世の中にある運用商品の99%以上は、はじめから検討に値しないゴミである。
外貨建ての保険や投資信託などを売るセールスマンに外国通貨の先行きなどわかるはずもないし、そのセールスマンが属する会社の研究所やエコノミスト、運用のプロにも先行きはわからない。
ブラックロック、フランクリン・テンプルトンなどグローバルな投資を行う一流の運用会社であっても、外国の国債や通貨の先行きはわからない。
彼らがリスクの高い新興国の国債などに投資できる理由は、1つには分散投資ができるからその一部として投資できるのであり、もう1つには他人のお金だからだ。
株価の下落を心配して株式を売り、株価が下がったところで買い戻そうといった試みは、プロがやっても成功しない場合のほうが多い。
金融商品を買う場合「年間の総支払い手数料が0.5%を超えるものを決して買わない」と心に決めておくこと。
●公的年金について
公的年金は継続性に問題はないが、向こう30年くらいの間に2~3割程度縮小する。
加えて、政府が言う所得代替率は、年金の受取額から差し引かれる税金、社会保険料を考慮していない名目額ベースのものなので、個人が将来生活の参考にするには問題があり、「手取りベースの所得代替率」を想定するにはさらに十数%のディスカウントが必要だ。
「老後2000万円問題」以降、霞が関方面では使用を避けられる傾向にある言葉らしいが、「自助努力」は重要だ。
●金融機関について
銀行は決済業者と個人の帳尻を決済するだけで、個人の行動に関する情報を持てない。
金融ビジネスの主なプレーヤーは、案外短期間で大きく入れ替わるだろう。
当面は、キャッシュレス決済で誰が覇権を握って、データを保有するようになるのかに注目したい。
金融機関が売ろうとしている「典型的なダメ投信」の商品と売り方の特徴を以下のようなものだ。
(1)まず、「たとえば65歳で3500万円持っていても、資産を普通に取り崩すと、90歳になる前に資産が尽きます……」などと脅す。
(2)次に、「上記のケースで、資産が3%の利回りで運用できると、110歳くらいまで『資産寿命』を延ばすことができます」と誘う。
(3)商品は、「3%程度の利回りを目指す」などと、いかにもこれが良い資産寿命延命策であるかのように装う。
(4)年金が入る偶数月ではなく奇数月に分配する商品が多い。高齢者に「安定的な現金収入のある生活」をイメージさせる。
(5)商品は、販売手数料2%程度、運用管理費用年間1%程度のものが多い。
(6)商品によっては、年間に運用資産額の「4%」「7%」「15%」などと、「資産の取り崩しニーズ」への対応を標榜するものもある。
●保険商品について
貯蓄性の生命保険(外貨建ての終身保険など)のように実質的な手数料が明示されていないものや、自分で調べなければわからないものに関しては、「すべて」ダメだと考えていい。
近年よく売られている外貨建ての生命保険など、すべて検討に値しない商品である。
手数料を知らずに商品を買うのは、控除率を知らずに馬券を買うくらい愚かなことであり、理性のある人間がすることではない。
民間生保の「がん保険」は不要である。
自分が将来がんに罹る確率と、どのくらいの出費が生じるかの推測と、これと保険料の負担の得失を考えると、加入者にとって損である。自身が癌になっても、結論は変わらない。
保険料を毎月払うよりも、預金なり積立投資なりで蓄えたほうが合理的である。
以上