
「親鸞」が「日本歴史」に7回出題される理由
(2025年度受験者への指針)
「日本歴史」において、「親鸞」は、過去に7回出題されている「重要人物」ですが(誤答の選択肢も含む)、直近では、2022年度問題(8)、2021年度問題(4)、2017年度問題(大問11)(23)、2016年度問題(大問6)(33)に出題されています。
過去の出題実績:(2010)(2011)(2013)(2016)(2017)(2021)(2022)
(2025年度「日本歴史の傾向と対策」19ぺージ)http://www.hello.ac/2025.his.pdf
(2025年度受験者への指針)
「日本歴史」において、「親鸞」は、過去に7回出題されている「重要人物」ですが(誤答の選択肢も含む)、直近では、2022年度問題(8)、2021年度問題(4)、2017年度問題(大問11)(23)、2016年度問題(大問6)(33)に出題されています。
過去の出題実績:(2010)(2011)(2013)(2016)(2017)(2021)(2022)
(2025年度「日本歴史の傾向と対策」19ぺージ)http://www.hello.ac/2025.his.pdf
●2022年度問題(8)
この像は、鎌倉時代の仏師である康勝の作品であり、京都の六波羅蜜寺に所蔵されている。この仏像は、人々に念仏を唱えることを勧め、市聖とも呼ばれた平安時代中期の人物を描いている。

この人物は誰か。正しいものを次の①~④から選びなさい。
①一遍 ②空也(正解) ③源信 ④親鸞
●2021年度問題(4)
佐渡島(現在の新潟県佐渡市)は、8世紀半ばに越後国に合流した時期もあるが、古代の行政区画で、ある七道の1つ( a )に所属する国である佐渡国として、国司により統治された。鎌倉時代に入り、鎌倉幕府により守護が設置されると、佐渡国にも守護が置かれた。佐渡国は、鎌倉幕府の執権を務めた北条氏一門の領地であり、守護の一人に大仏(北条)宣時がいる。
大仏宣時というと、北条時頼に急に召し出されて、味噌を肴に酒を飲んだという逸話が、吉田(ト部)兼好の随筆『徒然草』に載せられている。
北条時頼は名執権の一人として知られ、鎌倉幕府に( b )を設置して、迅速で公平な裁判の確立に努めた。さて、佐渡島は8世紀前半に遠流の地の1っと定められて、貴族や知識人などが流されてきた。
『立正安国論』を著した( C )、能を大成した世阿弥などが、遠流された人々の中に挙げられる。
空欄a~cに入る言葉として正しいものを、次の①~④から選びなさい。
①a東山道 b探題 C親鸞
②a北陸道 b引付 C日蓮(正解)
③a越後道 b目付 C栄西
④a羽前道 b式目 C隠元
●2017年度問題(大問11)(23)
世界文化遺産の中尊寺のある(a)平泉は、東北地方を治めていた奥州藤原氏一族が4代にわたり統治し、平安時代の約100年もの問栄えた。豊富だった金や馬等を利用して、当時の都をしのぐ都市を平泉に築いたとされている。
(a)平泉に関連して、次の文章の空欄に入る人物で最も適切なものはどれか、次の①~④から一つ選びなさい。
中尊寺は、850年に比叡山延暦寺の高僧( )によって聞かれたとされる。その後、12世紀初めに奥州藤原氏初代清衡によって大規模な堂塔造営が行われた。
①弘法大師空海 ②慈覚大師円仁(正解) ③親鸞上人 ④伝教大師最澄
●2016年度問題(大問6)(33)
平安時代までの仏教は貴族を中心とした信仰であったが、鎌倉時代(12~14世紀)になって武士や民衆にも分かりやすい教えを説く新しい仏教が現れ、現代にも続いている。
次の(a)(b)(c)の宗派と開祖(宗祖)並びに特徴的な教えの組み合わせのうち、正しいものだけをすべて選んでいる組み合わせを、次の①~④から選びなさい。
(a)浄土真宗(一向宗)(親鸞)阿弥陀仏の教えを信じれば、悪人でも仏の慈悲で救われる(悪人正機)と説いた。
(b)浄土宗(法然)南無阿弥陀仏の念仏を唱えれば、誰でも救われるという教え。
(c)法華宗(日蓮宗)(日蓮)南無妙法蓮華経の題目を唱えれば、国家も人も救われるという教え。
①aとb ②aとc ③bとc ④aとbとc(正解)
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①一遍 ②空也(正解) ③源信 ④親鸞
●2021年度問題(4)
佐渡島(現在の新潟県佐渡市)は、8世紀半ばに越後国に合流した時期もあるが、古代の行政区画で、ある七道の1つ( a )に所属する国である佐渡国として、国司により統治された。鎌倉時代に入り、鎌倉幕府により守護が設置されると、佐渡国にも守護が置かれた。佐渡国は、鎌倉幕府の執権を務めた北条氏一門の領地であり、守護の一人に大仏(北条)宣時がいる。
