訓練において精査されるとのこと。

 国民保護としての疎開計画は、受け入れ基本要領という名称で、沖縄県から九州や本州西部への輸送手段の確保や避難民収容施設の提供、避難民向けの食糧調達を筆頭に避難開始から最初の一ヶ月間必要になる物資や役務などについて、自治体と民間業者との役割分担などについても事前計画を立てる事を内閣府は九州各県と山口県に対して求めたもよう。

 避難については、内閣府が示した試案として幾つかの案が示され、石垣市は福岡空港を経由し福岡県と大分県及び山口県へ、竹富町は福岡空港を経由して長崎県へ、与那国町は福岡空港を経由して佐賀県へ、宮古島市は鹿児島空港を経由し福岡県と熊本県及び宮崎県と鹿児島県へ、多々良島は鹿児島空港を経由して熊本県に避難する事を想定します。

 受容れ基本要領は2025年2月ごろまでに画定する事を目指しており、3年計画で医療支援など受入計画を具体化するとのこと。ただ、課題は多く、例えば有事の際に退避を行う場合でも、台風での離島避難のように台風のような明確に脅威度の高まりが客観的に認識できるものではありません、能登半島地震を観れば危険な状況では旅客機は飛ばない。

 自衛隊機での輸送も念頭となるのかもしれませんが、自衛隊輸送機には作戦輸送の任務があり、余裕のある航空機としては自衛隊機であれば政府専用機、海上保安庁の航空機と防災ヘリコプター等は作戦輸送の対象外となるのでしょうが、これらの航空機を掻き集めた場合でも輸送力は限界があります、すると危険地域での民間機運用の準備が必要となる。

 疎開計画といいますと、第二次世界大戦中の沖縄戦を思い浮かべるものが有りますが、どの程度緊張が高まった時点で発動するのかという点と、ロシアウクライナ戦争のようなある程度住民の人命は守り得る状況を想定するのか、ガザ攻撃のような状況を想定しなければならないのか、先ずはこうした認識の共有から始める必要があるよう思うのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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