goo blog サービス終了のお知らせ 

合格者数48年連続全国第一位校!

累計1万人の合格実績! 教材・動画すべて無料!

「法隆寺」が「日本歴史」に6回出題される理由

2025年05月14日 16時35分30秒 | ●2025年度<第1次筆記試験>対策
「法隆寺」が「日本歴史」に6回出題される理由
(2025年度受験者への指針)

「日本歴史」において、「法隆寺」は、過去に6回出題されているのですが、直近では、2023年度(1)、2022年度(3)、2020年度【大問11】(問2)、2018年度(13)(問1)、2016年度【大問1】(1)に出題されています。
過去の出題実績:(2015)(2016)(2018)(2020)(2022)(2023)
(2025年度「日本歴史の傾向と対策」19ぺージをご参照)
https://www.hello.ac/2025.his.pdf

●2023年度問題(1)
この仏頭は、7世紀後半の白鳳文化を代表する作品で国宝に指定されている。もと山田寺に在ったものであるが、後に法相宗の大本山であり藤原氏の氏寺として栄えた寺院に移された。
所蔵されている寺院として正しいものを、次の①~④から選びなさい。
①興福寺(2015)(2016)(2019)(2023) (正解) 
②唐招提寺(2015)(2016)(2017)(2022)(2023) 
③東大寺(2015)(2016)(2019)(2022)(2023)
④法隆寺(2015)(2016)(2018)(2020)(2022)(2023)

興福寺の仏頭

●2022年度問題(3)
奈良に都が置かれたのは( a )のことで、「古都奈良の文化財」は、中国、朝鮮からの文化的な影響を受け、日本建築や日本美術の発展に重要な影響を与えることとなった。特に皇室宮殿の配置と現存文化財の設計は、唐の長安の建築群と都市設計の特徴をよく模している。世界遺産
「古都奈良の文化財」に登録されているのは、正倉院のある( b )などの寺社がほとんどである。その中で、( c )についでは、建築物のみならず、神域とされる山中の原始林も登録の対象となっている。
空欄(a)(b)(c)に入る組み合わせとして正しいものを、次の①~④から選びなさい。
①(a)708年 (b)唐招提寺(2015)(2016)(2017)(2022)(2023)
(c)橿原神宮
②(a)710年 (b)東大寺(2015)(2016)(2019)(2022)(2023) (c)春日大社(2015)(2017)(2022)(正解)
③(a)784年 (b)法隆寺(2015)(2016)(2018)(2020)(2022)(2023) (c)談山神社
④(a)794年 (b)薬師寺寺(2011)(2013)(2014)(2016)(c)大神神社

東大寺


●2020年度問題【大問11】(問2)
6世紀末頃から、飛鳥に( a )大王の王宮が営まれることが多くなり、百済や高句麗、中国南北朝時代の影響を強く受けた( b )飛鳥文化が花開いた。この時代に台頭した蘇我氏の本宗家は、王族中心の中央集権を目指す中大兄皇子や中臣鎌足により討たれた。そして、皇極天皇の譲位にともない孝徳天皇が即位し、新政権のもとで諸改革が行われた。
(問2)( b )飛鳥文化に関連して、飛鳥文化の作品にあてはまるものを、次の①~④から一つ選びなさい。
①法隆寺玉虫厨子(2015)(2016)(2018)(2020)(正解)
②扇面古写経
③興福寺阿修羅像(2011)(2016)
④神護寺両界蔓茶羅問(2010)(2016)


法隆寺玉虫厨子

●2018年度問題(13)(問1)
現在の大阪市にある( a )は、593年b推古天皇の時代、厩戸王(聖徳太子)により建立されたと伝えられる。また、日本仏法最初の官寺と伝えられている。その伽藍配置は南から北に向かつて中門、五重塔、金堂、講堂を一直線に配置し、それを回廊で囲む「( a )式伽藍配置」といわれている。
(問1) 空欄( a )に入る語句として最も適切なものはどれか、次の①~④から一つ選びなさい。
①飛鳥寺(2015)(2018) 
②四天王寺(2016)(2018) (正解)
③法隆寺(斑鳩寺)(2015)(2016)(2018)(2020)(2022)(2023) 
④中宮寺(2010)(2011)(2013)


四天王寺
式伽藍配置

(ご参考)法隆寺式伽藍配置
中門を入ると、五重塔が左、金堂が右に配置されています。奥には講堂があり、回廊でこれらの建物が囲まれています.