大仏宣時というと、北条時頼に急に召し出されて、味噌を肴に酒を飲んだという逸話が、吉田(ト部)兼好の随筆『徒然草』に載せられている。
北条時頼は名執権の一人として知られ、鎌倉幕府に( b )を設置して、迅速で公平な裁判の確立に努めた。さて、佐渡島は8世紀前半に遠流の地の1っと定められて、貴族や知識人などが流されてきた。
『立正安国論』を著した( C )、能を大成した世阿弥などが、遠流された人々の中に挙げられる。
空欄a~cに入る言葉として正しいものを、次の①~④から選びなさい。
①a東山道 b探題 C親鸞
②a北陸道 b引付 C日蓮(正解)
③a越後道 b目付 C栄西
④a羽前道 b式目 C隠元
●2017年度問題(大問11)(23)
世界文化遺産の中尊寺のある(a)平泉は、東北地方を治めていた奥州藤原氏一族が4代にわたり統治し、平安時代の約100年もの問栄えた。豊富だった金や馬等を利用して、当時の都をしのぐ都市を平泉に築いたとされている。
(a)平泉に関連して、次の文章の空欄に入る人物で最も適切なものはどれか、次の①~④から一つ選びなさい。
中尊寺は、850年に比叡山延暦寺の高僧( )によって聞かれたとされる。その後、12世紀初めに奥州藤原氏初代清衡によって大規模な堂塔造営が行われた。
①弘法大師空海 ②慈覚大師円仁(正解) ③親鸞上人 ④伝教大師最澄
●2016年度問題(大問6)(33)
平安時代までの仏教は貴族を中心とした信仰であったが、鎌倉時代(12~14世紀)になって武士や民衆にも分かりやすい教えを説く新しい仏教が現れ、現代にも続いている。
次の(a)(b)(c)の宗派と開祖(宗祖)並びに特徴的な教えの組み合わせのうち、正しいものだけをすべて選んでいる組み合わせを、次の①~④から選びなさい。
(a)浄土真宗(一向宗)(親鸞)阿弥陀仏の教えを信じれば、悪人でも仏の慈悲で救われる(悪人正機)と説いた。
(b)浄土宗(法然)南無阿弥陀仏の念仏を唱えれば、誰でも救われるという教え。
(c)法華宗(日蓮宗)(日蓮)南無妙法蓮華経の題目を唱えれば、国家も人も救われるという教え。
①aとb ②aとc ③bとc ④aとbとc(正解)
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問題の解説
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●2022年度問題(大問8)
康勝作の仏像(六波羅蜜寺所蔵)に関する設問で、「市聖」として知られる空也を問う内容。親鸞は誤答選択肢として登場。
→ 出題の文脈上、念仏を広めた他の宗教者(源信・一遍・親鸞)との混同を誘う構成。
●2021年度問題(大問4)
佐渡島に流された著名人の一人として、日蓮が正答に。親鸞は誤答選択肢に登場。
→ 流罪に関する設問で、佐渡に関係する親鸞の史実が背景として意識されている。
●2017年度問題(大問11)(23)
平泉の歴史と中尊寺の創建者に関する問題。円仁が正答だが、親鸞は誤答の選択肢。
→ 平安・鎌倉期の宗教家の知識が問われる中で、親鸞の位置づけの理解が求められている。
●2016年度問題(大問6)(33)
鎌倉新仏教三宗派(浄土真宗・浄土宗・法華宗)の教義と開祖の組み合わせを問う問題。
→ 「悪人正機説」など親鸞の思想理解が求められ、正解選択肢として登場。
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親鸞の重要性と頻出の理由
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「日本歴史」において、浄土真宗の開祖である親鸞は、思想史と観光史の両面において極めて重要な位置を占める人物である。鎌倉新仏教の登場を軸とした設問においては欠かせず、また佐渡や京都など、観光地における関連史跡との結びつきも深いため、近年も継続して出題されている。
(1)親鸞の思想と日本仏教史への影響
親鸞は、法然の弟子として浄土宗から出発しつつも、独自に「悪人こそが救われる」と説く悪人正機説を唱え、浄土真宗を創始した。その教えは、難解な仏教理論を離れ、阿弥陀仏への信仰と念仏による救済を広く民衆に開いた点で革新的であった。
この民衆仏教の確立は、鎌倉時代の宗教界における画期であり、日本人の信仰観に深く根を下ろしている。宗教史・思想史上の人物としての重みは非常に大きく、比較宗教的な観点からも、法然・日蓮・道元などとともに頻出する。
(2)実務と観光における親鸞の意義
