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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

実りのブナ

2007-07-20 | 研究ノート
・朝10時に東京駅で高橋誠さんと待ち合わせて,ブナ論文の打ち合わせ。八重洲北口と八重洲中央口にそれぞれ立っていたのだが,携帯電話のおかげですれ違わずに済む。今更ながら,“すれ違い”という言葉が廃れてきている現状に気づく。昔は信じられないぐらい偶然の“すれ違い”で、違うホームに立ったまま相手を待ち続ける、なんて図がドラマでは常套手段だったわけだが,今では使えない手になってしまっている。

・高橋さんがスペインで発表したポスター,現在までの結果のまとめ,論文執筆のアイデアメモを用意していただいたおかげで,それをたたき台にして打ち合わせを行う。若いブナ産地別のデータを一生懸命取っただけのことはあり,開芽フェノロジーは産地緯度では説明できず,葉緑体ハプロタイプの情報を入れると説明できるという理想的な結果となっているようだ。今まで良くわかっていなかったのだが,スペインの結果では、実は緯度でも説明できてしまうので,葉緑体タイプを調べる意義が必ずしも強調できない。

・今まで結果を見ているようでいて,自分がどんな結果を手にしているのか,あまり真剣に考えていなかった。ひたすら議論しながらノートにメモしていくうちに,産地試験で得られる表現型形質の遺伝変異を説明する上で,これまでは産地の地理情報(緯度経度),環境情報(気象因子)などが利用されてきたが,必ずしもうまく説明できていなかった。これに葉緑体ハプロタイプ情報を加えることでよりうまく説明できるようになるか・・・というところが本論文のテーマであると思えてきた。

・ということで,話し合いつつ、いつものごとく論文構想メモを書き出していく。あっちこっちにそれながら、イントロでの大体の大きな論理展開は固まりつつある。問題は解析方法だが,いったん当方の方で試してみることに・・・。おそらく,混合モデル,stepAICは使えそうである。ううむ、フェノロジーのデータって本当はなかなか扱いにくいよねえ。何かいい手はないものか・・・。

・さて、後は関連論文集めが問題である。産地試験の仕事って話は良く聞くけど,ちゃんと論文になっていないのが多いんだろう、と思っていたら、common gardenとchloroplastで探してみると、369もの文献がヒットしてきた。よく調べて、今回の研究で何が新しいのかもう一度確認しておこう。