害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

白頭掻ケバ更ニ短ク

2007-11-16 11:26:00 | 自然観察

近年めっきりテッペンが薄くなってきた。家族からは「ハゲオヤジ」とかいわれるし。だいたい、なんでヒトは変なところに毛が残っているのだろう。偉大なるデズモンド・モリスだって、この辺はなんだかヘンチクリンな説を書いていたような気がする。私が思うには、ヒトが体毛を失った霊長類なら、ハゲは全き者ものへの正しい道のりではないか。ジジィになってもフサフサしているのは退行的ということになる。にもかかわらず、なんで近所の薬局では特売の「リアップ」が午前中に売切れてしまうのか。貧乏で退行したいオヤジがそんなに多いのか!!

ヨメの妹から、ハゲの父親に悪いことをしたという友人の話を聞いたことがある。子供のためにも見てくれを回復するために、思い切ってカツラを買った父親は、変身した姿を娘たちに見せた。すると、娘たちは大泣きしてしまった。「いや・・・なんかね。パパがパパでなくなってしもうたのがショックでね・・・」と小さい頃の思い出を語っていたそうだ。その後、彼女の父親はまったく変身していないとのことである。・・・やはり、無駄なことはするべきではないという教訓やな。

甲虫なんかだと、ツルツルの種が好まれたりする。先日採集したカグヤヒメキクイゾウムシなんぞは、みっともない毛なんかは皆無である。タケから出てくるので、和名に「かぐや姫」が付いているようである。付節のあたりが検索キーの一つになっているので拡大してみた。多くの種がある日本産キクイゾウムシのなかにあって、森本先生が「美しい」と表現されている2種のうちの一つである。*

私的には他のキクイゾウムシと際立った美しさは感じないが、求道者のみにわかる美がきっとあるに違いない。そういえば、どことなくかぐや姫に・・・・ゼンゼン見えませんけど・・・。

このゾウムシをみていると、ツルピカになったジジィだって、美しいと評価されるようなシーンが、今後の人生にあるかもしれないなどと思う。希望を捨てずに生きていかねば。

Pseudocossonusbrevitarsis

*参考文献は、家屋害虫2,1988年発行,井上書院。