法隆寺式伽藍配置

●2016年度問題【大問1】(1)
次の(1)~(11)は、日本の観光地等の写真とそれに関する説明である。それらを参照しつつ、それぞれの聞いに答えなさい。
(1)この写真は、聖徳太子(厩戸皇子)が住んでいた斑鳩宮跡に行信僧都という高僧が聖徳太子の遺徳を偲び8世紀に建設した上宮王院(法隆寺東院伽藍)の中心となる建物で、八角円堂の中央の厨子には聖徳太子等身と伝えられる秘仏救世観音像が安置されている。この建築物の名称として適当なものはどれか。次の①~④から選びなさい。
①西円堂
②大宝蔵院
③伝法堂
④夢殿(2016)(正解)
法隆寺夢殿

━━━━━━━━━━━━━━━
問題の解説
━━━━━━━━━━━━━━━
奈良県斑鳩の地に悠然とたたずむ「法隆寺」は、世界最古の木造建築として知られ、1993年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
この歴史的寺院が、「日本歴史」においてたびたび登場するのは偶然ではありません。事実、過去6回も出題されており、出題頻度は群を抜いています。

【1】2023年度問題(問1)
この仏頭は、7世紀後半の白鳳文化を代表する作品で国宝に指定されている。もと山田寺にあったものであるが、後に法相宗の大本山であり藤原氏の氏寺として栄えた寺院に移された。所蔵されている寺院として正しいものを選びなさい。
正解:①興福寺

(解説)
白鳳文化を代表する仏頭は、かつて山田寺に安置されていたものですが、奈良時代に藤原氏の氏寺である興福寺へ移されました。ここで問われているのは、「仏頭の由来」と「寺院の宗派的系譜」。法隆寺とは異なる宗派(興福寺=法相宗)である点を見極める必要があります。

【2】2022年度問題(問3)
世界遺産「古都奈良の文化財」の構成要素に関する空欄補充。
正解:②(a)710年(b)東大寺(2015)(2016)(2019)(2022)(2023)(c)春日大社(2012)(2015)(2017)(2022)

(解説)
平城京遷都の年(710年)と、正倉院を擁する東大寺、そして神域の春日山原始林を含む春日大社の知識が問われます。ここでも、奈良時代を代表する寺院群の位置づけを的確に理解しているかが試されました。法隆寺自体は「古都奈良の文化財」ではなく、別枠の世界遺産(法隆寺地域の仏教建造物)である点も重要です。

【3】2020年度問題(大問11)(問2)
飛鳥文化の遺産に該当する作品を選びなさい。
正解:①法隆寺玉虫厨子(2015)(2016)(2018)(2020)

(解説)
飛鳥文化を代表する仏教工芸品といえば「玉虫厨子」。法隆寺に現存し、螺鈿や玉虫の羽を用いた精緻な装飾が目を引きます。側面に描かれた「捨身飼虎図」などは、仏教説話の視覚的教育資料としても重要です。

【4】2018年度問題(問1)
「南から北に中門、五重塔、金堂、講堂を一直線に配置した伽藍」について、最も適切な寺院名を答えなさい。
正解:
②四天王寺(2016)(2018) 

(解説)
これはまさに
「四天王寺式伽藍配置」として知られる様式です。南から北へと中門→五重塔→金堂→講堂が一直線に並び、それらを回廊が囲む形式は、現存する日本最古の建築群として建築史上も極めて意義深いものです。

【5】2016年度問題(大問1・問1)
聖徳太子ゆかりの八角円堂で、東院伽藍の中心的建築物は何か。
正解:④夢殿(2016)

(解説)
「夢殿」は、聖徳太子の徳を偲んで建立された法隆寺東院伽藍の象徴的な建造物。内部には秘仏「救世観音像」が安置されています。八角円堂という独自の建築形式と、聖徳太子信仰を象徴する存在であることから、文化・宗教の両側面で重要です。

●法隆寺が頻出する3つの理由
(1) 世界最古の木造建築としての普遍的価値
法隆寺は単なる古寺ではなく、世界的にも「人類の記憶」に値する建築群です。そのため、世界遺産に関する出題でも法隆寺は必ずと言ってよいほど登場します。

(2)飛鳥文化の象徴としての存在
日本に仏教文化が根づく初期において、法隆寺は政治・宗教・芸術のすべての中心でした。「玉虫厨子」や「釈迦三尊像」(2006)(2008)は飛鳥文化を象徴する宝物です。


釈迦三尊像

(3) 聖徳太子信仰と国家的意義
聖徳太子にまつわる信仰と伝承は、日本史の根幹をなします。試験でも、その象徴である「夢殿」や「斑鳩宮跡」などが繰り返し問われます。

●2025年度受験者への指針
全国通訳案内士試験の受験者にとって、法隆寺は単なる寺院名の暗記では不十分です。
「法隆寺式伽藍配置」とは何か?
「飛鳥文化」「白鳳文化」とは何が異なるのか?
「法隆寺」と「興福寺」「東大寺」との違いは?
こうした点を立体的に理解することが、今後の出題に対応する最短の道です。「法隆寺」は、日本仏教建築の原点にして、日本文化の縮図ともいえる存在。受験においても、観光実務においても、必ず身につけておくべき知識です。

━━━━━━━━━━━━━━━
「法隆寺」の頻出の理由
━━━━━━━━━━━━━━━
●飛鳥の記憶を今に伝える、日本仏教文化の原点
法隆寺が「日本歴史」において繰り返し出題されるのは、単なる知名度の高さによるものではありません。それはむしろ、日本文化史の精髄を体現する存在として、極めて多面的かつ教育的価値に富んでいるからにほかなりません。

