松岩寺伝道掲示板から 今月のことば(blog版)

ホームページ(shoganji.or.jp)では書ききれない「今月のことば」の背景です。一ヶ月にひとつの言葉を紹介します

初心とは

2015-01-01 | インポート

 

初心とは いつでも帰れる 貌をして 傍らにありて すでに帰れず   馬場あき子

 「初めに思い立った心」を初心といいます。新しい学校に入った時の初心。新しい芸事を習い始めた時の初心。そして、あたらしい年の初心。今年の初心は何かというと……。正直に書けば、これは暮れに書いているわけで、新しい年の初心は何になるかわからない。ならば、チャンと年を越えてから書けばよいのですが、お寺の正月というのは結構忙しいのですよ。正月三が日にこんなもの書いていられない。忙しさにかまけて松の内が過ぎて、なんて頃には初心なんていうのは忘れている。というわけで、暮れに書いて正月のふりをしているわけです。新しい年も、ありのままに正直に書いていこうと思います。
そこで正直に白状すれば、今月のことばとして
冒頭に掲げた馬場あき子さんの短歌は孫引きです。私が目にしたのは平成24年12月15日付け日経新聞「春秋」欄に引用されたものでした。出典は明記されていませんでした。初収されている歌集なりをしっておきたいと思い調べたら、どうも平成20年元旦の朝日新聞の短歌欄選者の新春詠として掲載されたものらしい。日経の記者は当然ながら、このことをちゃんと承知して書いているのでしょう、が……。と思ってしまう。
ところで、インターネットで「馬場あき子 初心とは」で検索してみると、日経新聞のこの歌をめぐっての論調をチャッカリと拝借して、ご自分の文章を作っているものに出くわした。引用元を明記してないわけだから、盗用といわれてもしょうがない。ネットの検索エンジンがここまで発達しなければ、「好い歌をしっているなぁー」と感心されるだけでネタはばれなかったのでしょうが、それができない現代です。ネットは誹謗中傷なんでもありたけど、盗用をいぶしだす力もあると知った新年(年の暮れ)です。


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