goo blog サービス終了のお知らせ 

goto_note

西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

電車に揺られて

2006-09-25 | 研究ノート
・またもや札幌出張.ここのところ,1週間に1回のペースで札幌に来ているな.地下鉄を乗り継ぎ,西28丁目へ.昼食は駅付近のJamusicaという怪しげな店に引き寄せられる.夜はライブハウスになることもあるようで,ライブのちらしがあったり,店内にグランドピアノがあったり・・・.注文したドライカレーは量こそ少ないけれど,なかなか美味だ(ただし,コーヒーは薄い).ドライカレーを置いている店は少ないので,興味のある人は一度お試しあれ(・・・って,誰に勧めているのやら).

・さて,出張時の電車内は書きかけ原稿をチェックする格好の時間である.途中で電話が入ることもないので,シュシュッと進む.どうやら,品種の産地探し論文は自分で修正できるところはほぼ完了したようである.忘れていたアブストラクトも作成する.自分でいったん作成したものをプリントアウトし,それに赤を入れたのだが,見事なぐらい真っ赤になっており、我ながらちょっと怖い気もしたり,と.

・さらに時間があるので,今度は論文読解に取り組んでみる.Sさんが紹介してくれたBohrer et al. (2005) J Ecol を斜め読み.この論文では,アレッポマツを題材に,風による長距離種子散布(LDD)がメタ個体群の動態や遺伝組成などに及ぼす影響について,なにやら小難しいモデルを用いて評価しているようである.推移行列が出て来たところで完全に思考停止状態となり,この論文ではイントロとDiscussion だけを読めばいいのだ!,と勝手に決めつける.イントロには,LDDを調べることの重要性があれこれ書いてあり,種子散布論文を書くには便利そうなフレーズがちらほらと・・・・.一度,きっちり読んでみよう.

・ところで,風による種子散布モデルは古くからよく整備されていて,Mechanistic modelとPhenomenological modelというのが主流らしい.この研究分野はNathanたちのグループが世界を牽引している.この論文の中にも,同じアレッポマツを対象として,弱風時と強風時の散布パターンの違いを評価している論文が引用されている(Nathan and Ne'eman 2004 Plant Ecoloy),どうやら、長距離散布の頻度が弱風時と強風時ではオーダーが異なることを示しているらしく,カツラ論文でも重要な論文となりそうである.

・帰りの電車では,岩魚沢の風向と風速のデータの解析に取り組む(もちろん,カフェ・ダンマルクのパンは入手済みなのである・・・).まずは,6月初めから7月終わりごろまでの単位時間当たり(1時間ごとに測定)の平均風向と平均風速を作図してみる.レーダーチャートを作成すると,想像通り(?),圧倒的に南風の頻度が多い.沢沿いの森林では,沢に沿った恒常風というのが存在するかもしれぬ.これが,風をめぐる種子と花粉の散布にどう効いているか,ここからが解析の妙となる訳なのだが,どうしたものやら,これまた複雑そうだ.