goo blog サービス終了のお知らせ 

goto_note

西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

ブドウの原産地(Arroyo-Garcia et al. 2006 Mol Ecol)読解

2006-09-18 | 研究ノート
・気になっていた品種の起源探しの論文,Arroyo-Garcia et al. (2006) Multiple origins of cultivated grapevine (Vitis vinifera L. ssp. sativa ) based on chloroplast DNA polymorphisms. Mol Ecol (Online)に目を通す.この論文では30を超える共著者が列挙されており,所属もかなり横断的である(さすがは,EU).ブドウの栽培種sativaは,野生種sylvestrisから栽培化されたとのことだが,元来,野生種では雌雄異株だったのだが,両性のものを栽培種として選抜したようだ.栽培の歴史は古く,論文には起源前4000年とか3000年という言葉が出てくる.ブドウは,木本の栽培品種の中で最も遺伝研究が進んでいる種の一つだと思われる.論文数も開発されたマーカー数も非常に多い.

・さて,この論文の主題は,ユーラシア大陸のブドウ品種の起源探しを葉緑体SSRで行うというものだ.もともと,大陸のブドウは,非常に限定された地域から広がったという単一起源説が一般的だったのだが,近東と地中海沿岸西部の品種では形態的に分化していることから,最近では複数起源説が提唱されているらしい.今回は,これを分子マーカーで検証しようというもの.

・材料として,ヨーロッパから近東までの8地域(イベリア半島,中央ヨーロッパ,イタリア半島,北アフリカ,バルカン半島,東ヨーロッパ,近東,中東)から野生種688サンプル,栽培種513サンプルの合計1201サンプル(!)を供試している.サンプル数の多さにも目を奪われるが,ここで注目すべきは,栽培種は移動がありうるので地域を限定するのが難しいというわけで,古くから栽培地域が1地域に限定できるもの品種のみに絞り,さらに核SSRで栽培品種のダブりをチェックしている,といった工夫がなされていることだ.葉緑体はタバコやシロイヌナズナで公表された葉緑体マイクロサテライト54遺伝子座からスクリーニングし,9の遺伝子座で解析している.

・葉緑体ハプロタイプは8つに分類され,Fig.1にはハプロタイプネットワークなどが描かれている.しかし,中心的に解析されているのは,地域ごとのハプロタイプ頻度である(Fig.2).まず,原産種を地域ごとにみると,ハプロタイプAはイベリア半島や中央ヨーロッパでは優占するが中東や近東にはなく,逆にハプロタイプC,D,Gはイベリア半島や中央ヨーロッパには非常に少ない.また,E, F,Hは近東のみに存在している.このようにヨーロッパ西部と近東,中東では明確な分離が認められ,また,近東,中東の多様性が高かった.また,原産種と栽培種を比較すると,栽培種は原産種よりも遺伝的多様性が高く,集団間の分化度が高い(原産種0.169 vs 栽培種0.353).

・これらの結果から,単一起源説ではなく,複数起源説が妥当であると考察され,系統樹解析の結果(Fig.3)からもブドウは,大陸東部とヨーロッパ西部で独立して栽培化されたことが示された.興味深いことに,複数起源説はオリーブ(Besnard et al. (2001)Theor Appl Genet)でも似たような結果が示されており,木本種の栽培化ではこのような複数起源は一般的な現象であるらしい(Armelagos & Harper 2005 Evolutionary Anthropology).

・というわけで,方法も結果も至極シンプルな論文であった.しかし,お馴染みのブドウの話だけに,「原産地がどこ」という記載だけでも楽しめるのはちょっと羨ましい.さらに,仮説がしっかりしているので,面白さを後押ししている感じがする.母性遺伝する葉緑体DNAの場合,(移動距離の大きな花粉では伝わらず)種子散布か挿し木(すなわち,種苗)でしか移動しないために,歴史的な移動を検証するには適しているといえそうだ.ちなみに,核SSRで遺伝解析をしたところ,栽培品種の方が遺伝的多様性が高かったが,野生種の集団間分化は低く,クリアな結果は見られなかったようだ(Ardhya et al. 2003 Genet Res).とにかく,歴史的な移動と原産地の関係については,執筆中の論文でも引用できるところがありそうだ.そして,Armelragos & Harper (2005)の総説はとても便利そうなので,早速チェックしてみるつもりである(しっかし,雑誌はマイナーだな・・・).

いまさら24

2006-09-17 | その他あれこれ
・F小の学芸会.座布団など持ち込み鑑賞.高学年ともなると,凝った内容で,笛や太鼓や歌の組合せだったり,TV番組のパロディなど.恥ずかしがっている子もいるが,さすがに主役を張る子はなかなかどうして大人顔負けである.

