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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

石の山

2007-07-10 | フィールドから
・麓郷地域における地拵え方法の検討会。石がごろごろしていて通常の地拵えができないような場所でいかに植え込みを行うか、というのが今回のメインテーマ。なんと、林長を忘れてきたことに気がつき、慌ててUターン。今回のゲートは、北の国からの観光施設の一つ”吾郎の石の家”を抜けたところ。さすがに、”北の国から”ブームもだいぶ薄れたと見えて、観光客もまばらである。

・さて、問題の箇所だが、なるほど林道からして石がごろごろしていて、手ごわそうな感じである。実際、この林道を整備するのは相当厳しかったそうである。現在でも、ジープでぎりぎり通ることができるかどうか、といった感じ。途中、いかにもやばそうな”ぬかるみ”箇所があり、当方が運転していたならば確実にはまっていた・・・。

・今回は、このような石がごろごろして通常の地拵えができないような地域において、特殊な地拵え方法を検討するための試験を行おうとしている。最初はイメージがなかなか湧かなかったが、議論を進めるうちに、地拵えを行う重機としては、”ブラッシュカッター”と”ユンボ”の2つを用いて比較を行おうという方針が固まる。その後の処理と調査としては、アカエゾマツを植栽し、下刈りをして、何年か後に植栽木の生残と成長、ササの回復度、天然更新木の侵入度を調べようということになる。

・林内に入ると案外と土壌があるようにも思える。実際、それなりにササは厚く、少なくとも20cmくらいは土壌が蓄積している。しかし、掘ってみるとガツっと石の層に達する。現場スタッフの言葉通り、たしかに、樹木の根はほとんど下に伸びることができず、根倒れした樹木の根も極めて浅い。



・当方としては、最終的に論文としてまとめるときのデータの統計解析がまず浮かんできて、つい無理難題を言ってしまうわけだが、事業的に展開できることには限界がある。というわけで、そうしたバランスをとりながら試験方法を具体的に決める、ところがこういった応用研究の難しさでもあり、醍醐味であるともいえるのかもしれない。最終的には、各試験区は40m×15m(14m?)、途中に残し幅を入れながら、2箇所×2処理×2反復で行うというデザインにしようか、ということにまとまった。

・こうした事業的な試験では、設定から早い時期に予報的な報告をしておく必要がある。特に、伐採木の量、周囲の森林の林相などは、データがフレッシュなうちに500部以上の印刷物にしておくと確実である。北海道の林木育種とか北方林業とかに載せておくといいんだが、計画から実行まではタイムラグがあるので忘れないようにしなくては・・・。

エゾマツ関連原稿

2007-07-09 | 研究ノート
・午前中、締め切り間近の原稿執筆。一つは北海道の林木育種で記念討論会でしゃべった内容、もう一つは北方林業でエゾマツ研究会に参加した感想である。いずれもエゾマツ資源保続がらみである。北海道の林木育種は明日が締め切りなので、メールにて送信。終了。北方林業では、道立林産試験場の佐藤真由美科長に連絡をとり、佐藤科長がエゾマツ研究会の講演で述べていた未発表データを使わせていただけることになった。

・その後も書類書きが続く。午後からは所内会議がえんえんと続き、そのまま終了。その後、小学校に行き、バスケット関連の業務をこなす。7月16日の大会の詳細がまだ届いていないことに気がつき、関係各所に問い合わせなど。バスケット関連備品(モルテン)のカタログを入手し、眺めていると、意味もなくバスケットの作戦ボードなどが欲しくなる。こういうの、好きなんだよなあ・・・。うん?今日は一体何をしたんだっけ!?

ファミリーダブルス

2007-07-08 | その他あれこれ
・最近、実にいい天気が続いている。もしかすると、富良野では一番この時期が暑く感じるのかもしれない。暑いから・・・などといっていると、いつまで経っても運動できないので、思い切ってスポーツセンターでテニス。下の子は参加できずに覚えたての自転車でうろうろとしてる。

・テニスコートって、照り返しが厳しいんだよね。5分くらいですっかり蒸しあがる感じ・・・。それでもポーンポーンとラリーをしているとそれなりに爽快である。下の子がラケットを握れるようになって、4人でダブルスができるようになるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

