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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

シナノキの花

2007-07-21 | その他あれこれ
・小学校ではシナノキの花が満開である。シナノキは北海道では養蜂に用いられるんだけど、確かにミツバチやマルハナバチが来ている。ところで以前から気になっていたんだけど、シナノキの花は同じ花序でも開花時期が結構違うようだ。



・花序を2つ採取して調べてみる。1つ目の花序では合計21の花があり、つぼみ:9、開花開始:2、開花盛期(受粉中):1、花終了:2、結実:7、2つ目は合計18の花があり、つぼみ:4、開花盛期(受粉中):1、花終了:6、結実:7である。実際の受粉時期が同じ花序内でどれくらい違うのかは真面目に調べると面白そう。繁殖生態学的な意味があってのことだろうが、気になるところである。



・ところで、普段、林内に落下しているシナノキの果実は、翼がついており、それにくっついている種子は3-4個である。そうすると、20近くもの花がついているのに、種子散布前に落下するのか、果実の中絶が起こるのか・・・気になることばかりである。

実りのブナ

2007-07-20 | 研究ノート
・朝10時に東京駅で高橋誠さんと待ち合わせて,ブナ論文の打ち合わせ。八重洲北口と八重洲中央口にそれぞれ立っていたのだが,携帯電話のおかげですれ違わずに済む。今更ながら,“すれ違い”という言葉が廃れてきている現状に気づく。昔は信じられないぐらい偶然の“すれ違い”で、違うホームに立ったまま相手を待ち続ける、なんて図がドラマでは常套手段だったわけだが,今では使えない手になってしまっている。

・高橋さんがスペインで発表したポスター,現在までの結果のまとめ,論文執筆のアイデアメモを用意していただいたおかげで,それをたたき台にして打ち合わせを行う。若いブナ産地別のデータを一生懸命取っただけのことはあり,開芽フェノロジーは産地緯度では説明できず,葉緑体ハプロタイプの情報を入れると説明できるという理想的な結果となっているようだ。今まで良くわかっていなかったのだが,スペインの結果では、実は緯度でも説明できてしまうので,葉緑体タイプを調べる意義が必ずしも強調できない。

・今まで結果を見ているようでいて,自分がどんな結果を手にしているのか,あまり真剣に考えていなかった。ひたすら議論しながらノートにメモしていくうちに,産地試験で得られる表現型形質の遺伝変異を説明する上で,これまでは産地の地理情報(緯度経度),環境情報(気象因子)などが利用されてきたが,必ずしもうまく説明できていなかった。これに葉緑体ハプロタイプ情報を加えることでよりうまく説明できるようになるか・・・というところが本論文のテーマであると思えてきた。

・ということで,話し合いつつ、いつものごとく論文構想メモを書き出していく。あっちこっちにそれながら、イントロでの大体の大きな論理展開は固まりつつある。問題は解析方法だが,いったん当方の方で試してみることに・・・。おそらく,混合モデル,stepAICは使えそうである。ううむ、フェノロジーのデータって本当はなかなか扱いにくいよねえ。何かいい手はないものか・・・。

・さて、後は関連論文集めが問題である。産地試験の仕事って話は良く聞くけど,ちゃんと論文になっていないのが多いんだろう、と思っていたら、common gardenとchloroplastで探してみると、369もの文献がヒットしてきた。よく調べて、今回の研究で何が新しいのかもう一度確認しておこう。

奄美のマングース

2007-07-19 | 研究ノート
・ホテル・メトロポリタン・エドモンドの朝食は素晴らしい。普段はパン食の当方も一日は必ず日本料理”平川“で頂くことにしている。味噌も普段は九州のものを使っているので,赤だしの味噌汁はここぐらいでしか飲まないが,相変わらずうまい。

・朝9時半から会議出席。色々な話題があるもので,気がつくと2時間が経過している。昼食時に研究打ち合わせをはさんで,再び,午後1時から会議。ほぼ同じ内容を受けているはずなのだが,受け止め方がずいぶん違う。こちらはさらに長時間で4時過ぎまで・・・。どっと疲れた。

・6時過ぎから奄美諸島のマングースの話を拝聴。今流行の外来種問題だが、地上性の様々な在来種への影響を調べている。奄美諸島では最初は30匹がハブを駆除するために放逐されたのだが、ハブなんか大して食べずに(たぶん)、天然記念物のアマミノクロウサギなんかが減少しているってことで大問題になったらしい。しかし、他の在来種への影響は定量的には全く調べられていなかったというわけ。

