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ねがうこと、ゆだねること

吉田六郎・雪の結晶撮影

2013-12-02 | 映画
雪の結晶などを研究した故・中谷宇吉郎博士のことを書い
時に、博士と雪の映画制作を行い、雪や結晶の撮影に生
涯を尽くされた吉田六郎さん(1919~95)のことに触れた。

どんな方だったのかとアマゾンで探すと、谷川俊太郎さん
が詩をつけはった絵本『きらきら』が出てるのでゲット。



きれいだね
てんから おちてきた ほしみたい

きれいだね
とっても ちいさい ほんとうは

微笑ましいなぁ。写真を眺めているといつのまにか、
雪の結晶が大きいものにイメージしていることに気づ
かされられるから。



吉田六郎さんは戦争高揚映画を作っていた日本映画社
に入社(1943)。戦後改組させられ、新生・日本映
画社に生まれ変わる。

若かった吉田さんは中谷宇吉郎の北海道大学低温研究
所に派遣されたのが、新しい運命の始まり。霜の結晶
を映像化した『霜の花』の製作に取り組む中で、企画
製作の東宝映画部が争議のため製作不能に。

撮影、製作チームの吉野馨治さん、小口禎三さん、吉
田六郎さんは日本映画社から機材を借用し、自費を出
し合って、零下10度の北大低温研究室にて立てこもり、
ついに完成したそうだ(1948)。すごい情熱。20分もの。



音楽は後にゴジラ映画に携わる伊福部昭さん。 英語版
をオスロ国際学術会議に出品したり、朝日新聞文化賞を
受賞している。たまに上映会が行われているから、観て
みたいなぁ。



中谷宇吉郎博士はこの3人(吉野さん、小口さん、吉
田さん)や岩波書店小林勇さん、共同通信の記者・羽
仁進さんら共にその翌年、中谷研究室プロダクション
を設立したんだね(1949)。

翌(1950)年には岩波映画製作所となる。写真家名取洋
之助さんが参加し、岩波書店の「岩波写真文庫」の制
作を担当していく。このあたりはまたいつか。



吉田六郎さんは科学映画監督として活躍。監督・演出・
撮影を一人でこなし、教育・科学映画史に残る作品を数
多く手がける。低予算のなかで、制作する方法を見いだ
したというか、確立していきはった。

『雪・結晶の観察』(1960東映)で「1光源2色照明法」
も開発。雪の結晶の標準的撮影法として定着しているそう
だけど、特に雪の結晶の中心部にあ る気泡の形の美しさに
ひかれて撮影したそうだ。

撮影は大雪山のふもとのの勇駒別荘に長期滞在し、雪洞の
中で行われた。方法を確立するとか、結晶のためなら寒さ
を厭わないとか、博士の薫陶を感じる。


勇駒別荘で撮影する吉田六郎さん

中谷博士没後も雪の結晶の写真を撮り続け、1000 点を超
える作品を遺している。

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