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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】トルコ独自開発のステルス戦闘機カーンとF-16戦闘機近代化計画,6万t級新型空母構想

2024-06-04 20:01:29 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回はトルコ特集ですが通貨危機の最中ではあるものの防衛産業については実のところ日本では考えられない水準まで踏み込んでいます。

 トルコ独自開発のステルス戦闘機カーンが初飛行を迎えました、2024年2月21日にアンカラでの初飛行を西欧させた戦闘機はTAIトルコ国営航空製造がTF-X戦闘機として開発したもので、2023年3月16日に初のタクシーテストを実施して以来初飛行に向けての開発を継続していました、今後の開発が順調に進めば2028年にも配備開始を予定している。

 カーン戦闘機の試作機はF-16戦闘機用にトルコがライセンス生産したF-110GE-132エンジンを採用していますが、量産機についてはBAE社とともにユーロファイター戦闘機用に製造されているEJ-200エンジンの改良型を開発するといい、トルコ政府はこの一環かもしくは次善策としてか、一定数のユーロファイター戦闘機の導入も検討しています。

 TAIトルコ国営航空製造は試作機について3機を計画しています。トルコ政府はロシアからのS-400ミサイル導入により部分開発参加していたJSF計画のF-35戦闘機導入がアメリカによりJSF計画からの除名により不可能となり、独自戦闘機開発を加速させており、イギリスのBAEシステムズ社などがアヴィオニクス開発を支援してきました。■

 日本のDDHよりもかなり大きい。トルコ海軍は6万t級の新型空母構想を発表しました。トルコ海軍は強襲揚陸艦アナドルを建造し、固定翼無人機バイラクタルなどを装備していますが、今回建造が検討されている航空母艦は満載排水量6万トンで全長は285m、期間はCOGAG方式を採用しており、現在開発されているトルコ初の国産戦闘機カーン戦闘機艦載機型の搭載も計画しています。

 STOBAR方式の船体設計が想定され、現在示されているイメージ図ではスキージャンプ台などが配置されており、艦橋構造物と一体化したファンネル部分などがしめされています。ただ、現段階で想定されている速力は25ノットといい、STOBAR方式であっても合成風による艦載機発進補助が必要となるため、カーン戦闘機艦載型の性能が関心事といえます。

 6万t級航空母艦、従来航空母艦は大国の象徴となってきましたが、大型貨物船や大型タンカーの建造により重要な建造ドックさえ確保されているならば、例えばフィンカンティエリ社やBAEシステムズ社などが設計支援を行う事でこれまでほど建造の障壁はなくなりつつあります。ただ、システムとしての航空母艦を運用し充分な人員の確保は課題でしょう。■

 旧式戦車を退役させるだけがのうではないという。トルコ陸軍はM-60戦車及びレオパルト2戦車の近代化改修を推進します。M-60戦車は第二世代戦車ではありますがトルコ軍はこの戦車について、二つの近代化改修計画を進めている。2000年代にイスラエルよりサブラ戦車改修キットを導入し一部のM-60A3戦車をM-60Tとして改良しましたが、改修から時間を経て陳腐化が進むM-60Tについて。

 M-60Tは先ず新型のヴォルカンM火器管制装置を搭載し装甲も強化する計画が。M-60T戦車の近代化改修とともに、旧式のまま財政上の観点から維持されているM-60A3戦車についても近代化改修を行う砲身が示されていますが、火力と防御力および機動力について改修を進めるとの方針が示されていますが、今のところ試作車開発の段階です。

 レオパルト2の近代化改修について、トルコ軍は冷戦後余剰となった戦車をドイツ連邦軍から導入していますが、導入したのはレオパルト2A4という従来型砲塔のもので、トルコ政府は国内のBMC社との間で2022年に戦車近代化改修契約を締結、車体部分を延命改修するとともにデータリンクシステムや近距離監視システムを追加するという。■

 日本のF-2ももう少し考えて欲しかった。トルコ空軍は無人機の増強とF-16戦闘機のF-16V水準への近代化改修を計画しています。これによればトルコ空軍のF-16C戦闘機block40相当の機体をblock70相当まで近代化改修することで耐用年数を2050年までおおはばに延伸するとのこと。F-16改修はトルコ国内の第1航空整備総局直轄の工廠により行われるとのことです。

 無人機計画ではこれまでにない大型の無人航空機アキンチを開発しています、トルコでは新興防衛産業が開発したバイラクタルTB-2無人機がロシアウクライナ戦争において、航空優勢と確保できず強力な防空能力を有するロシア軍に対し緒戦で一定の戦果を挙げており、これによりバイラクタルTB-2は世界中に販路を拡大することとなりました。

 アキンチ無人航空機はバイラクタルTB-2よりも遥かに大型ダリ、これは衛星通信を指揮統制用に用いることで基地局からの行動半径を大幅に延伸するとともに、また機体搭載能力を強化することで航続距離と滞空時間も延伸する構想ですが、正規軍同士の戦闘ではなく、対叛乱作戦に対応するCOIN機と位置づけ、既存戦闘機強化も並行します。

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