通訳案内士試験の特色は、「実務」との接続にある。親鸞に関連する名所としては、京都の西本願寺・東本願寺、越後(新潟)の流罪地、さらには佐渡の遠流地など、現代の観光ルートに数多く登場する。
とりわけ、佐渡については、2021年度問題に見られるように、「歴史的人物の流罪地としての佐渡」の文脈が重視されており、親鸞・日蓮・世阿弥などの知識が求められる。
(3)2025年度受験者へのアドバイス
親鸞に関しては、以下の三点を軸に学習を深めておくべきである。
①鎌倉新仏教の中での位置づけ(法然との関係、悪人正機説、浄土真宗の特色)を明確に整理すること。
②京都・新潟・佐渡といったゆかりの地と、浄土真宗の関連施設(特に西本願寺・東本願寺)の観光的意義を意識しておくこと。
③出題傾向として、「誤答選択肢」としての出現が多いため、空也・一遍・日蓮・最澄・空海などとの区別ができるように準備しておくこと。
親鸞は、単なる宗教史の一人物ではなく、民衆の信仰の象徴であり、また日本全国の観光資源に深く関与する存在である。彼に関する学習は、試験対策としてだけでなく、通訳案内士としての品格と教養を備えるうえで、決して等閑にはできない。本質を押さえたうえで、思想・史跡・比較仏教の視点から立体的に理解されたい。
以上
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●2022年度問題(大問8)
康勝作の仏像(六波羅蜜寺所蔵)に関する設問で、「市聖」として知られる空也を問う内容。親鸞は誤答選択肢として登場。
→ 出題の文脈上、念仏を広めた他の宗教者(源信・一遍・親鸞)との混同を誘う構成。
●2021年度問題(大問4)
佐渡島に流された著名人の一人として、日蓮が正答に。親鸞は誤答選択肢に登場。
→ 流罪に関する設問で、佐渡に関係する親鸞の史実が背景として意識されている。
●2017年度問題(大問11)(23)
平泉の歴史と中尊寺の創建者に関する問題。円仁が正答だが、親鸞は誤答の選択肢。
→ 平安・鎌倉期の宗教家の知識が問われる中で、親鸞の位置づけの理解が求められている。
●2016年度問題(大問6)(33)
鎌倉新仏教三宗派(浄土真宗・浄土宗・法華宗)の教義と開祖の組み合わせを問う問題。
→ 「悪人正機説」など親鸞の思想理解が求められ、正解選択肢として登場。
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親鸞の重要性と頻出の理由
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「日本歴史」において、浄土真宗の開祖である親鸞は、思想史と観光史の両面において極めて重要な位置を占める人物である。鎌倉新仏教の登場を軸とした設問においては欠かせず、また佐渡や京都など、観光地における関連史跡との結びつきも深いため、近年も継続して出題されている。
(1)親鸞の思想と日本仏教史への影響
親鸞は、法然の弟子として浄土宗から出発しつつも、独自に「悪人こそが救われる」と説く悪人正機説を唱え、浄土真宗を創始した。その教えは、難解な仏教理論を離れ、阿弥陀仏への信仰と念仏による救済を広く民衆に開いた点で革新的であった。
この民衆仏教の確立は、鎌倉時代の宗教界における画期であり、日本人の信仰観に深く根を下ろしている。宗教史・思想史上の人物としての重みは非常に大きく、比較宗教的な観点からも、法然・日蓮・道元などとともに頻出する。
(2)実務と観光における親鸞の意義
通訳案内士試験の特色は、「実務」との接続にある。親鸞に関連する名所としては、京都の西本願寺・東本願寺、越後(新潟)の流罪地、さらには佐渡の遠流地など、現代の観光ルートに数多く登場する。
とりわけ、佐渡については、2021年度問題に見られるように、「歴史的人物の流罪地としての佐渡」の文脈が重視されており、親鸞・日蓮・世阿弥などの知識が求められる。
(3)2025年度受験者へのアドバイス
親鸞に関しては、以下の三点を軸に学習を深めておくべきである。
①鎌倉新仏教の中での位置づけ(法然との関係、悪人正機説、浄土真宗の特色)を明確に整理すること。
②京都・新潟・佐渡といったゆかりの地と、浄土真宗の関連施設(特に西本願寺・東本願寺)の観光的意義を意識しておくこと。
③出題傾向として、「誤答選択肢」としての出現が多いため、空也・一遍・日蓮・最澄・空海などとの区別ができるように準備しておくこと。
親鸞は、単なる宗教史の一人物ではなく、民衆の信仰の象徴であり、また日本全国の観光資源に深く関与する存在である。彼に関する学習は、試験対策としてだけでなく、通訳案内士としての品格と教養を備えるうえで、決して等閑にはできない。本質を押さえたうえで、思想・史跡・比較仏教の視点から立体的に理解されたい。
以上