◆精鋭!第33普通科連隊
本日、三重県津市の久居駐屯地創設61周年記念行事へ行ってまいりました。その様子をG-12の写真から取り急ぎ紹介しましょう。
国旗と共に連隊旗を掲げ行事へ臨む隊員。久居駐屯地は、近鉄の急行停車駅久居駅から第33普通科連隊と大書された駐屯地がすぐ隣に見える、第10師団隷下の普通科連隊で、長大な海岸線とともに紀伊山間部の峻険な地形と名古屋近郊の都市部を抱えた三重県を防衛警備管区としている普通科連隊です。
第33普通科連隊は、2002年、中部方面隊で最初に軽装甲機動車を受領した普通科連隊で、イラク派遣などにも活躍しているほか、航空部隊駐屯地である明野駐屯地がほど近く、精鋭部隊で、私事ながら初めて軽装甲機動車を見た2002年の伊丹駐屯地祭でも第33普通科連隊の車両が参加していました。
第10師団は、金沢第14普通科連隊、久居第33普通科連隊、守山第35普通科連隊、豊川第49普通科連隊、そして戦車大隊、特科連隊、高射特科大隊、施設大隊、後方支援連隊、通信大隊などを基幹部隊としています。そして普通科連隊は有事の際に戦車中隊や特科大隊などとともに連隊戦闘団を構成する、いわば師団の根幹というべきもの。
第33普通科連隊長兼ねて久居駐屯地司令、古屋浩司1佐の観閲を受ける式典参加部隊、第33普通科連隊は、本部管理中隊、第一中隊、第二中隊、第三中隊、第四中隊、対戦車中隊、重迫撃砲中隊を以て編成されており、久居駐屯地には連隊に他、支援する第10後方支援連隊第二整備大隊第二普通科直接支援中隊や久居駐屯地業務隊などが駐屯している。
連隊旗を奉じる82式指揮通信車、本日はかなりの荒天が予報されていまして、事実朝の時間帯はかなりの雨量、駐屯地の式典会場も一部池のように深々と水が張り、その雨量の大きさを思い起こさせてくれましたが、開門後には雨が上がり、式典開始の時間帯では打って変わって快晴に。
普通科隊員の観閲行進。豪雨を想定していましたので、雨具をフル装備とし、EOS-50Dと120-400mmは本日展開させず、EOS-7Dに18-200mmを装着させ主力とし、併せて広角でG-12を三脚に設置しレリーズにて薬指と小指を駆使し、EOS-7Dと同時に操作する、いつもの方式で撮影しました。雨具の出番が無かったのは本当に幸い。
普通科隊員の徒歩観閲行進、背景を軽装甲機動車の車列が進んでゆくところが印象的な様子、風は強く日章旗も風に薙いでいます。当方は久居駐屯地祭、今回が三回目ですが毎回晴天に恵まれていました。ただ、聞きますと雨天となることが多いようで、今年は晴れて良かった、とのこと。
三月末に入隊した自衛官候補生の観閲行進、行進も型にはまってきたところ。俯瞰する構図ですが、久居駐屯地祭ではスタンド席が一般に開放されていまして、早い時間帯に近鉄電車にて足を運びますと荒天予報があってかそこまでの混雑は無く、良い位置を確保できました。
第4中隊の軽装甲機動車、14両の軽装甲機動車が粛々と会場を進んでゆきました。大型装甲車から後者展開を行うよりは小型装甲車多数を装備して分散した機動運用を行った方が火力密度を高め効率的な任務遂行が可能な装備として、開発されたもので、先ほども少し触れましたが、第33普通科連隊が中部方面隊最初の装備部隊となり、今に至ります。
軽装甲機動車は、小銃のほかにMINIMI機銃か01式軽対戦車誘導弾を搭載します。火力拠点を迅速に転換でき、相手が戦車であっても地形を最大限利用することで有利に主導権を握ることが出来るのですが、装輪式で四輪駆動のため不整地突破能力に限界があり、この利点と欠点をどう動かすかが指揮官の腕の見せどころ。
