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愚かな者が自分が愚かであると自覚するならば、彼はそのことによって賢者となる 法句経63
平成25年2月のことばは読んだだけで、なんとなくわかる言葉だと思います。なんとなくわかるのと理解して体得するのは別ですが、なんとなくで良いのではないでしょうか。原典は法句経です。法句経は佐々木閑教授がNHKテレビテキスト『真理のことば』で次ぎのように定義しています。
仏教の開祖であるブッダの言葉を短い詩の形にして四百二十三句集めたのが『ダンマパダ』です。漢訳は『法句経』と言い、日本では『真理のことば』という題名でも翻訳されています。数ある仏教の経典の中でも、とくに古い部類に属するものです。(途中略)「釈迦の仏教」は、念仏を称えれば救われるといったような、誰かに救いを求める宗教ではありません。自分の道は自分で開けという厳しい教えです。しかし、むしろそういう厳しい仏教のほうが、現代の人びとには受け入れやすいのかもしれません。アメリカでは、この「釈迦の仏教」にもとついて、普段の生活の中に羅を取り入れ、自律的な生き方を目指す「ナイトスタンド.ブディスト」と呼ばれる信者が急増していますし、私が受け持っている社会人学生の方々も百分の力で自分の人生をなんとかしようというブッダの考えに共感している人が多いようです。いわゆる「神頼み」でないブッダの教えは、拝んで助けてもらう救済の宗教よりも、合理的な現代人の志向に合っているということでしょう。
今は「教育テレビ」といわずにEテレというらしいけれど、Eテレ「100分de名著」シリーズのテキストから引用しました。最初の放送は2011年9月で、12年3月にも再放送された。続いて、今年2013年1月の「100分de名著」シリーズで佐々木教授が取り上げたのは、「般若心経」だった。このテキストがひとときベストセラーの一画を占めていたので、買って読んでみた。最初の数ページを見ただけで、売れている理由がわかります。切り口が、これまでの般若心経本と違うのです。なんで、これまでこの視点から心経を読んだものがなかったのか、と新鮮さに驚く本です。どういう視点かというと……、テキストかを買って読んでください。斬新さに驚くけれど、もし私が般若心経の執筆を頼めまれたら(誰も頼まないけれど)、心経の秘密として、不とか無という否定語の多さから解き明かそうとは思っていた。と書けば、「100分de名著」版般若心経の斬新さのヒントになるでしょうか。
佐々木閑教授の論文でない一般書は、超難しい仏教を平易に説いてくれるので、なんとなくわかる気になるところが凄い、と思うのです。