・マングースの分布域は放逐地点から年数が経過するごとに広がっており、密度も分布の中心から端にかけて勾配がある。これをうまく利用してマングースの密度が低くなるにつれて、在来種が増えるか減るかということを幅広い分類群で検証しているのだが、減るもの、変化しないものがいるだけでなく、かえってマングース密度が高い方が増える種がいる(ゴキブリとか)、というところが面白い。

・そのほか餌資源によって繁殖率が変わりそうとか、色んな面白い結果がちりばめられていた。プレゼンの順番とか、解析の細かいところは結構気になるところはあったけど、地道な研究の積み重ねって、やっぱり人を惹きつけるもんだ。

眠れぬ夜の後

2007-07-18 | その他あれこれ
・昨晩、午前2時過ぎに鼻がむずむずして、突然くしゃみが止まらなくなった。もはや花粉の時期は終わったと思っていたんだが、どうしたことか。こんなときに限って薬が切れている。結局、ほとんど眠れないままに朝を迎える。

・旭川空港は非常にいい天気で、大雪山系の山並みが実に美しい。機内にて、地がき論文の構想をさらに練る。あえてパソコンに打ち込まず、ノートに英文で書き込んでいく。飯島くんと話したように、やはり標高と上層の植生の関係をいかに位置づけるかが一番の課題になりそう。これを解決しないと、タイトルからして決まらないんだけど・・・。

・論文執筆を進める上で、種多様度の取り扱いが問題となりそう。これまでの地がき論文においても種多様度は扱われているんだが、Shannonの多様度がよく使われているようだ。しかし、これは集団遺伝学のヘテロ接合度と一緒で、レアな樹種の影響を受けにくいので、本当にこの指標だけでいいのかどうかを考えるべきだろう。レアな樹種の評価をうまくできるような新しい多様度の指標を考えた方がいいかも(というか、既にあったりするのだろうか・・・)。

・引用文献のうち、核になる文献はほぼ決まりそうである。まずは似たような仕事の中で記載論文としての位置づけを行うことが一つで、後は別の角度からの文献を探すべきである。午後からは肝心の会議。午後2時から6時過ぎまで続く。あまりの長さに途中でへこたれそうになる。昨晩眠れなかったのが厳しい・・・。

美瑛大会

2007-07-16 | その他あれこれ
・連休最終日。バスケット大会参加のために美瑛へ。富田ファームの遠景では、紫と赤が美しい。花畑、麦畑、ジャガイモ畑・・・と”パッチワークの丘”の名に恥じない季節となってきた。

・美瑛大会では、A・Bの2つのリーグ、4チームずつに分かれてのトーナメントを行う。試合会場が近いこともあってか、応援も大勢である。第一試合、Tチームと。最近試合を行っていないこともあり、印象の薄いチームだ。第1、第2Qはもどかしい展開。相変わらず、本試合は足が重そう。3Qからようやく形が出来上がり、41-21で勝利。もうちょっと、点差がつけられたはずだが、スタートダッシュの遅さが課題である。

・第二試合、この地区で最強とされるNチームと。やはり4番にいいようにやられてしまう。途中では完全にやられっぱなし状態となるが、第4Qでようやく盛り返した。最後はなかなかいい形となったが時既に遅し。29-58で敗退。プレッシャーを受けたときのシュートの正確さの違いでしょうなあ。

・結果、美瑛大会としてはAリーグ(強い方!)第二位となった。最後は、”たたきのめされた”にもかかわらず、初めてのトロフィーをもらって子供達はうれしそう。あっという間に立ち直っているのが、いいところでもあり、物足りなくもあり・・・・。バスケット関連では、夏の行事が目白押しで忙しくなりそうだ。

Wurtz and Zasada (2001) Can J For Res考究

2007-07-15 | 研究ノート
・混交林での地がきでは、shelterwoodとclear-cutの比較というのが一つのテーマだったようだ。アラスカで地がきから27年後の更新状況を調べた論文は、今回の地がき論文の一つのたたき台になりそう。White spruceはエゾマツと同様、施業林では天然更新が難しいらしい。アラスカでは、ササではなくMossが更新阻害要因のようだが、エゾマツと同様に、鉱物層を剥き出しにすると更新がよくなるということで地がきが行われている。

