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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

遺伝解析→フィールド

2006-09-29 | フィールドから
・再び、カツラの現地調査。実生プロットをめぐりつつ、各プロットの状態、周りのカツラ成木を確認していく。せっかくプロットめぐりをするので、今回は水分計、土壌硬度計でプロットごとの状態を定量的に評価しようということに。硬度計はバラツキが多いが、水分計は思ったよりもうまく値が出ているようだ。湿地がちだったところでは最大で70%もの値を示し、マウンドのような乾いたところでは20~30%といったところである。

・さて今回は、既に遺伝解析で種子親が推定できた上で、フィールドに行くという流れである。いつも慌しく調査することが多いので、このような機会は意外と少ない。各プロットでよく貢献している雌株を確認すると、それなりに近い株がよく貢献しているようだ。今回面白かったのは、単に幹の中心の距離よりは、やはり樹冠の広がりの範囲が大きく影響していることである。また、他の針葉樹の位置なども影響を与えていそうである。何はともあれ、遺伝解析はうまく行っているようで、明らかに挙動がおかしいというような雌株は認められない。

・今回の調査で一番興味深かったのは、必ずしも超巨大な株が貢献しているとは限らないことである。もちろん、30cm程度の個体はたいして貢献していないのだが、何本もの萌芽幹が並んでいるような巨大株よりは、50~60cm程度の壮齢株の方がよく貢献している。実際、実をつけている量も、どうもそのような個体の方が多そうだ。

・こうして考えると、BAを種子生産量の指標にするのは難しそうだ。だからこそ、遺伝マーカーを用いる意義が大きいわけなんだが。それしても、個体差というのは簡単に扱うことはできず、ランダム効果にした方がすっきりしそう、ということがよく分かる。うーむ、やはりベイズか・・・。