◆最新鋭10式戦車、第1師団配備開始!
強風に防風、東海道本線が一時熱海から米原の間で運転見合わせとなりました昨日は駒門駐屯地祭が執り行われました。
駒門駐屯地祭は第1師団への10式戦車配備、重ねて日本最初の最新鋭11式戦車回収車(11式装軌車回収車)の一般公開が行われるとの発表でしたものの、豪雨の予報が出ており、事実前日御殿場へ向かう途中、浜松城から三方原古戦場を見ているときに豪雨、御殿場市内に到達したときには東海道本線一部不通という状況で、昨年見つけた美味しいお店まで豪雨の中進んだのですが、当日は幸い、晴天に恵まれましたのが幸い。
大荒れの天候は前日日本全土に台風並みの強風と豪雨をもたらし、気象庁は不要不急の外出を控えるように繰り返し、JR東海は列車運行本数を大幅に減らす運行体制に、前夜は静岡県内で広く浸水被害がありましたが、足を運んだ駒門駐屯地祭、この模様をコンパクトデジカメPowerShotG-12の写真にてお伝えしましょう。
駒門駐屯地、静岡県御殿場市のJR御殿場線富士岡駅近くにあり、駐屯地からは御殿場線の車両、特急あさぎり沼津乗り入れ時代にはその特徴的な車両が通過する様子が見え、東名高速道路からも眼下に駐屯地とともに並ぶ戦車が広がる様子を見ることが出来る駐屯地です。
駐屯部隊は、国際活動教育隊、第1機甲教育隊、第1戦車大隊、第1高射特科大隊、第1後方支援連隊第2整備大隊支援隊、第364施設中隊など、中央即応集団隷下部隊、東北方面混成団隷下部隊、第1師団隷下部隊が共に駐屯しており、駐屯地司令は国際活動教育隊長伊崎義彦1佐が務めています。
指揮官訓示へ整列した隊員、厳しい国際情勢と共に、南海トラフ巨大地震へ装備人員共に充分ではないが諦めない、という点を強調されました。国際活動教育隊は人員規模でそれほど多くはないのですが大臣直轄部隊ということで駐屯地司令と指揮官を兼ねていますが、その前は第一機甲教育隊長が駐屯地司令を務めていました。
観閲行進、国際活動教育隊の軽装甲機動車、教育支援小隊の車両です。写真撮影ですが、今回は大雨に暴風という想定でしたので、装備の重点を防水防滴装具と雨具を中心に、EOS-50Dはお留守番として、EOS-7Dに18-200mmを、長物に120-400mmを携行しつつ、併せて予備にG-12を携行してゆきました。
第1高射特科大隊の93式近距離地対空誘導弾、これら写真はG-12で撮影しました。撮影方法は折畳小型三脚を携行し、G-12にコード式のレリーズを装着、EOS-7Dでズームを駆使して自在な写真を自在な角度で撮影しつつ、角度を計算して定点に向けたG-12のレリーズを操作し、撮影したもの。
81式短距離地対空誘導弾、第1高射特科大隊の車両で、この三両で一セットを構成、大隊隷下の中隊に四個セットが配備されています。駐屯地で売られていた高射特科Tシャツに“高額装備でごめんね”旨も書かれていましたが、本装備一セットで装甲車に換算すれば二個中隊分、つまりこの一個中隊で二個普通科連隊を装甲化できる予算を投じている、ということ。それだけ防空を重視している。
第364施設中隊の観閲行進、本中隊は座間の第1施設団第4施設群に所属する施設中隊で、第4施設群は、座間駐屯地の本部管理中隊、駒門駐屯地第364施設中隊、座間駐屯地第388施設中隊、古河駐屯地第389施設中隊、座間駐屯地第390施設中隊を以て編成されています。
第1戦車大隊の観閲行進開始、10式戦車の雄姿、遂に第1戦車大隊の74式戦車が置き換えを開始しました。最後の最後まで61式戦車を運用し続け、20世紀最後にようやく74式戦車で完全充足した第1戦車大隊は、いま、世界で最も進んだ10式戦車に大隊旗を掲げ観閲行進へ臨みました。
凄い近代化の進み具合です、2010年にようやく軽装甲機動車の配備が開始され、それまでは高機動車で普通科隊員が頑張っていた第1師団が、新鋭戦車を第一線部隊として最初に受領、その他の装甲車と共に観閲行進を進んでいるのですから、これはある意味驚きでしょう。
10式戦車は、第3世代戦車を圧倒する火力と情報戦闘力に同水準以上の防御力を有しつつ、機動力を戦術戦略面で強化した新しい戦車の概念を具現化させたもの。第1戦車大隊への10式戦車は第1中隊から開始されました。第1戦車大隊は、大隊本部と第1中隊に第2中隊の編成、戦車数では第1機甲教育隊よりも少ないのですが、新鋭戦車の導入で一際目立つようになった、ということ。
この戦車について思うのは、滝ヶ原駐屯地の評価支援隊が隷下に置く第一機械化大隊のように、戦車中隊一個と装甲化された普通科中隊二個から成る編成がある意味理想なのでは、という事。着上陸という従来脅威が今なお残る日本では欧州が実用化したような高度な装甲戦闘車よりも戦車の直接戦闘火力と普通科隊員の降車戦闘との連携が重要になるのではないでしょうか。
