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中国、インフレ・バブル対策に本腰 “Comparatively Loose”

2010-02-13 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2010年2月13日(土)

中国人民銀行は、大手市中銀行に課す預金準備率(reserve equirement ratio)を今月25日から、現行より5%引き上げて16.5%にすると発表したが、この処置で市中から引き上げられる資金は約4兆円と推定されている。中国政府の準備率の引き上げが2ヶ月連続であることは、中国政府が投機経済の過熱とインフレの兆候に神経質になり始めた証拠である。

国営新華社通信英語版は、「適度に緩和された金融政策を堅持しつつ、比較的高い流動性に照準を合わせた」政策であると解説している。(The move targets the "comparatively loose liquidity" while keeping the "moderately easy" monetary policy unchanged.)これは、「アクセルは踏み込んだままにするけど、ブレーキもかける」ということである。

リーマンショック直後の2008年11月に中国政府は、金融政策を、「引締め基調(tight)」から、「適度に緩和(moderately loose)」に転換した。さらに、昨年中半には、四川大地震の影響を最小限に抑制するために、約60兆円の緊急財政投資を実施した。

この結果GDPは、昨年第1四半期から、四半期ベースで、6.2%、7.9%、 9.1%、10.7%と4期連続で急上昇してきた。また銀行貸し出しは、2008年の4.9兆元から2009年末には9.6兆元と倍増した。加えてマネーサプライの膨張も2009年を通して一本調子で進行し、35%の危険レベルに達していたことが、1月の預金準備率引き上げの直接の動機となった。

1月の消費者物価指数は、1.5%の上昇であったが、2月は2.5%と予測されている。この2ヶ月間の経済指標は、中国の正月「春節」がどの月に落ちるかで大きくふれるので注意が必要である。特に物価水準が季節的に押しあがる春節が昨年は1月で、今年は2月となるので、今月は相当の上昇が予想される。

中央銀行としては、不動産価格が昨年比、深センで20%、全国大都市平均で10%近く上昇しているという不動産バブルに考慮して、「投機過熱」に警告のメッセージを年初来出し始めたが、今後もアクセルとブレーキの両方に足を置いていくと思われる。

そして今後は、国際社会から催促されている人民元の対ドルの釘付け政策(the dollar pegging)の終焉のタイミングを計っていくことになる。