・ところで,今更ながら,ホームドラマ”24”にはまる.解説するまでもないが,24時間という短い時間の中で,テロ対策ユニットなる部署に所属する主人公が,同時進行していく様々な事件にどんどん巻き込まれてしまう,というアレである.”はねとび”のパロディでは見たことがあったが,本物は初めてだ.

・実は既にシリーズ5まででているのだが,まずはオリジナル版を借りてきた.1回分が1時間という設定となっており,少しずつ時間が経過していくのだが,ドキドキ感は加速していく感じで全然飽きない.ようやく12:00から4:00まで経過したが,これからどうなることやら・・・.秋の夜長に楽しむか.

ツール・ド・北海道

2006-09-16 | その他あれこれ
・ルート38号には警官があちこちに配置され、何やらものものしい雰囲気。というのも、今年は、ツール・ド・フランスならぬ、ツール・ド・北海道がここ富良野を通過するからである。十勝岳を越えて富良野を通り、三笠でゴールとなるらしい。


・沿道には地域住民が集まり、応援のための旗が配られる。気がつくと、近くの保育園の生徒たちにすっかり囲まれ、何やら話しかけられてしまう。20分遅れということで、しばらくスポーツ店にてウインドウショッピング。感謝祭とのことで、色んなものが安くなっておりました。

・何やら慌しい気配、と思ったら、あっという間に先頭集団が通過。応援する時間もないくらいのスピード。初めて間近で競技を見たが、これほどの迫力とは・・・。だいぶ時間が空いて、次の集団、さらに次の集団。ずいぶん差がつくものだが、先頭から20分以上離れると失格になってしまうそうだ。大変。


・よく見ていると、集団が通り過ぎるたびに、一連のスポーツカー集団が通りすぎる。どうやら、チームごとに追走しているらしく、車の横にはチーム名が書いてある。日本だけでなく、ドイツなどヨーロッパがあるかと思えば、イランなどもあり応援に対して手を振り返してくれる(彼らはむろん余裕があるわけだ)、実に国際豊かな瞬間である。

二項分布な一日

2006-09-15 | 研究ノート
・快晴.芦別岳がくっきり見える.とてもすがすがしい一日なのだが,そういうときに限って室内作業である.先日からの焼松峠論文は結果まで修正終わり.それこそ,ようやく峠を越したか・・・.

・論文チェック依頼が2件.充実率,発芽率,発病率,生存率といずれも二項分布のデータがずらり.サイズとの関係を見たり,スタンド間の比較をしたり,と全てRのglmのbinomial, logitで片付けてしまう.それにしても,あまり分かっていない当方がこんな相談に乗っていていいんだろうか・・・と今更ながら不安にもなる.しかし,結果自体はリーズナブルなので,たぶん合っているのであろう(と自分に言い聞かせる).とにかく,立て続けに試しているうちに,glmの命令文をすっかり覚えてしまう.

・問題は,この結果をR初心者(そういうこちらも初心者だけど)の2人にどう伝えるかだ,と思っているうちに,命令も結果もそのままコピーしてメール本文に貼り付けて,後から解説をちょこちょこ加えるという荒技を思いつく.とても長いメールだが,添付ファイルじゃないのでスイスイ送ることができる.先方でも,そのままRにコピーして動かすことができたようで,なかなか悪くない.

・午後から,もう一つの書きかけ論文の修正に取り組む.久しぶりの育種ネタで,品種の血縁関係や起源をマイクロサテライトで推定しようというもの.考察では,品種の起源探しや枝変わりの話なども登場し,なかなか楽しい(と勝手に思っている)論文である.既に第一弾(この第一弾の前に様々な伏線があるわけですが・・・)に対する共著者からのコメントを頂いており,それをもとに修正作業.

・まず「イントロが長すぎ」とのことだが,久しぶりに眺めてみると,たしかに無用な文章があちこちに見られて本当に長い.読む人は大変だっただろうな,と反省.そういえば,久しぶりの育種ネタが嬉しかったか,盛り上がった状態のままイントロを書いたらしき記憶が・・・.不必要に長い引用も削ると,2ページ以内にちゃんと納まる.

・考察についても,「引用と結果がぐちゃぐちゃになっていて分かりにくい」との指摘を頂いたパラグラフを見てみる.引用文献の内容を細かく書くのはいいんだけど,たしかに結果との関係が見えにくく,そしてやはり無用に長い.引用文献もエッセンスを抽出し,変な部分はごっそり削る.それにしても,論文は寝かせておくと,粗が見えてきますなあ.的確なコメントに感謝しつつ,プリントアウトして赤ペン作業へと進む.