10式戦車は、無段式変速機が誇る加速力で90式戦車を遙かに凌いでいますし、後退速度も凄い。攻撃力は情報共有による共同交戦能力はもちろん、かなり激しい機動下でも主砲を正確に射撃し命中させられます。また、防御力を維持強化しつつ、軽量化する技術を完成させましたので、輸送という戦略機動性も高い、これはもっと広く装備できないものか、と。
これだけの戦車を開発できたのですから、一個普通科連隊を三個機械化大隊編制として、普通科六個中隊と戦車三個中隊で大隊が独立して運用できる体制を構築すれば、警備管区を連隊が保持しつつ、一個大隊を派出し動的防衛力に充てることが出来ます。また、旅団は連隊を置かず五個機械化大隊を基幹とする編成としてみるのも一考の価値はある、と言えるやもしれません。
一方で、10式戦車の駆動系を中心にした整備を如何に野戦時に継続するかという課題、共同交戦能力の高さが大きな10式戦車ですけれども、データリンクする相手がどこか、という問題もあります。このてん、現在普通科部隊には軽装甲機動車の大量配備が進んでいますが、一個班を二両に分け、中隊あたりの装甲車数が増えますので、その分多くのデータリンク情報端末が必要となり、この課題に今後どう挑むか考えねばならない。
第2中隊の74式戦車、まだまだ現役ではあるのですが、耐用年数を迎え除籍される車両が年々多く、その数を補う10式戦車の導入が進んでいません。民主党政権時代に当時600両の戦車定数を200両削り400両定数とし、その200両分の予算を以て南西諸島防衛強化を図る、という方式が明示されていたのを当時の新聞記事を読み思い出したのが先週です。
南西諸島防衛強化と言っても具体策が当時出されていませんでしたので、どうせ政権公約に5000億円防衛費削減を明示していた与党は体の良い予算削減に置き換えるでしょうから、それならば非効率を承知でいっそ200両の戦車を、沖縄本島、久米島、大東島、石垣島、宮古島、西表島、与那国島に各二個中隊を分散配置したほうがまだまし、と考えていました。実際、南西諸島防衛の具体策は明示されず純減になりましたが。
11式戦車回収車、本邦初公開の装備です。11式装軌車回収車として装備化された車両ですが、11式戦車回収車と呼称されていました。10式戦車の第1戦車大隊配備に伴い、従来の78式戦車回収車を置き換える後継装備として、第1後方支援連隊第二整備大隊戦車直接支援隊に装備された、配備されたてのもの。
新しい11式戦車回収車は車体を10式戦車のものとしています。90式戦車回収車と似ていますが、第1後方支援連隊には78式戦車回収車はまだ一部残り、第一機甲教育隊には90式戦車回収車が配備中、出来れば、78式戦車回収車と90式戦車回収車に11式戦車回収車の並びがみてみたかった。
第1機甲教育隊の観閲行進、第4中隊の96式装輪装甲車が進んでゆきます。戦車大隊本部や後方支援連隊の戦車直接支援隊への装備で、本土の普通科部隊には殆ど普及していませんが、多くの駐屯地で見る事となった装備、本部班や直掩普通科隊員の輸送に整備要員の輸送に用いられますが、戦車は長距離機動で戦車輸送車にて輸送されますので、ゲリラコマンドーからの護衛にもこの種の車両が随伴する必要はあるのかも。
第一機甲教育隊の87式偵察警戒車、偵察隊は機甲科の所属です。ところで、第一機甲教育隊第1中隊の所属なのですが、第1中隊の本部に装備されている装備で、他に中隊は戦車で充足しているのでしょうか、本年は少々第1機甲教育隊の戦車が少なかったように感じましたので、そんなことが、ふと。
第2中隊の74式戦車、第1機甲教育隊は四個中隊編制で、武山駐屯地の東部方面混成団に所属しています。東部方面混成団は第1教育団と即応予備自衛官主体の第31普通科連隊を第1師団から配置換えしたものですが、機甲教育隊により東部方面隊有数の戦車部隊を有していたりする。
90式戦車、第3世代戦車としての装備を整えつつ、自動装填装置の採用による射撃能力の強化、自動追尾装置による戦闘能力の向上が行われ、現在、データリンク能力の追加が第2師団を中心に進められています。世界的に火力では高い水準にあり、機動力も大きいのですが、日本本土での運用には重量が大きく、北海道に重点配備されています。本土では富士教導団とここ第1機甲教育隊、あと9は武器学校に配備されているのみ。
観閲行進はこのように進みました、こののち訓練展示に装備品展示と進みましたが、G-12は定点撮影を広角で行うのみですので、激しく機動する訓練展示をこのG-12で撮影することは出来ず、EOS-7Dで撮影しました。ですから、その模様は別の機会に紹介できれば、とおもいます。荒天予報は好天が実際で、風が強かったものの幸い雨天には至りませんでした。現地でご一緒いただきました皆様、最後になりましたがありがとうございました。
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