浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

大学生増加策は何のため?

2012-11-05 21:29:49 | 日記
 田中真紀子文部科学大臣が、4年制大学の新設を許可しなかった。許可されなかった3大学は、青天の霹靂であっただろう。なぜなら、大学を改組したり、新設したりするとき、その準備過程から文科省とは頻繁に接触して、文科省の言うとおりに申請書類を整え、文科省の言うとおりに一定の人事を行い、文科省の意に沿わないことは一切しないで、ひたすら大学側は腰を低くして文科省の言うがままに行動してきただろうからである。

 そうすることによって、大学審議会を通し、もう当然来年4月から開学できると思って準備してきたら、文科省の大臣からダメといわれたのだ。

 子どもの数が少なくなっているのに、毎年毎年新しい大学が開設され、あるいは新しい学部が新設され、各大学は拡張に拡張を重ねている。こうして大学は、どんどん入りやすくなっている。ところが一定のレベル以上の大学には学生が集まるが、そうでない大学には学生が集まらない。したがって定員を満たしていない大学がたくさんある。

 それでも、文科省は大学を増やし、学部学科を増やす。それは何のためか。まず文科省の官僚の再就職先を確保するためだ。

 大学側があたらしい学部をつくったり、4年制へと改組する際、文科省と綿密な交渉が必要となるが、その際、文科省のもと官僚を雇用しておけば、交渉はうまくいくし、設置も容易になる。だから、少しでも大学を改組しようとするときは、どの大学でも文科省の官僚の天下りを受け入れるのだ。

 国立大学も、今では国立大学法人○○大学となっているが、文科省からの予算をとるべく、どこの国立大学も文科省の天下りを積極的に受け入れている。

 今度の田中大臣の措置に驚いたのは、申請した大学だけではなく、文科省の官僚も驚いただろうと思う。田中大臣の決定は、文科省の官僚への打撃でもあるのだ。

 私は、3大学には同情の念を持つが、現在の大学生増加政策は停止すべきであると思う。大学には、たとえ私学であっても、膨大な国家予算が投入される。しかし学生のなかには、バイトに勤しみ、学問研究とは無縁の生活をしている者も多い。本来行くべきではなかった者が学生となっているのだ。

 これからつぶれていく大学も増えてくる。ここらで立ち止まるべきだ。
コメント
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