よねの備忘録

お勉強問題が中心。
政治を語るときは、ネトウヨです。

たみふる 3。

2007-03-23 19:07:05 | 医療の話

「たみふる」問題を考える時、興味深い記述が、
「医療崩壊」(小松秀樹)があることを思い出した。

(引用開始 小生の改変・省略がある。)

p263より。

一般的にフリージャーナリストは自己責任の覚悟がある。
大新聞社、テレビ局の記者は、十分な判断力があるが、
画一性に流されてしまう。
 メディアの記者は基本的に会社員であり、自分の責任で
意見を表明する覚悟を持っていない。
 
 最初の編集者から、私のジャーナリスト批判には、
具体的根拠に乏しいと指摘された。彼は、私が自分の意見を
直接語ることに強い違和感を覚えたらしい。私と同様の認識を
示す文章が発表されているものがあれば、それを引用することで
具体的根拠になると考えているようだった。

 日本のジャーナリストは、独自意見の表明をひどく嫌う。
まわりをちらちら見ながら、誰かがいったことを確認しつつ、
オウムのように繰り返す。これが大合唱となって、マスコミ通念が
形成される。一旦、暴走が始まると、これに異論を唱えることを
メディアは許さない。この傾向は戦前から戦後へ一貫している。
 同じ見解がすでに発表されているのを確認しなければ、
目新しい意見を表明してはいけない。

具体例にうつる。肺がんの治療薬「イレッサ」
よる合併症で多くの患者が死亡し、大きな問題となった。

吉岡友治氏は○○新聞の報道のありかたを4期にわけた。

第1期:発端、期待がふくらむ。

『驚嘆した。先日、米国臨床がん学会で発表された、
がん新薬にたいする、専門家のコメントだ。
 過去20~30年、がん治療薬の開発は、期待と失望の繰り返し
だったが、変化の兆しが見え始めた。
 国内でもイレッサが近く承認される。
あと10年もすれば、がん治療は確実に変わるのではないか。
がんよ、おごるなかれだ。』
 2002年6月3日

第2期:副作用をおこした個々の患者についての感情的記述が
    イレッサ憎しのイメージをつくる。

『昨年10月。○○県の病院。「パパごめんね。」
A子さん(当時31歳)は、父親Bさん(59歳)の肩にもたれて
つぶやいた。息苦しく、苦痛の日々。この日は不思議と呼吸が
楽になり、父娘で会話を交わした。が、4時間後、眠るように
息を引き取った。イレッサがA子さんの命を奪った。』
 2003年6月24日

『「阿修羅の形相で肺炎に苦しむ妻の姿が忘れられない。
 効果があるか、副作用が出るか、まるで丁半ばくちのようだ。」
  イレッサがCさんの時を止めてしまった。』
 2003年6月24日

第3期:訴訟の記事が多くなる。
     「薬害」と決め付けた見出しも出現する。

第4期:厚労省などが関わった制度に関する記事が多くなる。
    効果や副作用についても、記述は冷静になる。

イレッサ騒動をみると、期待、怒り、悲しみなど
「当事者の心情」を強調することは適切とは思えない。
責任がない。燃え上がるが、理性的事後処理をしない。
 冷徹な判断抜きに「当事者」の心情を書くことは、
しばしば、不毛な紛争を引き起こす。

吉岡氏はこの対立を、リスクの捉え方が
専門家と患者側で異なることに起因するという。

リスク論者は、すべての物質ないし人間の行為は、
何らかの危険を含み、それを完全に避けることはできない、
と考える。

反リスク論者は、目の前のリスクをもたらしたものが重要であり、
何としても禁止せよ、という。

非専門家=一般市民は、専門家の思考方法や態度を
受け入れない傾向が強い。

反リスク論者は専門家の判断の基礎に自己正当化があるとする。

「確率が何%といっても、実際に降りかかった人にとっては
 100%なのよ。」という感情的発言をする。
反リスク論者は、リスクを比較検討すること自体
「素人を小馬鹿にしたような態度」として反発する。

いくら専門家がその手続きをクリアなものにしても、
副作用をエンドポイントとして計算する方法は、
市民からは支持を得られない。

行過ぎた禁止は別のリスクの原因となる。
副作用で死亡例がでた薬剤を使用禁止にすれば、
助けられるはずの命が多数失われることになる。

反リスク論者は、自分が要求した「禁止」にたいする被害に
たいしても、感情的反発をあらわにするだろう。
それでもメディアは彼らをたしなめることをしないと想像する。

専門家の主張するリスク論に、どんなに客観性があろうと、
政治的言説として一般人に映る可能性が大きい。

この国では、合理性に敵意を示し、感情論を隠そうとしない
非専門家が、権力をもつようになってきた。
非合理と感情論をまとめ上げ、見える形にして、
政治的権力を持たせているのがメディアである。

感情論にたいし、正しいと思っているわけではないが、
それなりの共感を示しておかないと、反感を買って、
商業的に失敗すると思っているのではなかろうか?

