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トヨタ、未だ信頼回復に至らずGravity of safety issues

2010-02-27 | 世界から見た日本
2010年2月27日(土)

豊田社長が今週木曜日に米上院監督・政府改革委員会で証言を行ったあとの状況をFinancial Timesが総括している。その見出しは、「トヨタ信頼回復に険しい戦い」(Toyota faces uphill battle to regain trust)である。

「同委員会とそれに先立つエネルギー・商業委員会において、合計20 時間にわたって、トヨタ幹部、Ray LaHood運輸長官、さらに技術専門家は、厳しく査問(grilling)されたが、議員の多くは、『トヨタがアクセル誤動作とブレーキ動作不良問題について問題を完全掌握している』との確信を得るには至っていない。

特に、問題が、単なるフロアーマットとアクセル不具合で起こったものであり、燃料噴射を制御する電子系統に不良がないとした豊田社長の言葉だけでは、彼らを納得させられなかった」」とFinancial Timesは分析している。

豊田社長の証言の前日、エネルギー・商業委員会において、米国トヨタのLinz社長が、『リコールで問題解決したのか』との問いに対して、「必ずしもすべてが解決したわけではない」(not totally)と証言したことが大きなマイナスの影響をもたらしている。

全米ネット放送各社がこの部分を報道したが、特にCNNの女性キャスター二人が掛け合いで、不信感をあらわに、センセーショナルに報道したことは、世論に少なからぬ影響を与えたと思われる。

また、ブレーキの作動遅れについて、当初トヨタは、技術担当役員がTVに登場して、「ブレーキの利きが悪く感じられるときがあるようだが、ドライバーの錯覚だ」との趣旨で、自信を持ってドライバー側感覚の問題と言い切ったことを消費者は忘れていない。

世論対策のため、トヨタは長年にわたってワシントンで影響力行使活動を行ってきており、昨年は31人のロビーストを雇ったことが報告されている。元議員、元議会職員、安全規制機関職員から構成されるロビーストに支払われた総額は、540万ドルである。ロビースト一人当たりにすると、約18万ドル(1700万円)となる。

過去5年間に支払われたロビースト顧問料や議員への政治献金の総額はビッグ3のどこよりも多く、トヨタ問題を扱う委員会のメンバーである議員総数125人のうち40%の議員に政治献金がなされているとthe Washington Postが報じている。

こうしたトヨタの「努力」に対してFinancial Timesは、「トヨタがロビーストを使って種々の政治的な動きをしてみても、こと安全問題の重みからして、おのずと限界がある」(Gravity of safety issues limits what lobbyists can achieve)と断じている。