・子供と生協まで自転車で出かける。長い距離を自転車で併走できる日がこんなに早くくるとは思わなかった。自転車だと風のにおいとか温度とか、車では体感できない”夏”が感じられてよい。いよいよ富良野はラベンダーの季節となり、街角のあちらこちらでラベンダーの花にミツバチが群れている。

非常口Tシャツ

2007-07-07 | その他あれこれ
・ふらのブドウ果汁祭りにでかける。10時から始まったのだが、11時ごろには食べるものもずいぶんとなくなって、ソフトクリームは40分待ちだとか・・・。幼稚園とか、職場の同僚とか、知り合いがやたらと多い。

・フリーマーケットスペースに異質なお店があるので、ふらふらと立ち寄る。富良野でハンドメードで布製品を作成している福田昌彦さんのお店”一針”。価格は高めで品数は少ないのだが、こだわりがある製品とデザインのよさに一目ぼれしてしまう。思わず、緑色の”非常口Tシャツ”を購入してしまった。ちなみに、コレ、着心地はすこぶるよろしい・・・。



・聞けば、当方が本日初めての客だったらしい。この価格だとなかなかこうしたフリマ的なお店では難しいのかもしれないが、ネットでも購入できるし、8月には北時計で個展も開かれるらしい。本人は淡々とした語り口だったが、なんだか応援したくなってしまった。実は、布製のポーチはかなり気になっている。そのうち調査につれていくかも・・・。



ドック

2007-07-06 | その他あれこれ
・本日、人間ドックで新しくなった協会病院へ行く。子供の自転車を借りて行ったのだが、久しぶりに長い(長くないか・・・)距離を走った。坂道を下る爽快感を思い出した。新しくなった病院では、白を基調とした雰囲気でずいぶんと印象が違う。検診センターは2階で、例によって検診用の服に着替える。

・昨年、なぜか引っ掛かった眼底検査は新しい機器が導入されていたが、看護士さんも慣れていないために、機器から何度も駄目だしをされていた。人間の方が使われているみたい・・・と本人も笑っていた。その後、淡々と検査は進み、問題の胃カメラ。最近の胃カメラはずいぶん管が細くなり、バリウム(あんなにたくさんの量を飲むのは厳しいっ!)よりははるかに楽である。麻酔は良く効く方なのだが、なぜか今回は少々痛かった。しかし、点滴をしてもらっていたので、検査後に仮眠してだいぶまともになる。

・所見では、眼底検査の昨年の引っ掛かりは問題なかったようで一安心(よかった!)。今回、新たに出てきたのは花粉症の影響で、喘息気味になりやすい体質になっている、とのことであった。実はそういう結果になるんじゃないかという予感はしていた。いよいよもって、花粉時期の調査はやらない研究へとシフトしないと本当に身が持たない・・・(花粉流動の研究とか、してる場合じゃない!?)。また、コレステロールが昨年同様に高めのようで、注意が必要である。

・3年前くらいの冬に、急にやせて自分でも不安になった時期があったが、どうやらこれは体質が変わっただけで特に問題はないようだ。3年前の70kgに到達するかという時代を知っている人に突然会うと、「大丈夫?どっか悪いんじゃない?」と必ずのように言われるんだけど、お腹ではなくて頬がこけるタイプだからなあ・・・。まあそれはともかく、運動不足は深刻である。見てるばっかりじゃなくて、そろそろ本気で何か考えないと・・・!

北のブナと南のブナ

2007-07-04 | 研究ノート
・ブナ産地別試験地に植栽された個体の葉面積測定を行う。昨年は、古い方の試験地を行ったので、今回は新しい梶先生収集分である。200個体以上あるので、10枚の葉を集めて写真撮影するだけでも大変。樹木園スタッフ全員出動してもらって、前半は葉採取をしばらく進め、その後、葉採取チームと室内葉貼り付けチームに分かれる。B4用紙にスケールをコピーしたものを用意しておき、そこにブナの葉をメンディングテープで貼り付ける。昨年と同様、今年もメンディングテープが足りなくなって、調達の旅にでかける(学習してない・・・)。

・しばらく作業を続けると、葉を貼り付ける、コピーを取る、写真を撮る、新聞紙にくるんで保管する、といった一連の作業が流れるようになる。淡々とそして、黙々と作業は進んだ・・・と言いたいところだが、メンバーがメンバーだけに、淡々と、だが”にぎやかに”作業が進んだ。葉採取チームが戻ってきて、テープカットをやってくれると、一気にスピードアップして、コピー担当の当方がむしろ追い立てられるぐらいになる。



