岩波新書「司法官僚」新藤宗幸著より
日本の裁判官の数は先進国と比べると極端に少ない。
人口10万人あたりの裁判官数は
ドイツで24.46人、アメリカで10.59人、フランス9.50人、イギリス(イングランドとウェールズ)6.77人であるのに対し、日本は2.10人(簡裁判事を除く)となっている。
『裁判所データブック』から。
裁判官の増員は古くから言われてきたが微々たる増に過ぎないそうである。従って、当然、大都市の裁判官は常時300件以上の事件を担当する事になり迅速な裁判など望むべくもない。一人の裁判官は慣例上、一週間に三日の法廷を開くことが出来、一ヶ月に十二回の開廷日を持つ事になる。一日の開廷で二十五件の事件をこなさなければならない。事件に対する充分な準備など出来ない訳である。しかも、彼らは転勤族で三年から五年で転勤を繰り返すのである。市民レベルでの感覚など持つゆとりはないのではないか。