タカラダニについていろいろ知りたいとは思っているのだけれど、いまだに発育段階とか、食物とか、性別とかに関する基礎情報が集められないでいる。
宿主から脱落した幼虫をちょっと世話したりしてみても、その次のステージが目・口・脚もないようなものだったり、ちゃんと脚のある若虫だったりで、パターンが読めない。
タカラダニの成虫は捕食性みたいなことが、いくつかの書物に書いてあるので、採集してきた個体にいろんなムシなどを与えてみたが、うまく食べてくれたことがなくて行き詰まり中だった。
でも近頃、貰い物のクモタカラダニの一種(神戸市産)にテキトーにあれこれ与えているうち、ちょっと進展があった。
顆粒状のドライイーストを一粒、水に濡らして溶かしてからシャーレのフタの裏にくっつけた。小さなイーストのしずくはすぐに半乾きになって膜状になるのだが、そこにクモタカラダニが口吻をつっこんでいた。半透明のイーストの膜のなかで、口吻から口針が出たり引っ込んだりしている様子を観察できた。口針の先端からなにか唾液のようなものが出て、次に口針の先端をさざなみのように細かくうねらせて、唾液と溶けたイーストを吸っていた。しばらくすると、イースト膜にはクサビ状の凹みがたくさんできた。
2日ほどすると食べるのを止めてジッと動かなくなった。さらに2日経った今日、なんと産卵していた!
卵は120個ほどが塊になって、脱脂綿とシャーレの隙間に隠すように産み付けられていた。
これで、図鑑とかその他の記載文と一致する幼虫が孵ってくれれば、成虫の名前が判明するということだ。楽しみ、楽しみ。
ハマベクモタカラダニ幼虫が寄生しているクモタカラダニ不明種の成虫(神戸市産)も頂いた。もらった時点で死んでいたので、すぐにプレパラートの前処理液(メタノール+酢酸)行き。タカラダニ幼虫がタカラダニ成虫に寄生することで発育するかどうかをみてみたかった・・・・。この幼虫と成虫は親子関係かも知れないが、成虫は同定できないのでなんともいえない。タカラダニ幼虫はヤモリだとか鳥とかからもみつかっているが、宿主選択がエー加減なだけとちゃうんという話もある。
プレパラートの前処理液(メタノール+酢酸) って、どう使うんですか?
どんな効果があるんですか?
ダニはいつも乳酸で透明にして、→封入!! なんです
かったいのも、やわいのも 濃度や温度や時間をテキトーに加減するだけです
よろしくお願いします
通常の業務的には、私も乳酸しか使用してません。後世に残す標本作りとデータ作りということは余り考えていないので、たいそうテキトーなことをやって居るしだいでありまする。
*参考文献:齋藤裕.採集法および標本作成法.pp.308-314.江原昭三・真梶徳純編,植物ダニ学.全国農村教育協会.東京(1966)
一度試してみます。
血液たっぷりの中気門なんかはどうされています?
ちょうどワクモが大量に手に入ったものですから、一応液浸にして、一部を乳酸漬けにしているところです。
50℃で2日経過し、吸血していない個体はすっかりきれいになったのですが、吸血した個体はまだ充分ではありません。
1週間ほど漬けておく予定ですが、他に良い方法はありませんか?
まだ赤いウチなら体側面などに穴開けて酸素系漂白剤の原液(ブライトとか)に数日漬け置きで、いくらか色を落とすことができます。
ガビガビに乾燥して黒くなってるサンプルについては、六本脚で売ってる軟化剤(タンパク質分解酵素)に1日漬けて、内容物を柄付き針などで押し出すと多少マシな感じですが、ハッキリ言って満足のいくプレパラートに仕上げることができた試しなど私には無かったりします。