・古い産地試験についても、共同研究者の高橋さんの意見で各産地2個体ずつ、ランダムに選んで測定を行う。相変わらず、北海道産や東北産の葉はかなり大きい。ちなみにスケールは2×2cmである。



・それに比べると、九州のは小さくて、同じ樹種とは思えないくらいだ。この関係が毎年変わらないことは確認済みだが、同じ個体での年度比較は重要であろう。本日は、3分の2くらいが終了。皆さんお疲れ様でした。

地がき論文、着手

2007-07-03 | 研究ノート
・執筆中のトドマツ論文とアカエゾマツ論文が”待ち”の状態になっているので、思い切って新たな論文執筆に着手。26年前に事業的規模で設定された天然更新試験地を2005年に調査した結果を論文にしようという試み。「どこに出しても恥ずかしくない試験地」だと思っているのだが、いざ論文となると学術的な新規性が重要視される。改めて考えるには、先行研究のレビューが必要だということで、北海道大学の吉田さん達グループの仕事を改めて読み直す。”地がき”だけでなく、施業と更新、ササと更新など、緻密に計画されていてそつがないね(当方とは大違いだ・・・)。

・梅木さんのレビュー(日林誌)によれば、北海道では、地がきをすると一般にはダケカンバが優占し、種多様性が著しく低くなる、と結論できるようだ。一方、最近の傾向として多様な森林づくりというのが世界的にも重要視されている。ということになると、北海道で地がきする際に、多様な木本種(施業的に見れば高木種)をいかに更新させるかが、一つの命題になっているとみていいだろう。

・今回の試験地では、主に標高と地形という2つの要因で、木本種の更新密度、サイズ分布といった結果が得られている。標高によって更新樹種が変化することは予測されるが、これまでは個別の研究が多くて、地域の影響なのか、標高の影響なのか分離できなかった。その点、本研究では、同じ山岳地帯で標高差があるために、標高の影響を抽出できる。また、樹木種が地形によって更新の良否が異なることは良く知られているが、地がきを行う際に人為的に設定された地形に対する応答反応を調べた例は少ない。こういった点が本研究の”売り”といえるかもしれない。地がきから20年以上が経過していることもアピールできる項目の一つだろうが、地がき当初の上層植生の正確な種組成がないのがマイナス点だろう。

・この分野は、焼松峠の論文をようやくPublishさせたものの、森林遺伝関係に比べると圧倒的に関連論文の読破量が少ない。世界的な位置づけを行うためには、もっと論文を読まなくちゃいけないのだが、なぜかこの分野の論文は妙に長い(14ページとかざらである)。早いところ、”これは!”といういい文献を見つけないといかんな。

GPSmap60CSxの使い心地

2007-07-02 | 研究ノート
・アカエゾマツ針葉の形態測定の続き。小型の乾燥機器とドライチャンバーを、封筒、剪定ばさみ(岡垣、芽きり用)、スライド用のライト台など必要なものを購入し、ようやくルーチンワークになりつつある。高橋さんにかかる時間を記録して頂いたところ、一連の処理(葉寿命、葉密度、葉面積、葉形態測定)を終えるのに1個体当たり1時間20分ほどかかるとのこと。集団によって”やりやすさ”は変動しそうだけど、1時間を切るのは難しく、1日で5個体が精一杯というところだろうか・・・。

・保坂くんのトドマツ更新動態の論文の審査結果が返ってくる。結果は”大幅修正で掲載可能”だが、内容的には”マイナー修正”といってもいいくらいだろう。いきなり「リジェクト」の可能性もゼロではなかったので、ひとまず一安心。というよりも、指摘事項の一つ一つが的確で、答えていけば論文が改善できそうである。

・新しいガーミン社のGPSからデータをパソコンへと座標データをコンバートするのに妙にてこずってしまう。当方が最初にGPSをパソコンにつないだときに適切な処置をしなかったためらしい。皆さんの手を煩わせて、ようやくデータの転送ができた。ところで、このGPSは価格もお手ごろで、森林内でも全くシグナルが途切れることなく、非常に使いやすい。昔から考えると、安くていい機種が多くなってきたよねえ。