悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
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和泉式部集018 もやもやと

2006-11-18 02:50:00 | 和泉式部集
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もやもやと悲しい気持ちの秋霧が
心の中に立ったのかしら   悠山人

○和泉式部集、詠む。
○「霧を」。このごろ気持ちがすっきりしないのよ。もしかして、毎日の秋霧が、心の中にまで立ったのかしら。としたら、なかなか晴れ上がらないわね。
¶は(晴)れずのみ=晴れないという状態がずっと続いている。
¶秋霧=古語辞典での扱いは、枕詞としての「秋霧の」。「霧が立つ」から、立田山へ。「旅に立つ」から、「秋霧のたつ旅衣」(新古今)。「霧が晴れる」から、「秋霧の晴るる時」(古今)。(用例は旺文版を参照した。) 名詞見出しは、旺文版・広辞苑ともにない。
□和018:はれずのみ ものぞかなしき あきぎりは
      こころのうちに たつにやあるらん      
□悠018:もやもやと かなしいきもちの あきぎりが
      こころのなかに たったのかしら

短歌写真255 夕映えも

2006-11-18 02:45:00 | 短歌写真
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夕映えも知らざるままに去り行きし
汝が黒髪ははつか手にあり   悠山人

○短歌写真、詠む。
○想定歌。自作歌の注釈は、ふつうはしない。ただし、私よりもさらに短歌初心者のために、最小限のことがらについて記す。表面解釈では、単なる叙景歌だが、内面に人生を詠う。「夕映え」は晩年、「黒髪」は青年・壮年期。「はつか」は僅か。詠う「われ」は主体、青壮年期の「なれ」は客体。この髪はまた、「後ろ髪を引かれる」の慣用句を意識し、それを逆転させている。さらに言えば、恒星が寿命を終える直前の大きな輝きも含意。だから全体としては、単なる嘆き節ではなくて、充実人生の回顧でもある。
□ゆふばえも しらざるままに さりゆきし
  ながくろかみは はつかてにあり
【写真】借用写真(複数)をコラージュ。