日本の医療が世界のスタンダートな医療から外れて誤っている
ことがいろいろあります。
そのなかのひとつが、「風邪(感冒)の治療に治療に対する
抗生剤の治療」です!
昔から「風邪だから抗生剤も処方しておきますね」という先生の言葉に
「抗生剤を処方されたので風邪が治る」と安心する患者さん、というのは
日本の診療所で当たり前のように見られていました。
でも、風邪はウイルスによって起こるので抗生剤は効かない(抗生剤が
効くのは細菌です)というのが医学的常識です。
風邪は、患者さんの免疫力でウイルスを排除して治るわけであり、
抗生剤が風邪ウイルスを殺して治るわけではありません。
なのに、(起きてもいない)肺炎を恐れて抗生剤の処方が
当たり前になり、患者さんは抗生剤を処方してもらえば安心という
誤った認識が広がっています。
不要な抗生剤の投与により、抗生剤が効かない「耐性菌」が増えていて
世界的には抗生剤の処方が制限されているのに、日本では一部の医師が
風邪に抗生剤の処方を続けています。
患者さんの中には
「抗生剤を処方するのがいい先生!」
「抗生剤を処方しないのはダメな先生!」
というひともいて、ビックリします、
そのため、厚生省も「抗微生物薬適正使用の手引き 第二版」を出して
われわれ医師にも配布しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000573655.pdf
「感冒に対しては、抗抗菌薬(抗生剤)投与を行わないことを推奨する」
と明記されています。
だから、医師も単なる風邪(感冒)か抗生剤の処方が必要な感染症か見分けることが必要です。
まだ、患者さんも「風邪をひいたから抗生剤を処方してください!早くないるので!」という
考えも改めなければなりません。
いまだに、「風邪の薬=抗生剤」という勘違いが多いので、正しい知識を広める努力が
医療界全体で必要です