人間のオスは、たくさんいるが、男は少ない。
6時半の早朝。私は、ドアをノックする音に起こされた。
玄関には、昨日約束した、コンクリーターのダニーが立っていた。
前歯のないダニーは、深い彫りを持つ、オーストラリア人のコンクリーターだ。
コンクリーターとは、コンクリートを専門にしている業者のことだ。
私の家のリビングルームが、手狭になってきたので、20平方メートルほど、広げることにした。
そこで、基礎になるコンクリートを打ってもらうために、彼を呼んだのだ。
確かに、昨日、6時半に約束したが、きっかり来るのには、驚いた。
後で分かることだが、これには理由がある。
コンクリートは常に時間との勝負で、きちんと仕上げるためには、時間にルーズであってはできないのだ。
私は、感心した。
ダニーは54歳になる古いタイプのオーストラリア人だ。
シンプルで、タフで、訛りがきつくて、言葉は乱暴だが、気は優しい。
とてもセンシティブで、自分の人生や家族のことも、包み隠さず話す。
私は、そういう連中が好きだ。
彼は、コンクリートだけを35年間やってきた。
35年間、とてもシンプルで、誰にでも出来そうなことを、黙々とやっていると、不思議なことに底光りする男の何かが生まれてくる。
これは、一言で言い表すことは難しいが、例えば、勉強が出来て、いい大学を出て、弁護士になったとしても、底光りする男のセクシーさは生まれてはこない。
「俺は、この地球を十分にコンクリートで汚した。もし、間違って天国に行ったら、上から見下ろせば俺の汚した跡がたくさん見えるはずだ。だから罪滅ぼしに、俺は植樹をしているんだ。仕事がひとつ終わるたびに、一本。」
この、無学な男の半分ほどの誠意が、今の日本にあるだろうか?
6時半の早朝。私は、ドアをノックする音に起こされた。
玄関には、昨日約束した、コンクリーターのダニーが立っていた。
前歯のないダニーは、深い彫りを持つ、オーストラリア人のコンクリーターだ。
コンクリーターとは、コンクリートを専門にしている業者のことだ。
私の家のリビングルームが、手狭になってきたので、20平方メートルほど、広げることにした。
そこで、基礎になるコンクリートを打ってもらうために、彼を呼んだのだ。
確かに、昨日、6時半に約束したが、きっかり来るのには、驚いた。
後で分かることだが、これには理由がある。
コンクリートは常に時間との勝負で、きちんと仕上げるためには、時間にルーズであってはできないのだ。
私は、感心した。
ダニーは54歳になる古いタイプのオーストラリア人だ。
シンプルで、タフで、訛りがきつくて、言葉は乱暴だが、気は優しい。
とてもセンシティブで、自分の人生や家族のことも、包み隠さず話す。
私は、そういう連中が好きだ。
彼は、コンクリートだけを35年間やってきた。
35年間、とてもシンプルで、誰にでも出来そうなことを、黙々とやっていると、不思議なことに底光りする男の何かが生まれてくる。
これは、一言で言い表すことは難しいが、例えば、勉強が出来て、いい大学を出て、弁護士になったとしても、底光りする男のセクシーさは生まれてはこない。
「俺は、この地球を十分にコンクリートで汚した。もし、間違って天国に行ったら、上から見下ろせば俺の汚した跡がたくさん見えるはずだ。だから罪滅ぼしに、俺は植樹をしているんだ。仕事がひとつ終わるたびに、一本。」
この、無学な男の半分ほどの誠意が、今の日本にあるだろうか?