害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

平たい体族

2012-01-21 06:14:00 | 自然観察

昨日訪問した兵庫県南部の水産加工施設は、工場フル回転でとても活気があった。喜ばしいことである。

仕事を終えて、現場に近い山陽自動車道のサービスエリアで、休憩していると緑地のケヤキの立ち枯れに目がとまった。めくれそうな樹皮をところかまわず剥がしてよいという法はないが、枯死樹皮剥離禁止法も今のところまだ制定されていないはずなので、とても目立つ行為ではあったが樹皮をめくってみた。
ヒラタムシ上科のコウチュウなどは全くおらず、平たいムシ状か?って感じのチャタテムシが少数ノロノロと這い回っているにすぎなかった。そのチャタテムシを少しばかり会社に持ち帰って調べてみた。

コナチャタテの一種Embidopsocus sp. だった。写真の個体は体長約1.6mmである。
食品工場でみられる種より、ちょっと強壮な雰囲気だし、色黒な感じで別種と考える。Embidopsocus

この種も翅が生えてくることがあるのだろうか?
室内で見つかるEmbidopsocus属は世界に数種あり、広域分布種もいて「Insect and mite pests in food. Vol.2(1991)」では、E. oleaginus の分布に沖縄が含まれていた。けれど野外でみつかる種については何にも分からない。

ちょっと他の人のブログで気になる記事があった。同業者が関与する論文でヒゲブトハネカクシ類の同定がアヤシイというもの。人工的な環境っていうのは、時々思いがけない種が定着することがあるので、へーそんなこともあるんだと疑いもせず感心していた研究だった。私には同定の正誤について判断のしようがないけれど、新顔の「害虫」を紹介する論文でもあるので、詳細な標本図が文中に無かったことが読者の立場からは残念なところ。どこかに、標本とか残ってないのだろうか?
個人的には科までで分類を止めているハネカクシだけれど、建物内とかで発生しているっぽい種に関しては、名前や生活史をもう少し詳しく知りたいものである。