(1)世界最古の木造建築群としての普遍性
法隆寺は、現存する世界最古の木造建築物群として1993年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。その建築美は、仏教伝来初期における日本建築技術の成熟を如実に示しており、日本の木造建築の原点として国際的にも認知されています。

(2)日本仏教の黎明期と聖徳太子信仰の象徴
推古天皇の時代、厩戸皇子(聖徳太子)により建立されたと伝えられる法隆寺は、仏教の国教化を推進する国家政策の拠点でした。その信仰は後世に至るまで受け継がれ、夢殿や救世観音像に象徴される太子信仰の聖地としても重要です。

(3)飛鳥文化の代表的遺産としての美術的価値
法隆寺に伝わる「玉虫厨子」「釈迦三尊像」などの仏教工芸品は、飛鳥文化の精華を伝える遺産であり、毎年のように試験で問われる飛鳥・白鳳文化の代表作です。芸術・信仰・思想の複合的理解が求められる出題が可能である点も頻出の理由です。

(4)伽藍配置という建築史上の規範
「四天王寺式伽藍配置」と呼ばれる、南から北への一直線配置(中門・五重塔・金堂・講堂)は、日本建築史における初の整然たる寺院設計とされ、観光案内実務でも語られるべき知識です。建築史・観光実務の双方で出題意義が高いといえます。


(5)関連寺院との比較出題に適した存在
法隆寺は、興福寺、東大寺、四天王寺などの寺院と比較・対比される設問において基準的存在となっています。そのため、「どの寺に何が所蔵されているか」「伽藍配置はどこが異なるか」といった応用型設問でもたびたび登場するのです。

●まとめ
法隆寺とは、単なる古刹ではなく、日本の精神文化・宗教・建築・美術・思想が凝縮された「知の結晶」です。
そのため全国通訳案内士試験においても、あらゆる角度から設問が可能であり、毎年の出題可能性を常に秘めた最重要テーマであり続けています。
受験者各位におかれては、単なる年号や寺名の暗記ではなく、「なぜ法隆寺が文化財として尊ばれるのか」を本質的に理解し、深みある学習を重ねていただきたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━
2025年度受験者へのアドバイス
━━━━━━━━━━━━━━━
●法隆寺を「覚える」のではなく「理解する」ことが肝要
2025年度受験を志す者には、「法隆寺」関連の出題対策は不可避であると言っても過言ではありません。これは、単に法隆寺が有名な寺院だからではなく、その存在が日本文化・宗教・建築・観光実務のすべてにまたがる総合的出題テーマであるからです。
以下に、法隆寺対策にあたり心得ておくべき3つの視点を述べます。

(1)「法隆寺」を時代とともに押さえる
法隆寺は、飛鳥時代に創建された寺院でありながら、飛鳥文化・白鳳文化・天平文化と時代をまたいで様式・宝物・伽藍配置が変化し、継承されています。
受験対策としては次のような知識が求められます:
①「玉虫厨子」「釈迦三尊像」など飛鳥文化の代表作
②「夢殿」「救世観音像」など聖徳太子信仰との関係
③各寺の伽藍配置と建築史における位置づけ
→ 時代ごとの変遷と作品の様式的特徴をセットで理解することが、記憶を定着させる鍵となります。

(2)「他寺院との違い」を明確にする
法隆寺は、東大寺・興福寺・薬師寺・四天王寺などと並び、出題頻度の高い寺院です。したがって、
「仏頭があるのはどの寺か?」(興福寺)
「伽藍配置が一直線の寺は?」(四天王寺)
「正倉院を擁する寺は?」(東大寺)
「遣唐使に関係した鑑真が創建したのは?」(唐招提寺)
といった比較型設問への対応力が求められます。
→ 一寺ごとの知識を、比較を通して整理することが効果的です。

(3)「観光案内の視点」を意識する
全国通訳案内士試験はあくまで「観光ガイドとしての実践力」を問う国家試験です。したがって、法隆寺の知識も次のような視点で整理しておく必要があります。
法隆寺はどの世界遺産に登録されているか?(1993年に単独登録)
参拝時、最初に目にするのはどの門か?
ガイド時には伽藍配置をどう説明するか?
→ 「法隆寺に行ったことがある」という体験ベースの記憶があると説得力が増します。現地を仮想体験しながら学習することも有効です。

●対策
知識を「語れるレベル」へと昇華せよ
法隆寺は、試験においても実務においても、単なる「正解を選ぶための対象」ではなく、訪日客に日本文化を伝える際の核となる素材です。
2025年度の受験にあたっては、ぜひ法隆寺を「ただ覚える」のではなく、「語れるレベル」まで深めてください。
そのためには、出題された問題を暗記するだけでなく、なぜこの寺が重要なのか、どの時代にどのような役割を果たしたのか、他の文化財とのつながりは何か、という構造的・多面的な理解こそが合格への近道となるでしょう。

以上