「ちょうちんにあかりをつけておぼんです」
岩手県・徳田小 3年 千葉洋平/金子兜太・澤木欣一監修『子ども俳句歳時記』(1990年・蝸牛社刊)より
8月は月遅れのお盆です。お盆をどう定義するか。いくつかを紹介してみます。
まずは、ひらがなを多用し横書きで話題になった芥川賞小説『abさんご』(黒田夏子著)の一節から、「死者が年に一ど帰ってくると言いつたえる三昼夜」なんていうのはいかがでしょうか。
あるいは、『盂蘭盆経』から引用して「現世の父母および七世前までに自分を生んでくれた父母のための供養」。と、解説してくれるのは野口善敬編著『開甘露門の世界』(禅文化研究所刊)です。
盂蘭盆経などと難しい話しをすると暑くなるから、そのものずばり小学校三年生の俳句をもって、今年のお盆の定義とします。
金子兜太・澤木欣一監修『子ども俳句歳時記』(1990年・蝸牛社刊)に掲載されていた一句です。
お盆の風習というのは、地域で千差万別。民俗学の研究材料の宝庫なのでしょうが、私の寺では、8月13日の未明に提灯をもって墓地へ行き、盆迎えをする。これって、珍しいのではないかなぁー。小学校三年生の千葉洋平君の俳句のちょうちんというのは、どこにある提灯なのか。軒先につるす提灯なのか。あるいは仏壇に飾る提灯なのか。
いろいろな風習があるから、そこに目をつけた業者が、最近はありもしない風習を押しつけるから困ったものです。たとえば、数年前から「新盆のお宅は白い提灯を軒先につるすものです」。なぞとまことしやかに推奨する業者がでてきた。確かに、そういう地域もあるだろう。でも、それを日本全国どこの新盆の家でやる必要はないのです。地域によって、時代によってそれぞれなのだから。
商魂などに汚されず、「ちょうちんにあかりをつけておぼんです」。