光合成のエキスパート

2006-09-15 | 研究ノート
・PDのDさん(出身はカナダ)とともに,北海道大学のKさんの研究室を訪ねる.Dさんは針葉樹の光合成測定を始めているのだが,富良野にはこの分野のエキスパートがいないので,研究手法,使用機器,方向性などに関してアドバイスを頂こうというわけである.電車の中でラーメンの話で盛り上がり,なぜか旭川のラーメン屋をカナダ人に勧められてしまうという不思議なことに・・・.しょうゆラーメンが好きらしいが,とんこつはインスタントしか経験がないとのこと.「それはいかん!」というわけで,半ば強引に札幌駅のヨドバシカメラ横の博多ラーメン屋「ばりきや」に連れて行く.

・席に着く前にチケットを購入すること,「麺の固さはどうしますか?」と言われたら「Katamede(固めで)」と答えることや,[Kaedama(替え玉)」のルールなど,細かい流儀をレクチャーする.本当は新規開拓をせねばならんところだが,札幌におけるラーメンはいつもこの「ばりきや」である.

・本日は,どちらかというと引率がメインのお仕事,のはずなのだが,北大の構内は広大かつ迷路のようでいきなり迷い,早速,最大のお仕事をしくじってしまうことに・・・.なぜか,理学部の教務課の手を煩わせつつ,どうにかこうにか研究室にたどり着く.

・Kさんは,エネルギッシュかつハートフルな研究者であった.用意しておいた質問に対して膨大な引用文献を紹介してくれ,どんどん別刷りやコピーを渡してくれるので,最後にはずっしりとした重量になる.それにしても,たくさんの論文を書いている人だと改めて感心.さらには,ロガー関連の業者さんまで紹介してくれ,至れり尽くせりである.

・エネルギッシュなトークに圧倒されつつ,いくつか重要なアドバイスを頂く.また,こちらで検討中になっていた課題について,それは研究としては既にもう終わっているとか,大事だが時間がかかりすぎるので現実的ではないなど,びしっと指導もしていただく.こういう意見は当方が全くの門外漢だけになかなかできなかったものであり,非常にありがたい.

・頂いた情報を整理しつつ,やはりそこは忘れずに「ダンマルク」には寄って帰る.ステラプレイスのエスカレータを降りれば,そこがダンマルクであることを確認.コーンブレッド,胚芽パン,ミニメロンパン,ガーリックフランスなどを購入でき,大いに満足.

焼松峠論文,改訂作業.”削りの匠”

2006-09-13 | 研究ノート
・久しぶりの室内作業.厳しい査定付きで返却された原稿が手元にあると,どうも気分がよろしくない.ということで,間髪入れずに改訂作業にかかる.そうこうしているうちに,共著者Tさんからメールが来たので,当然,この論文改訂に関する話題だと思ったら,全く関係ない話.非常に久しぶりだったので,すごい偶然である.よくよく確認すると,こちらからの査定結果の転送メールが到着していなかったとのこと.いよいよ最近はスパムメールが多くなり,間違って捨ててしまうこともあるようで(こちらも二度ほどやってしまいました・・・).やはり,Gメールの導入は真剣に考えたほうがいいかもしれぬ.

・さて,どこから手をつけたものか・・・.まずは,タイトルだ.ということで,「・・・木本種実生の発生」という植生チックな漠然としたものから,「ウダイカンバ資源保続に向けた地はぎ処理の試み」などという,思いっきり林学チックなものに変更してみる.すると,イントロも当然大改訂が必要となり,「なぜウダイカンバの資源保続が求められているか」,といった経営的センスの文章を散りばめる.


・ウダイカンバ材の経済価値については,関係者にはそれこそ説明の必要もないくらいなんだが,こういうものがきちんと記載されている論文を探すのは結構難しそう.当方がこうした経営感覚を得ているのは,実際にはスタッフとの”雑談”が大半なのかもしれん.しかし,まさか論文を「私信」だらけにするわけにもいくまい.

・イントロ改訂続く.審査者の指摘から,A層やAo層を残す処理,平坦と斜面の地形を改変する処理,が既存研究とは違って”新しい”という評価を受けたので,それらが浮かび上がるように,そういう手法が必要となってきた背景を述べてみる.これまた関連論文がいかにもなさそうで・・・.