・この論文では、27年までの更新密度と成長経過が調べられており、現在執筆中の論文と実によく似ている。違うところは、Wurtz and Zasada (2001)の論文ではshelterwoodとclear-cutの比較という施業方法の検討を行うのが主目的なのに対し、当方の論文では標高と地形の違いが更新に及ぼす影響を調べるのが主目的になっている(として位置づけようとしている)ところである。彼らのイントロでは、White spruceの更新問題からそれを解決するための一手法として地がきが位置づけられている。もちろん、エゾマツをメインにして、同じようなイントロの書き方はあり得るわけだけど、今回はそのようにはしないつもり・・・。

・更新した樹木種としては、トウヒ類(White spruce), カンバ類(paper birch), ポプラ類(balsam poplar, aspen), ヤナギ類(willow spp), ハンノキ類(green alder)となっている。27年後でWhite spruceはha当たり12万本も更新している。これはかなり高密度で、地がき大成功!というところであろうが、地がきした年が例年になく大豊作だったらしく、また初年度の気候条件がマイルドだったということで、幸運が重なっての結果ということを筆者らも述べている。

・更新主要種のspruce以外はパルプ用であろうから、そういう意味では、北海道の方がはるかに建築材になりうる樹木種(主要6種は、エゾマツ、トドマツ、ダケカンバ、ウダイカンバ、イタヤカエデ、ハリギリ)が更新しているといえる。Wurtz and Zasada (2001)はかなり記載的な論文で、データ解析としては、27年後の結果のみ分散分析で地がきの効果、施業方法(shleterwood vs clear-cut)の比較を行っているくらいで、非常にプリミティブな印象を受ける。

・博多の友人から送ってもらった”鉄なべ餃子”を頂く。昔の職場近くにあったのだが、小さめでとても美味しい。昨日もなぜか博多ラーメン(インスタント)を頂いたが、我が家のソールフードとでもいうべきか、いずれも郷愁の味である。

たこ焼き器のある風景

2007-07-14 | その他あれこれ
・虫捕りに出かける。同じミズナラでも、虫がいる木といない木は実にはっきりしている。樹液のよく出ているミズナラには、ミヤマクワガタが鈴なりになっていた。が、スズメバチもふらふらしているので、おそるおそる虫捕り。コクワガタとミヤマクワガタをゲットして、子供は大喜びである。

・我が家では、子供が友達を迎えて”たこ焼きパーティ”を行っている。前回は大失敗したのだが、今回は2度目とあって子供達だけでもかなり上手に焼けている。たこ焼き器は福岡時代に購入したものだが、一向に壊れる様子もなく、時折こうして活躍している。今回は、子供の友達が持ってきてくれたという見事な蛸が入っているが、我が家ではたこ焼きの具は”蛸”とは限らない。チーズ、とうもろこし、えび、ちくわなどをトッピングして入れることもあり、食べ方も明石風、たこ焼きソース+マヨネーズの2種類で食すのが我が家流である。



・幼稚園のバザーに手作りの作品(仕掛けカメラ?)を出すというわけで、その”画像”を妻に依頼される。子供にウケルのは恐竜か虫かと悩んだが、結局、背景も鮮やかな海の中にしました。いざ、描き始めると1時間近く集中してしまった。さてさて、これがバザーに並ぶわけだが、売れるといいねえ。


3人寄れば・・・

2007-07-13 | 研究ノート
・朝から3人でアカエゾマツ針葉測定の共同作業。シュートを年齢ごとに切り分け、葉密度、葉寿命、葉面積などを測定していく。乾燥サンプルもだいぶたまっていたので、一気に重量測定する。やはり3人で作業をすると早い。今回のアカエゾ研究では、不思議なトラブルが色々と発生しており、サンプルの行方不明がたびたび発生している。抜けていた620番と621番のデータを取り終えてようやく山頂の集団が終了。忘れないうちに、アロザイム用のサンプルを北村さんへ送付。冷蔵庫にしまって安心してしまうのが一番怖いんで・・・。

・午後2時過ぎから飯島くんと地がき論文の打ち合わせ。論文の流れ、データ解析、使用する図表などについて、一つ一つ決める。まずは各プロットにおける更新樹木の記載を行い、主成分分析でプロット間の類似性を図示して、元の林相と更新樹木種は単純に対応しないことを述べた後、標高と地形を説明変数として、主要種の更新密度を応答変数として混合モデルにかけよう、ということになった。

