枝から枝へ 軒から枝へ
蜘蛛は 毎日せっせと網を張る
人にいやがられながらも
今朝も蜘蛛の巣を張る
いつ来るか皆目検討がつかないけれど
庭の蜘蛛たちは
一日中 網を繕(つくろ)いながら
只管(ひたすら)獲物を待つ
ああ 小さきものたちよ
誰から教えられたのでもなく
お前たちは 己の使命を全うしようとする
ああ この俺は 網張るでもなく
雨風しのいで のうのうと生きている
ああ この俺は
一人では生きられず いつも人に頼って
かろうじて生きている
明日は 秋の嵐 冷たき風雨が降るそうだ ああ
お前たちは それでも
枝から枝へ 軒から軒へ 網張って
辛抱強く待ち続けるんだろうなあ