チチと夜鳴く南京泣くなよと父
それが南京虫というものだと聞いたのは、かなり後からだったと思う。
子供は分解好きだ。使わなくなっていた母親の時計の裏蓋をはずして
ゼンマイを出して、回転軸の押さえに使っている赤く光る石を
ルビー?だと思い込んでカッターナイフで取り出そうとした。
先の細いドライバーなどなかった頃だから、ナイフの刃先でねじを廻した。
結構うまく分解したのだが、そこまでだった。
組み立てられずにバラバラになった時計は
マッチ箱に入れられ、宝ものというより
見てはいけないものとして引き出しの奥の座敷牢に
その後十数年保管されていた。
人気尽きんに