今のままだと、メディアは遠ざけられるだろう。
議論しようにも、書かれた記事の多くに署名がなく、
責任の存在を明らかにしない。
 自分の意見を明確にせずに、記事内容の責任を
引用元や、世論に押し付ける。
 メディアは、自分たちが人格をもった人間として見られていない事
をもっと深刻に考えるべきである。

「自由と責任」であるが、会社と個人の意見の差を「あうん」の
呼吸で埋めてはならない。
 差があることを前提にしなければ、個人が責任のある記事を
書けない。そもそも、会社の意見なるものがあるのか?
あるとすれば、その決定方法は?意見の差の許容範囲は?
意見の差の検出を誰が行うのか?
 「ことば」を生業にしているのだから、明確にする必要がある。

記事の水準が低いときは、意見の差だと抵抗せずに、
メディアは謙虚に受け入れなくてはいけない。
 この点の潔さがなければ、「自由と責任」が
「わがままと無能の横行」に簡単に移行する。

(引用終了)

15ページの内容を要約させて頂いた。
誤解があれば、「よね」に責任がある。

医療問題、教育問題、ネットとマスコミの関係、などなど、
「よね」がマスコミに対して抱いていた「違和感」に
たいする「回答」を「医療崩壊」から教えていただいた気がする。





 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

たみふる 2。

2007-03-23 14:32:48 | 医療の話

3/23の朝刊の社説を予想していたので、
昨日「たみふる」を書いたのですが・・・・

突っ込みだけいれておきます。
文全体でなく、「部分」にたいする突っ込みは、
良いこととは思いませんが・・

【こんな重大なことをこれまで公表しなかった厚労省の責任は重い。 】

「薬剤注意情報」として、定期的に公表されています。

【厚労省は、タミフルと異常な行動との因果関係をしっかり
見極めてほしい。

 同省の研究班が行った調査によると、10歳未満を中心とする
インフルエンザ患者約2800人の中で、叫んだり暴れたりといった
異常行動は11%前後に見られた。
ただ、タミフルを飲んだかどうかではほとんど差がなかったという。     しかし、10代の調査対象が少ないなど不十分な点があったため、
対象を10代も含めて約1万人に広げて再調査する。 】

この再調査が容易にすすまないことは、目に見えてます。
その間、この新聞社はみているだけですか?
たとえば、海外の他のデーターはどうか、とか。

【薬に副作用はつきものだ。
 病気のときくらいはゆっくり体を休めてはどうだろう。】

平均年収1000万以上の人たちに言われてもねえ。

【そうした中で、厚労省は注意喚起はしてきたものの、
タミフルの危険性には否定的だった。
今年に入って10代の子供の転落事故が相次いだことから、
処方中止の措置をとらざるをえなくなったが、
リスクの把握や対応が遅かったのではないか。
異常行動の情報を一部公表していなかったのも問題だ。】

そう、「一部公表していなかった」のですが、
「こんな重大なことを公表しなかった」わけではありません。

【国、製薬企業、医師が癒着し、多数の被害者を出した
薬害エイズと同様の構図を疑う声もある。
厚労省は、こうした疑問や不安を一掃するためにも、利害関係を
排した大規模調査でタミフルのリスクをはっきりさせるべきだ。】

「薬剤エイズ」と同じなら、とっくに「告発」がでているはずです。
医療者が「匿名発信」できる時代ですから。

【タミフルの効果についても詳細なデータがほしい。
子供や高齢者が服用した場合に、インフルエンザの合併症や
死亡をどの程度防げるかがわからないと、
リスクとのバランスもわからない。】

これはまったくの正論です。
でも、「エビデンス」が作られるまでの、患者数と時間数の膨大さは、
ご存知ですよね。「医療記事」書くぐらいですから。

【「安全性に問題はない」という姿勢からの事実上の方針転換である。否定的だった服用と異常行動の因果関係にも、
「今後変わる可能性がある」との認識を示した。

 服用した子供たちが高いところから飛び降りるといった
異常行動を起こす恐れに対し、注意喚起することは大いに
賛成できる。しかし、その半面、過度の注意喚起は、薬の安全性に
疑問符を投げかけることになる。】

突っ込みようがありません。

あと2社は「社説」をだしてません。
どこかの新聞社を突っ込みたかったわけではなかったが、
結果的にそうなってしまった。

「りれんざ」の危険性や、「薬一般の危険性」は
どこの新聞社もとりあげてない。

またつまらぬものを書いてしまった。

お詫びにまともな考察へのリンクを貼る。
記事は2005年のものである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする