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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上自衛隊横須賀基地を海から探訪 横須賀軍港めぐり 定期運行へ

2008-09-15 22:32:08 | 海上自衛隊 催事

■YOKOSUKA軍港めぐり

 横須賀軍港巡りは、これまで季節限定の不定期運行であったが、この9月から定期運行となった。せっかく横須賀サマーフェスタに行ったのだから軍港巡りに行こう!と思いきや、満員御礼で乗船できず、という方も多かったのではないか、私がそうだったので、皆そうに違いない(ヲイヲイ)。

Img_3220  横須賀基地を出航する「はるな」。

 横須賀軍港めぐり定期運行化の記念に本日は、20日に乗船した際の写真を紹介したい(当時とは乗船場が違うので若干、様子は違うかも)。現在は、汐入駅から程近い、ダイエー・ショッパーズプラザ横須賀前のヴェルニー公園から乗船する。運賃は大人1200円、子供600円で、出航時刻は1100・1200・1300・1400時の一日四本、航行時間は45分。運行しているのはチャータークルーズなどでも知られるトライアングルで、他に猿島、観音崎航路も運行している会社だ。

Img_3359  横須賀港外に停泊する護衛艦「おおなみ」と、舞鶴基地に向かうヘリコプター護衛艦はるな。はるな、には第3護衛隊群司令が乗艦しているのだが、桟橋の外側に停泊していた。指揮官座場の場合は、桟橋に近いところに停泊するので、出航するということは、考えれば当然だったのだ。

Img_3381  12号バースに停泊する強襲揚陸艦エセックス。エセックスは佐世保基地から横須賀に寄港しているところ。ここには25日に原子力空母ジョージワシントンが入港する予定。強襲揚陸艦エセックス(LHD-2 Essex)は、ワスプ級強襲揚陸艦の二番艦として1992年に就役した世界最大の揚陸艦で、満載排水量は40650㌧、全長257㍍。ヘリコプター42機とVTOL攻撃機6~8機を搭載することが可能、ドック型揚陸艦としての機能も有し、LCACならば3隻、従来型のLCMであれば12隻が収容できる。乗員は1123名、揚陸部隊2000名を収容できる。

Img_3390  アメリカ海軍横須賀施設に停泊している二隻のイージス艦。ヴェルニー公園の対岸にみえる埠頭である。左側がミサイル駆逐艦ラッセン(DDG82 Lassen)、右側がミサイル駆逐艦ジョンポールジョーンズ(DDG53 Jhon Paul Jones)。ラッセンはアーレイバーク級の22番艦で、ヘリコプターを搭載するフライト2Aに属し満載排水量は9200㌧、ジョンポールジョーンズは三番艦、満載排水量は8315㌧である。

Img_3402  キングストン級高速哨戒艇が近付いてくる。横須賀軍港めぐりは、米海軍と海上自衛隊の特別な許可のもとに行われており、撮影も制約はない、ただし、飛び込み禁止(やった奴いるのか?)とアナウンスがあった。キングストン(Kingston)級は基地哨戒用に2001年から米海軍が導入したもので、満載排水量5.5㌧、最高速力30ノット以上で加速が凄く早い。乗員5名で7.62㍉機銃3門を搭載可能、海上自衛隊にも欲しい装備だ。

Img_8329  アーレイバーク級のマストと共に海上自衛隊の潜水艦三隻が停泊している。中央に停泊しているのが「はるしお」型潜水艦で、左右に停泊しているのが「おやしお」型であるということまでは分かるのだが、艦名は不明。多数の潜水艦が停泊していることからも分かるように、横須賀基地には第2潜水隊群司令部が置かれている。写真の反対側がヴェルニー公園なのだが、潜水艦に気をとられていてウェルニー公園を海側から撮るのを忘れていたのは内緒。

Img_8347  海上自衛隊の誇るイージス艦きりしま。軍港めぐりは、吉倉桟橋へと進む。きりしま、は満載排水量9500㌧、全長161㍍。海上自衛隊が導入した二隻目のイージス艦で、イージスシステムを搭載した電子の要塞は、90発のミサイルを垂直発射装置(VLS)に搭載、加えて弾道ミサイル防衛任務に対応するシステム改修を受けている。

