死んだら談志2024

水仙花死んだら談志完成す
回文俳句&吾郎関連の諸事雑事
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回文は行く その七十六

2006年02月18日 02時19分09秒 | Weblog

螺鈿はね小さく焚く幸涅槃寺

ラジオを組み立てたことはないが分解したことはある。
トランジスタ・ラジオではなく、木製のキャビネットに収まったラジオ。
三つ並んだダイアルは、左から(切/入)をカチっといわせて音量調節をするもの、
短波/中波の切り替え、放送局を選ぶチューナー。
裏ぶたを開けて見ると、直径12センチくらいの口径のスピーカー。
がらんどうの内部には真空管が数本並ぶ。
左端のつまみを(入)にすると、
しばらくしてぼんやりとしたオレンジ色の光が点る。
ザーザーという雑音に、淡々と話す男のうねった声がかさなる。
ベージュ色の大きな輪と小さな輪を結んで白い紐がかけてある。
右端のつまみを回すとゆっくり大きな輪が動き、
それにつれて表面に描いてある3段組みの数列の上を赤い傍線が移動する。
900から1200くらいの数字のところで、ラジオの声はいくつか大きさを増した。
電波がどうとか、電気がこうとか、小学校低学年には無縁だ。
ぼうっとした明かりとゆっくり動く輪っか。
男の声と、にぎやかな音。
誰もいない木箱に、魔法をみつけた。
こっそり裏ぶたをもとに戻す。
閉める寸前、オレンジの明かりが大きくなった。
あわててふたをして、ねじを回した。
魔法を封じ込めたのだ。


ハムカツ噛む歯

コメント (1)
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