浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

原田正純さん

2012-11-04 23:00:57 | 日記
 今日のNHK教育のETV特集は、水俣病患者に誠心誠意関わってきた原田正純さんの歩みを放映した。

 原田さんは、今年6月11日に亡くなった。テレビに映し出された顔は、ほんとうにいい顔だ。テレビに出てくる野田をはじめとした政治家諸君の顔と比べてみると、何と人間的なことか。

 原田さんは、水俣の患者の姿を見てしまった。見てしまった責任を終生負い続けた。すべての医者が、原田さんのように責任を負うわけではない。おそらく原田さんは、選ばれたのだ、患者たちに。

 水俣を中心とした地域には、水銀を体内にとりこんだ魚介類を食べた人が多い。しかし水俣病患者であることは、差別を受けることでもあった。だから、耐えられるなら耐えようと、みずからの症状を隠してきた人がたくさんいる。

 加害企業チッソも、政府も、できうるかぎり被害者を少なくしようと画策してきた。差別されることをおそれて隠すことを悪用して。

 水俣病患者に対する措置をみると、フクシマでこれからでてくる事態を、できうるかぎり過小評価しようという行政の姿が推測できる。

 いかなる学問も、いかなる立場で研究するかが問われるのである。みずからには何の責任もないにもかかわらず、一生を不自由な身体で生きていかなければならない人たちの立場に立たずして、何の学問と言えようか。学問というのは、今の社会をより良くするためにこそ存在しなければならない。

 どんな学問をやるときでも、立場は常に弱者の立場、ボクがいつも言う「底辺の視座」から見つめなければならない。

 今日のETV特集をみて、言いたくなったことを記した。

 原田正純さんの「水俣学」の本を、一冊でもいいから読んで欲しい。
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