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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アエロインディア2021,テジャス量産とロシアSu-57,ブーメラン装甲車初登場

2021-02-18 20:19:43 | コラム
■特報:世界の防衛,最新論点
 アエロインディア2021、インドにおいて2年に一度開催されます防衛装備品展が2月3日から7日までイェラハンカ空軍基地にて挙行されました。

 2019年には航空自衛隊のC-2輸送機が展示された事でも知られましたが、今年の主役は何と言ってもテジャス戦闘機、毎回是非行きたいが伊勢湾機雷戦訓練があるしなあ、と冗談の種となる防衛装備品展です。テジャス戦闘機の量産決定は驚かされました。ここまで遅延するのは難しいですが日本のF-2後継機計画も大器晩成を期せば妥協で何とかなる、というべきか。

 テジャス戦闘機は戦闘機界のサグラダファミリアと呼ばれ中々完成しない事で知られていましたが遂に80機の量産が正式に決定したほか、テジャス戦闘機工場の拡張による年産16機体制への拡大、テジャス戦闘機空母艦載機型発表など完成すると思わなかっただけに驚きの、発表が続いていましたが、早期警戒機構想など他にも注目はあり、この点を纏めた。

 インド防衛装備展“アエロインディア2021”において、インド空軍はエアバスA320改造型の新型早期警戒機計画を発表しました。これは欧州製エアバスA-320旅客機にカヌー型通信アンテナを搭載する事で早期警戒機に改造する案で、アエロインディア2021にはイメージ動画の他、縮尺模型に旅客機にアンテナを搭載した機体を一般に公開しています。日本はE-2Dを導入する中、インドは国産へ。

 A-320旅客機模型にはCABS-DRDO 社がエンブラエル社製ビジネスジェットに搭載したNetra早期警報システムと類似した240度の範囲を警戒可能であるレーダーとともに前方を警戒するAESAレーダーと思われるものが旅客機機首に搭載された模型で、胴体上部と機首にレーダーを搭載する事で360度の警戒監視能力を意図している形状といえましょう。

 ロシアの防衛産業ロステック社はインドにて開催されたエアロインディア2021兵器展に第五世代戦闘機Su-57の実物大模型を展示した。アエロインディア2021はインドのバンガロールにて2月3日から5日にかけ実施されたもので、ロステック社は安価な第五世代戦闘機選択肢であるSu-57には複数の国が関心を示した、と2日付タス通信取材に応じた。安価でF-22に対抗出来るのは本当か。

 Su-57E、今回展示された模型はSu-57の輸出型として開発されたSu-57Eであり、ステルス性と高速度性能を兼ね備えつつ、しかしF-22やF-35といった競合する第五世代航空機よりも安価とした点を特色としている。Su-57はスホーイ社により開発されており、2028年までに76機を量産予定、製造はコムソモリスクオンアムール航空工場にて行われている。

 ロシアの防衛産業ロステック社はアエロインディア2021に開発中のK-16/K-17ブーメラン装甲車を初展示しロシア国外での初めての国際商戦への参入となった。VPK7829戦闘車両として開発が進められたブーメランは、八輪型の装輪装甲戦闘車であるK-17ブーメランと、八輪型の水陸両用装甲車であるK-16ブーメランからなり、車体部分は共通構造である。我が国の96式装輪装甲車よりも完成度が高い。

 ブーメランはK-17が重量25tであり30mm機関砲を搭載しており、K-16は12.7mm重機関銃を搭載し重量22tとなっており、ヤロスラブリエンジン社製の750hpディーゼルエンジンにより舗装道路上を100km/hの高速で機動出来る他、10km/hの浮航能力がある。またオプションとして、Afganitアクティヴミサイル防御システムを搭載する事も可能という。

 ロシア陸軍ではソ連時代に開発されたBTR-80装輪装甲車が自動車化狙撃部隊の主力を構成しているが、BTR-80は原型のBTR-60からの設計を踏襲し、兵員室の乗降扉が車体後部ではなく車体左右側面に配置されており、BTR-60よりは扉が大型化しているものの乗降の煩雑さが難点であった。ブーメランは後部に扉を配置し、迅速な乗降が可能となっている。

 ロシアの連邦軍事技術協力機構副部長はアエロインディア2021においてインドへのS-400ミサイルシステム輸出は2021年内に最初のミサイルが納入されると2月3日にインターファクス通信の取材において発言した。S-400はロシア製広域防空システムであり、対航空機用及び限定的な弾道ミサイルに対応、射程は300km規模と非常に長い事で知られる。

 S-400はインド軍が2018年に54億ドルで導入契約をしており、連邦軍事技術協力機構副部長のウラジミールドロジゾフ氏によれば、既にインド軍訓練要員がロシアへ入国し教育訓練中とのこと。なお、アメリカの駐インド大使館ドンヘフリン臨時代理大使はアメリカの対ロシア経済制裁対象にS-400が含まれ、インドへの防衛装備品供与の影響を示唆した。トルコとアメリカの摩擦を見るとこの分野で日本が貢献できる部分もあるようにも。

 COVID-19感染拡大が続くと共に毎日世界では40万以上が感染し1万5000名が死亡、世界感染者1億0884万で死者250万を越えたという最中、アエロインディアではCOVID-19陰性証明必須とサージカルマスク&フェイスマスク必須の感染強化下で実施、飛行展示も実施されました。多数がオンラインであった2020年よりは日常は戻りつつあるようですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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