Img_3415 イージス艦きりしま、の隣に停泊しているのは護衛艦はるさめ。9隻が建造された、むらさめ型護衛艦の二番艦で、満載排水量は6200㌧。本型は護衛艦として始めて本格的にステルス性に考慮した設計を採用し、対潜用、対空用ミサイルをVLSから運用する方式を採用したことで知られる。なお、大型化とともに自動化を進めたことでも知られ、科員居住区は二段ベットを採用するなど、居住性を高めている。

Img_8366  吉倉桟橋の情景。左から順番に、護衛艦「おおなみ」、護衛艦「しらゆき」、旧砕氷艦「しらせ」、海洋観測艦「ふたみ」、海洋観測艦「わかさ」。「おおなみ」は、「むらさめ」型の拡大改良型である「たかなみ」型の二番艦、海洋観測艦は潜水艦を探知識別する音響観測能力に特化した艦で、音響を感知するケーブルなどの敷設も行う。なお、長期の航海が多く、その分、居住性には相当の配慮が為されている。「しらせ」は南極観測支援など多くの任務を果たした後、7月30日に除籍となった。

Img_8383  軍港めぐりは、これまで回った横須賀本港から荒井掘割水路を通り艦船補給所のある長浦港、自衛艦隊司令部の置かれた船越地区に向かう。横須賀本港には、大型艦が停泊しており、横須賀地方総監部が置かれており、長浦港と船越地区には横須賀地方隊の艦船が停泊している。写真の左側は海上自衛隊の箱崎ターミナルで、右側が米軍施設が置かれている吾妻島だ。

Img_3462  掃海艦「やえやま」と掃海艦「つしま」。掃海隊群第51掃海隊に所属する掃海艦。海上自衛隊はこれまで多くの掃海艇を建造してきたが、対潜用に海峡や港湾入り口へ敷設される深深度敷設機雷に対抗するべく導入された。満載排水量は1200㌧、機雷対策に木造船体を採用しているが、木造艦としては、世界最大の艦である。

Img_8416  自衛艦隊司令部と、護衛艦隊33隻の護衛艦を指揮する護衛艦隊旗艦「さわかぜ」。「さわかぜ」は「たかつき」型護衛艦を原型としてスタンダードSAMシステムを搭載した「たちかぜ」型ミサイル護衛艦の三番艦として建造され、満載排水量は5200㌧。護衛艦隊旗艦として、先代の「たちかぜ」は後部の5インチ砲を撤去し、そこに司令部施設を新設したが、「さわかぜ」は旗艦となっても、改造は施されていないようだ。どうせならば、「はるな」あたりをヘリコプター格納庫を改修し司令部施設を配置するかたちで、護衛艦隊旗艦にすれば、とも思うのだが。

Img_3448  元ミサイル護衛艦/護衛艦隊旗艦「たちかぜ」。標的艦として改装が行われている。今年の海上自衛隊演習で標的となる予定とされるが、燃料費高騰により海上自衛隊演習が図上演習となったため、もう少し、船越地区に留まるのだろうか。隣は、試験艦「くりはま」、満載排水量1100㌧で対潜装備、機雷戦装備の海上試験を行う艦である。

Img_3469  ミサイル護衛艦「はたかぜ」と護衛艦「はつゆき」。「はたかぜ」はガスタービン推進方式のミサイル護衛艦で満載排水量は5900㌧、イージス艦導入までの過渡的な防空艦という位置づけで、一時、同時多目標処理能力を付与させる近代化改装が計画されたが、実現には至らなかった。「はつゆき」は12隻が建造された「はつゆき」型のネームシップで、満載排水量4000㌧という限られた艦内に、対空・対潜・対水上各種ミサイルを搭載、哨戒ヘリコプターの運用能力を有しガスタービン推進方式を採用するという野心的な設計で知られ、今日の護衛艦隊編成の基礎を創った。

Img_3488  試験艦「あすか」の隣を通り、軍港めぐりは発着場に向かう。以上が、横須賀軍港めぐり、船上からの情景だ。短い時間であるが、思いのほか横須賀基地の今を知ることができ、解説アナウンスにより理解を深めることが出来る。なお、停泊している艦船は、実際に見るまで知ることはできず、気象条件などにより運行が中止される可能性があるとのことだ。一日四本運行ということもあり、お薦めのひと時を過ごすことができよう。

HARUNA

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コメント (2)
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