重迫撃砲中隊の120mm重迫撃砲RT,中隊に12門が装備されています。フランス製の高性能迫撃砲で制圧力と射程では従来の直掩特科火力となっていた105mm榴弾砲を越えています、持続射撃能力と命中精度では野砲には及ばないのですが、地域制圧と対砲兵戦にも対応する高性能砲で、自衛隊は500門以上というかなりの多数を配備しています。
高機動車を原型とする重迫牽引車により迅速に起動する120mm重迫撃砲は、短時間の射撃による支援と反撃を回避する機動を繰り返し、普通科連隊の任務を火力支援します。ちなみに、高機動車は普通科部隊自動車化の花形として自衛隊では重宝されていますが、迫撃砲を牽引している状況では迫撃砲の備品扱いになるのだとか。
対戦車中隊の79式対舟艇対戦車誘導弾、発射器12基が配備されています。射程4km、33kgと比較的大きなミサイルは戦車のみならず上陸用舟艇をも撃破可能で、元々師団対戦車隊に装備されていましたが、一部師団の普通科連隊に対戦車中隊が編制される際に集中配備されました。
強力な対戦車火力ですが、このほか普通科中隊の対戦車小隊には射程2kmで簡便な87式対戦車誘導弾、小銃班には携帯式で射程1500mの01式軽対戦車誘導弾が装備されており、ミサイルは戦車砲と異なり障害物や最低射程などの制約があるものの、運用次第で重厚且つ強力な対戦車火力を構成可能だ。
本部管理中隊の観閲行進、情報収集を行う情報小隊や指揮所に重火力の防護用の施設を構築する施設作業小隊や連隊と中隊の通信網を維持し電子戦をも担当する通信小隊など、連隊が独立した運用を行う上で必要な様々な支援を行う部隊です。連隊の車両による観閲行進はここまで。
豊川駐屯地より展開したFH-70榴弾砲、射程と瞬間火力投射能力や持続射撃能力に瞬発交戦能力といった様々な面で高い制圧力を有する牽引砲で、欧州共同開発となった火砲ですがコストが自走榴弾砲並みに大きくなったため普及せず、他方、我が国地形と道路事情に合致し路上での戦略機動性の高さから日本で大量配備されたもの。今なおその能力は大きい。
春日井駐屯地の第10偵察隊より参加した87式偵察警戒車、25mm機関砲と微光増倍式暗視装置を搭載し、偵察を行う車両、強行偵察を行うには少々火力が不足し、観測監視を行うには監視機材の能力が今日的にやや見劣りするのですが、こうした車両が例えば仮に火力支援用に連隊に配備されていれば心強いとおもうもの。
観閲飛行の編隊は、第10飛行隊のUH-1J多用途ヘリコプター、航空学校のAH-64D戦闘ヘリコプター、UH-60JA多用途ヘリコプター、CH-47JA輸送ヘリコプターの四機編隊で行われました。観閲飛行は戦車の行進と重なるため、戦車と航空機、迫力の相乗効果はすごい。
観閲行進の最後を飾るのは今津駐屯地より参加した第10戦車大隊の74式戦車、第1中隊と第2中隊の車両が参加、105mm戦車砲を突き出し、重機関銃を高らかに掲げる戦車が装軌車両独特の履帯音と高出力ディーゼルエンジンの合わさった轟音を響かせると、この装備だけがもつ、ある種の威圧感を生む。
久居駐屯地祭は、この観閲行進に続いて喇叭演奏や格闘展示に続いて戦車と火砲の支援下で普通科部隊が展開する訓練展示模擬戦が行われました。ただ、この様子は縦横無尽に部隊が展開するためG-12では追随できず、EOS-7Dのみの撮影となりましたので、いづれ紹介できれば、と思います。
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