・短報にするってからには,だいぶコンパクトにせねばいかんというわけで,惜しげもなくあちこちを削っていく.特に,考察はオーバー気味(いつものことだけど・・・)だという評価なので,推論めいたパラグラフはごっそり消滅.引用文献もスペース食いなので,大勢に影響なさそうなものは,これまたさくさく削る.たたいて壊してまた作る.ということで,これぞ「リストラ」という感じ.

・こういうときには途中で止めるとおかしくなってしまうので,とにかく一気に片をつけるべく,狂ったようにキーボードをたたく.結果も図を一つ削除し,表中の数値を単位面積あたりに変更したりする.結局,ダブルスペースで図表も含めて26ページだったものが,21ページまで短縮された.これでもまだ甘いが,明日の出張帰りの電車の中でタイトに絞ることにして印刷ボタン.次は,赤ペンの出番である.

サンプリング雑感

2006-09-12 | フィールドから
・前日に引き続き,K村さんたちとアカエゾマツのサンプリング.午前中に,山火事後に再生した広葉樹二次林に行く.このあたりは,1914年ごろの山火事ではないかと思われるが,はっきりした年代は不明である.山火事後の林とはいえ,ミズナラの巨木などもあり,山火事の強度はあまり大きくなく,焼け方も不均一だったのではないかと想像される.


・ここ富良野では珍しいのだが,ここではアカエゾマツとミズナラが見事に混交している(ちょっと母子里の森林を彷彿させる).全体にササは薄く,ミズナラを初めとした広葉樹,トドマツなどがびっしりと更新しており,よく見るとアカエゾマツも胸高直径5cm程度の個体も目に付く.ここのサンプリングは2時間程度でさくさく終わり,午前中のうちにもう一つの湿地林でサンプリング.午後からは,さらに標高1000m~1100mの高山帯にてサンプリングを行う.景観もめまぐるしく変わるが,林床の様子も当然ながら大きく変貌する.

・アカエゾマツが湿地,高山帯,火山堆積物跡,山火事後,泥流跡,砂礫地など,様々な場所(しかも,変なところ)に分布していることはよく知られている.しかし,1日のうちに,こうして様々なタイプの森林を一挙に見るチャンスはあまりない.しかも,サンプリングでは,木のすぐ近くまで行かなければならないので,必然的に,湿地のずぶずぶ感とか,根曲がり竹の圧迫感(ものすごく人を寄せ付けない感じ・・・),とかを肌で(というよりも足の裏で)実感してしまうこととなる.こういう感覚は,論文を書くときにも大事だなと思ったりするのだが,そんなことよりも,こんなところに生えているアカエゾマツはやっぱりえらい,と感心するのであった.

実りの秋,収穫の秋

2006-09-11 | フィールドから
・富良野では玉ねぎの収穫が本格化.実りの秋である.森林総研のK村さんを迎え,標高630m付近の湿地林にてアカエゾマツの種子採取.研究用には1母樹につき5球果もあれば十分だが,どうせ登るならば事業用種子も採取しようという算段で,大勢のスタッフとともにガヤガヤと現地に向かう.この湿地林は,ほぼアカエゾマツの純林といってよいのだが,何とも原生的な雰囲気を醸し出している.


・5人の登り手はそれぞれ球果の多そうな木に取り付き,気がつくと既にはるか上空である.ラベル付けや胸高直径の測定などはゲスト2人にお任せし,こちらは連絡係と称してふらふら動く.が,あまり役に立っていないようで・・・.球果が届けられるまでの時間,この湿地林がどうやってできたのかなど,太古に思いを馳せる.



・お昼前になると,ぞくぞくと球果が集まってくる.母樹ごとにみると,赤っぽいもの,緑っぽいもの,大きいもの,小さいものと様々な“変異”がある.それにしても,種子採りというのはどうしてこう,人をハイな気分にさせるのだろう.ずっしりとした種子を肩に担いで上がってくるときの気分は,まさに「獲ったどー」という感じ(自分では登ってないけど・・・).最終的に取れた球果は生重量で約70kg.ヤニを軽く落として,オリに入れて天日乾燥の準備.きれいに並んだ球果は美しく,実に壮観である.






Friar et al (2000) MolEcol批評

2006-09-10 | 研究ノート
・朝飯前の論文読み.Hufford and Mazer 2003で気になったハワイの固有植物,silverswordの緑化に関するものである.Hufford and Mazer 2003の総説では,緑化に用いる時の母樹数が少ないと,将来的に近交弱勢が問題になろう・・・という文脈で使われていた.その総説によれば,ハワイ島で緑化された導入集団は,2か3の創始者(母樹)だった,と読んだのだが,原著を読んで確認.

