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タイガー・ウッズは仏教徒 “He did it with a twist.”

2010-02-21 | グローバル文化
2010年2月21日(日)

ABC放送は、タイガーウッズ氏の記者会見には、一ひねり(a twist)があったとしている。その一工夫とは、同氏が仏教徒であるという信仰告白のことである。

同氏の記者会見全体はWebで見ることができるが、会見は親族と限定された人数の記者の入場に制限され、ウッズが一方的に、夫人の同席なしで「声明文」を読み上げる形で質問も許さなかった。

中でもこの声明文の始めのほうに出てくる一文が、声明文全体の性格を雄弁に物語っている。「妻と私は、私の行為が引き起こした損害について論議するプロセスを開始している」(”Elin and I have started the process of discussing the damage caused by my behavior.)という一文である。

ここで、processという言葉が入っていることで、この声明文自体が、弁護士のみならず、スピーチライターが書いたか、手を入れたかを証明している。普通の人間が真情を語るときにこの表現は絶対に出てこない。

さらに、終盤近くで、聴衆に向かって自分が母親譲りの熱心な仏教徒であることを告白した上で、その宗教の精神性を説くかのごとき「演説」になったのは、同氏に真の意味での仏教への帰依があったとは思えず、その仏教の引用の仕方も浅薄である。

クリントン大統領が家族とともに聴衆の前で、不倫を告白しキリスト教の絶対神にすがったのも政治的なショーであったが、キリスト教徒が大半を占める米国で中途半端に仏教を持ち出したのは、効果という面でもウッズ氏は明らかに失敗している。

仏教に関する同氏の「説教」と「告白」の部分は次の通りである:「仏教の教えによると、精神を離れて物質的な充足を求めることは、不幸をもたらす無意味な、平安を求める行為でしかないということだ。衝動に従わないこと、自己抑制をすることを教えられてきたのに、『見るとわかるように』私は、教えられたことを破った」( Obviously, I lost track of what I was taught.)