Sydney Yajima


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被害者から加害者へ変わるとき

2011-04-06 10:07:46 | Weblog

日本を愛している人は、多い。
それは日本人に限らず世界中にたくさんいる。
一方、日本を憎んでいる人も 少なくない。
その多くは、アジア、とりわけ東南アジア諸国に多い。
理由は、70年前の忌まわしい記憶であったり、あるいは、日本の経済的な成長に対する嫉妬であったり、取引先としての日本の商習慣への不満であったり、あるいは、買春ツアーなどで多数押しかける日本人の姿を見てきたからであったかもしれないが、日本は、近隣諸国から好かれるようなことを、あまりしてこなかったんだろう。

愛憎こもごも、世界はいろんな意味で日本を見てきていたし、いい意味でも悪い意味でも、日本はいろいろなところで、注目されてきた。

技術力、経済大国、高水準な教育に社会制度(日本の社会制度は、世界でも水準がかなり高いのだということを、日本人はあまり知らない)
一方、問題としては少子高齢化、多くの赤字財政と、絶望的に支持者のいない民主党内閣

とこんなところだった。

そこへ・・・

今回の地震が起こった。

当初、世界は日本にとても同情的だった。
日本を大嫌いな隣の国、韓国でさえ、同情のコメントを出した。
日本は 3月の中ごろまでは、可哀そうな被害者だった。

ところが・・・

東電がその日本のさまざまな外交の、大切な場面を片っ端から 台無しにした。
東電は、すべてが、無責任である。
「多分、関係者が今やっているところだと思います」というようなコメントを イケシャアシャアと出す。
「あなたが、関係者ではなくって、一体 誰が関係者なんですか?」と私は声を荒げて、テレビの画面に向かって言う。
すくなくとも、
こんなに無責任な対応をする人間を、私は、不幸なことに、今までの人生で、日本以外の国で見たことがない。

どれほど国が荒廃していても、リーダーや、その現場の人間は、必死で何かを訴えようとするものだ。
訴えるという気持ちを、抑えて、こうして、淡々と人事のように語れる人種は、世界広しといえども、日本でしかいない。
もちろん、皮肉と怒りをこめて 言っている。

その東電の態度や、体質がすべてにおいて、世界中に公になった。
問題は、その東電の態度や体質が、世界からは日本人の態度であり体質である と誤解されていることである。

この東電が、
弱い放射能を帯びた水を流すと、発表したとき、
つまりその瞬間。
日本は、被害者から、加害者になった。

たとえ、数千倍の濃度の放射能が漏れていたとしても、それが、不可抗力で、なんとか今、命がけで止めています。というのなら、世界は同情こそすれ、決して非難はしない。
それどころか、なんとか救ってやろうとするし、そして、それは実際にわれわれが目にしたものである。
アメリカを悪く言う人が多いが、ともだち作戦を悪く言う人はいない。
どっちか、はっきりしろといわれれば、アメリカに感謝するしかないはずだ。
良しくも、悪しくも アメリカは、頼りになる友人には違いない。

そのアメリカが日本を非難している。
そのキーワードは、インテンションだ。
インテンションは、わざと という意味である。
日本人は、わざと、汚染水を放出した。と報じられると、一斉に世界は反発した。
日本が加害者になった瞬間である。
この瞬間、私は、「日本は終わった」と本気で思った。

世界にすれば、あれほど、手助けをしてやろうと思っていた日本に、「裏切られた」と感じたであろう。
韓国や中国などは、「やはりな。どうせそんな奴らだ」と思ったに違いない。

なぜ?

ぐるぐると私は、頭の中で錯綜する気持ちと、苛立ちと、残念さ、いやむしろ無念さといっていい、・・・に苛まれた。

言っておくが、これまで、どちらかというと、私自身、東電の記者会見は無責任だとは思ってはいたが、それでも同情的だった。
下がっていく株価をみて、この会社を買おうかとさえ思っていたほどである。
しかし、この汚染水を捨てるという報道を見た瞬間、その気持ちは消えてしまった。

誰が、どんな脳みそで決定したことなのか、現場の待ったなしの状況がそれをさせたのか、いずれにせよ、手順というものがあったはずだ。
まずは、状況も説明を十分にしないで、世界中の耳目の集まる中で、いきなり、汚染水を放出します、では、手順どころではなく、それこそ真珠湾攻撃の奇襲のように思われるだろう。

卑怯

と思われるだろうし、わけの分からない犯罪者とも思われるだろう。
そう、東電の発想ややり方は、犯罪者の発想ややり方と同じなのである。

もう、手遅れだ。
日本人が思っているほど、世界は、甘くない。
今回の東電のしでかした失敗は、向こう数十年は 日本嫌い 不信感 それに、不義理の国日本というレッテルとなるだろう。
水を捨てただけだ。
そう思っていたら 大間違いだ。

世界は、日本をこう考えている。
鯨を食べて、汚染水を垂れ流す 野蛮国。
必要以上に儲けている 強欲な国。


今、日本がしなければならないことは、何か?
世界に、どう 日本として発信していかなければならないのか?

考えてほしい
そして、このたくさん読んでくださっている読者の皆さんひとりひとりにも問いたい。


*文末になりますが、このブログを始めてそれほど経たないのに 驚くほど 多くの方々に読んでいただき、感謝しております。
謹んで、お礼を申しあげるとともに、今後とも宜しくお願いいたします。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-04-07 15:19:48
低濃度放射性物質を含む汚染水の放出については、海外だけではなく、全国漁業協同組合連合会会長や茨城県知事等も政府や東電に抗議しています。ただ、現状を考えるとやむを得ないように考えます。残念なのは、政府や東電がろくに説明しないことです。

下記ブログに高濃度汚染水と低濃度汚染水との関係が説明してあります。

含有放射線物質の量が同じとなる汚染水の量は、低濃度汚染水1万トンに対して高濃度汚染水10㍑です。

一方、高濃度汚染水は知らないうちに何日も流出していました。割れ目からの流出はテレビ映像からは数10㍑/秒ぐらいありそうでした。今更、低濃度汚染水をある程度流出させても既に流出してしまった高濃度汚染水の放射線物質の量に比べて微々たる量にしかならないように思います。

ご参考
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2011/04/07/012404.php

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