・イントロの中で,ハワイ島マウナケア火山のSilversowrdは,50個体を下回るくらいに個体数が減少し,(緑化目的の)導入に際しても深刻なボトルネックを受けた,とある.1973年の導入プログラムは,3個体から種子を採種したが,1個体は上手く苗が作れず,結局,なんとたった2個体が創始者になっているとある.この植物は多年生草本なのだが,虫媒で自家不和合性を示すらしく,1個体が結実しなかったのは,ポリネータが飛んで来れないほど孤立していたからかもしれない,などと.

・ところで,Hufford and Mazerの総説を読んだときには,導入集団の遺伝解析を雄行い,例えばStructureのような統計手法を用いて(よく考えたら,2000年ではまだ世に出ていないね)創始者数の推定を行った,というような内容なのかと想像したのだが,最初から創始者数が完全に分かっていたのであった.やはり,原著を読まないと,とんでもない誤解をしてしまうことがあるもんだ.

・さてさて,この論文ではマウイ島のHaleakale火山に自生する亜種(こちらはたくさん個体があるらしい),ハワイ島マウナケア火山の自生集団(極端に個体数が減少している)と導入集団の3集団(母樹2個体の子供たち)を対象に,マイクロサテライトマーカーを用いて遺伝的多様性を調べている.既に,RAPDマーカーでの報告があるので,追認している感じである.マテメソの材料で,個体数などが記載されておらず,以前の論文を読め,などとなっていて,どうにも分かりにくい.

・マイクロサテライトは8座を使っているのだが,アレル数は2-5と多型性は低い.さらに結果はAo, Ae, He, Hoくらいしか記載されておらず,Heで見るとマウイ島の亜種(大きな個体群サイズ)が0.287,ハワイ島の自生集団が0.250,導入集団が0.074となっている.思ったよりも,ハワイ島の自生集団が遺伝的多様性が下がっていないが,結果自体は想定の範囲内である.

・さてここからどうなる?と思っていたら,結果はもう終わりである.Discussionも特に目新しいものがなく,「なんでこんな論文がMol Ecolに掲載されているんだ(俺の論文を2度もリジェクトしながら・・・)!」と叫びたくなってしまう.しっかし,これだけの材料を持ちながら,この解析はひどいね.せっかくの超高級食材を,めちゃくちゃにまずく作った感じ.せめて,導入集団の個体サイズとか生存状況くらいはデータとして示して欲しかった.あるいは,同じマイクロサテライトのデータでも,なんかできることがあるだろう(いくら2000年といえど・・・).

・ということで,今回はあまり参考になりません.導入集団のボトルネックの影響について読むならば,Williams 2001 Ecol Appl, 11, 1427-1488の方が面白そうなのでそのうちに・・・.ただ,Silverswordは一度見てみたい憧れの植物になった.あー,ハワイに行きたい.

・昼前に,近所のお祭りに行く.と,やたらと知り合いに会ってしまう.さすがに,7年目ともなると地元民という感じ.とあるコーナーに,盲導犬にさわれるところが・・・.我が家は全員,超犬好きなのだが,ゴールデンレトリバーでPR犬のフーちゃんはおとなしく,触っているこっちが癒される.



・北海道盲導犬協会のPRということなんだが,この協会はTVの「動物奇想天外」でもよく紹介されている.PR誌を読むと,盲導犬を引退した老犬や,逆に盲導犬になる前の1年間だけ育てるボランティア募集などとある.アパートじゃなければ飼いたいところなんだけど,どちらにしてもちょっと切ない場面がありそうです.

・しばらくフーちゃんに遊んでもらったのち,キーフォルダーを購入.早速,キーチェーンとして使用することにする.

パン好きなるがゆえに

2006-09-09 | その他あれこれ
・自他共に認めるパン好きである(突然ですけど・・・).ということで,旅先で気になるパン屋を見つけると,ついふらふらと吸い込まれ,必要以上に買い込んでしまうのが常だ.札幌ではお気に入りの店を見つけており,ここのパンをお土産に買ってくるのが我が家にとっては至上命題だ.

・その店とは,カフェダンマルクである.店で朝食を取ることもできるし,もちろん持ち帰りも可能.今回は,イギリスパン(山型パン),ミニメロンパン,ガーリックフランスなどなどを買い込んだのだが,本日の朝食に頂くと,やはり風味と弾力が素晴らしい.

・ダンマルクは札幌駅ステラプレイス(だと思うんだけど)のF1にあり,大丸F1のケーキ売り場が密集している地帯(Kinotoyaなど)の斜めぐらいに位置しているので,朝食なしで札幌に1泊する際には,オススメなのである.