・あれこれ議論しながら、大体のコンセンサスを得る。最後にどうやって論文を書くか、ということで、ついに最初からLaTexに挑戦することに決める。さらに、WinShellとMeadowのどちらを使うかという問題もあるんだが、とりあえずMeadowでやってみてどうしても慣れなかったらWinShellにするかということにしておく。



・既に論文の構成メモはできているので、後は英語の文章に起こしていくだけだが、もう少し関連論文を読んでからだな。mixed forestで実施されたscarificationの効果に関する論文をもう少し探す必要がある。

調査地は今日も雨だった

2007-07-12 | フィールドから
・晴れ男、晴れ女という言葉は好きではない。というのも、もともと天気運が良い方ではない。しっかりと調査を計画すると、大体において、天気がおかしくなる方である。が、ここのところ、ずっと晴天が続いていて、雨が欲しいなあというところで、よりによって本日だけが雨というのはどうしたことか。本日は、飯島君を向かえて、アカエゾサンプリング第二弾である。少々の雨ならば、今日中にサンプリングして明日は室内作業だ、ということで現地に向かうも雨は強まるばかりである。

・前山湿地林(下側)でのサンプリング。既に個体が特定されており、サンプリングは楽勝だったはずなのだが、ピンクテープが付けられていなかったことと、ササと下草が想像以上に伸びており、視界が効かないために湿地林の中で迷子状態。頼りのGPSもVentureだと衛星をすぐに見失ってしまう。どうにかこうにか作業終了し、今度こそはサンプリング忘れがないように並べて確認。などとやっていると、既に11時半。麓郷に戻って昼食。

・ずぶぬれの体を暖めたいと思いつつ麓郷につくと、作事場では既にストーブが焚かれていた。早速、有難く、ストーブの恩恵に被る。お陰で、だいぶましな感覚になった。昼食後、再び現地へ。しっかし、ぬれたロディオに足を入れる瞬間は何ともいえない勇気がいるねえ。

・午後からは27林班のサンプリング。雨は降ったりやんだり。こちらは道沿いにピンクテープがつけられており、個体を見つけるのは楽勝なんだけど、あまりにも成長が良すぎて5年生までの枝を採取するのが一苦労。樹高棒にカマをつけた当方の商売道具がフル回転で活躍する。



・ふと路肩に目をやれば、可憐なオレンジのユリが咲いている。と、その横には小さな甲虫が・・・。クワガタだが小さい。スジクワガタか!?サンプリングに忙しい二人を尻目に、そそくさと、またもや専用ボトルへと入れる。なんとかここでの作業も終了し、室内でアロザイム用とクロロフィル分析用のサンプルの切り分け作業。5時過ぎに無事終了。なぜかサンプリングというのは妙な満足感がある。狩猟時代の血が騒ぐのであろうか、”捕ったどー”って感じである。

ビールの素

2007-07-11 | Weblog
・附属高校実習。今年度、早くも4度目の大麓山登山。1000m付近から林道をだらだらと登りながら、あれこれと説明したり・・。附属高校では広島、奈良、北海道の3コースが選べるらしく、修学旅行がないこの学校にとっては、今回の研修旅行はかなり重要なイベントらしい。ゆっくり登ったおかげで今回はあまり息を切らせずに登ることができた。

・山頂では高校生実習そっちのけで、前回取り忘れたアカエゾマツ3個体のサンプリング。こういうときにはGPSが役に立つ。下から眺めたときには雲の中であったが、途中、ちょっと霧が晴れて視界が開けた。富良野市側の眺望もなかなかである。



・バスに戻る途中で、ミヤマハンミョウを発見。早速、捕らえて昆虫採取用専用ガムボトルに入れる。最近、帰宅するたびに子供から”何捕まえた?”というプレッシャーがあるんで・・・。それにしても、実習本番中に一体何をやっているんだか・・・。

・前山保存林で散策した後、水無し沢から高校生の森へ行き記念撮影。途中、だいぶシラカバなどが曲がって道をふさぐような状態になっていた。今年はこういう木が多いように思える。

・ポンタ前から二の山方面を振り返ると、ビール麦が風になびいている。皆さんの元気の素がここですくすくと育ってますよ、ということで撮影。ビール麦は穂が長く、これが風に揺られているのを見るのはちょっと気持ちいいのである。